「アニマルセラピー」の歴史
「アニマルセラピー」と聞くと、いかにも現代社会に生まれた最新療法のようなイメージですが、実はその歴史は古いのです。
時代はさかのぼること紀元前400年の古代ギリシャ。負傷した兵士に乗馬をさせていたのは心身のリハビリが目的という説があります。
やがて1700年代になると、アニマルセラピーのカタチはより理論的になっていきます。
イギリスの精神障害者を収容する施設において実施されたウサギの飼育は、患者たちの自制心をはぐくんだという記録が残されており、心理学者のフロイトも、診察の際に犬を座らせて患者の緊張をほぐす試みをしていました。
日本におけるアニマルセラピーの導入は1970年代と、歴史はまだ浅いのですが、もしかしたらそれまでに一般的に認識されていないだけで、それ以前から存在はしていたかもしれません。
明治時代に活動した西郷隆盛や、「ワンワン宰相」と呼ばれた吉田茂は愛犬家として有名な偉人でした。もしかしたら、彼らは政治家としての重責でかかるプレッシャーを、愛犬たちに癒されていたとも考えられますね。
猫による「アニマルセラピー」
先述したように「アニマルセラピー」で活躍する動物として有名なのは犬です。実際アニマルセラピーとして実績のある馬や鳥、イルカやウサギなどよりも身近な動物ということもあるかもしれませんね。
しかし、「人間と身近で過ごしやすい」という意味では、猫も負けてはいません。現代では、犬同様に、猫もセラピーアニマルとして注目されています。
猫は自由きままで犬よりしつけが難しいとされていますが、逆にアニマルセラピーの面では、それがメリットになることもあるそうです。
自分の意志で居場所を選び、自由きままにのんびりしているイメージの強い猫の様子は、その姿を見ているだけでも、アニマルセラピーを必要とするような人をリラックスさせる効果があるようです。
このほかにも、猫には人の精神を安定させる具体的な理由があるため、医療や介護の現場でも注目されているのです。セラピーアニマルとしての猫とともに人を癒すサポートを行う「キャットセラピスト」という民間資格もあります。
猫の持つ不思議な癒しパワーとは
「アニマルセラピー」では猫も活躍していることが分かりましたが、その不思議な癒しパワーはどこからくるのでしょうか。
ここからは、猫のアニマルセラピーをうけることで起こる効果について解説します。
幸せホルモンの増加
ストレスや精神を安定させる「オキシトシン」。これは「幸せホルモン」と呼ばれるもので、猫に触れることでも分泌されることがわかっています。
しかもこのオキシトシンは、一般的に犬にと触れ合うことで分泌すると言われていますが、実は猫に触れた方が分泌量が多い場合もある、という報告もあるほどです。
ストレスホルモンの抑制
幸せホルモンが高まる一方で、猫は「ストレスホルモン」を減少させる力も保有しているようです。
過度なストレスを受けると分泌される「コルチゾール」がその「ストレスホルモン」。これが慢性的に増えると、不眠症やうつなどの症状が懸念されます。
そんななか、猫と触れ合うことで、コルチゾールを抑制することが可能と言われています。
さらには血圧を安定させる力も期待できるため、心臓疾患や脳卒中対策にも注目されているそうです。
「ゴロゴロ音」がストレスを軽減
猫が喉を鳴らすときの「ゴロゴロ」という音にも、幸福感をあたえる力があります。
この猫の「ゴロゴロ音」は、約20ヘルツ~50ヘルツほどの低周波です。この周波の音は、ストレスを軽減する効果をが前向きに導く働きがあるといわれており、結果的に免疫力や自然治癒力が高まることにつながるそうです。
SNSでもこおn猫の「ゴロゴロ音」を録音した動画が広まっていて、猫を飼うことができない人たちの間で人気です。
まとめ
今回は、猫の「アニマルセラピー」について解説しました。
猫は、しなやかでのんびりとしていて、見ているだけでもリラックス感が伝わってくるような動物です。しかも触ればフワフワでフニャフニャ。思わずつられてまったりしたくなる人も多いのではないでしょうか。
そんな猫の癒しのパワーは多方面で注目されていて、さまざまな悩みをもつ人の力になっていると言われています。
実際猫のそばにいると、ちょっとした怒りが収まりやすくなったり、孤独感から救われるなど、すぐに実感できそうな癒し効果が期待できそうです。