「野良猫」を引き取った女性
ニュージーランド在住の、ある女性が野良の茶白猫を保護しました。
この女性は、2022年2月に新しい住所に引っ越したときに、訪ねてきた猫と仲良くなりました。名前をつけ、家を自由に出入りできるように窓を開けておき、毎日ベッドで一緒に眠りました。
同時に彼女はFacebook上の地域交流のページに猫のことを投稿して、飼い主がいるのかどうか確認しましたが、誰からも返事はありませんでした。
このため「この猫は野良で保護が必要だ」と信じた彼女は、動物病院でワクチン接種を受けさせ、目の感染症を治療してもらったほか、マイクロチップを装着して自分の連絡先を登録しました。おまけにペット保険にも加入したのです。
所有権と補償を求め、裁判所へ訴え
ところが2023年7月になって、「猫は私が飼っている」と主張する男性が現れ、女性はひどく動揺しました。お互いの口論はエスカレートして、とうとう警察が介入。そして女性は猫の所有権とこれまでの出費や精神的苦痛への補償を求める訴えを起こしました。
この裁判に対応したKrysia Cowie調停官は「その男性が飼い主であることは理解するが、必要な世話をしたし、その結果として出費もしたのだから、今後は自分が猫の所有者として認められるべき…というのが女性の主張でした」と話します。
その女性は獣医費用やマイクロチップ代金のほか、猫がやや肥満状態だったため特別な配合ドライフードまで購入していたのです。
紛争は水に流して…
一方で、飼い主の男性は子猫のときからずっと育てていて、ブリーダーから入手した当時の証拠書類も保管していました。たしかに人懐こい猫ですが、まさか別の女性の家で餌を食べたり、獣医の診察を受けていたりするとは思ってもみなかったそうです。
警察やSPCA(動物虐待防止協会)が彼の自宅を訪問し、猫が適切な環境で暮らしていることも確認しています。
結果、裁判所は「猫を引き取った女性には同情するが、正当な飼い主は別にいる」とし、猫の引き渡しを要求する女性の請求を棄却しました。
法廷は「飼い主は、この女性が猫にかかる費用を負担していたことを知らなかったし、飼い主が本来行うべき猫の世話を女性に妨害された形になった」と結論づけています。
同調停官は「支出した費用は、野良猫であるという思い込みに基づいています。当初からこの女性は、『すでに猫に飼い主がいて、自分には飼う権利がないかもしれない』という可能性に気づいていたはずです。いずれにしても、2人ともこの件はもう水に流して、今後は前向きな生活を送ってほしいですね」と述べています。
出典:Woman who fed and befriended ‘stray’ cat sought money from rightful owner for costs