猫が『大嫌いなニオイ』4選 不快なだけじゃなく、命を脅かすことも

猫が『大嫌いなニオイ』4選 不快なだけじゃなく、命を脅かすことも

猫の嗅覚が人間より優れているという話は有名ですが、なかには特別嫌悪感を示すニオイがあるんです。本能的に避けてしまうニオイや、命を脅かすこともあるニオイなど…。猫が嫌うニオイを4つ紹介します。

SupervisorImage

記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

1.柑橘系のニオイ

テーブルの上のみかんを嗅ぐ猫

猫はみかんやレモンなど柑橘系のニオイが嫌いです。人間にとってはさわやかで食欲をそそるニオイですが、猫の場合は「酸味」を強く感じてしまい、腐敗していると認識してしまうようです。

腐ったものを食べると命を落としてしまうこともあるため、本能的に避けているということですね。

柑橘系の果物を食べることで、稀に下痢や嘔吐をおこしてしまう猫もいます。また柑橘類の皮に含まれる『リモネン』という成分は、猫にとって中毒性があることも指摘されています。実際に運動失調や皮膚炎を起こしたという報告もあるので、積極的に与える必要はないでしょう。

また柑橘類だけでなく、リモネンが含まれたアロマオイルや芳香剤、洗剤も市販されています。猫を飼っている家では日用品の成分にも充分注意が必要です。

2.フレグランスのニオイ

アロマディフューザーに近寄る猫

アロマやハーブなどのニオイも、猫には危険です。アロマグッズだけでなく、精油が含まれるシャンプーやリンスなども要注意。猫には精油の成分を分解する力がないため、中毒を起こす可能性があります。

猫が精油を舐めてしまった場合、元気がなくなったりよだれが止まらなくなったりすることがあります。また精油が付いた皮膚が炎症を起こすことも。これらの症状があらわれたときは、すぐに動物病院へ行ってください。

精油や天然の香料の他に、人工香料も猫には不快なニオイです。身近なものでは洗剤や柔軟剤、芳香剤などに猫が嫌悪感を示すことがあります。

中毒を起こさなかったとしてもニオイで体調が悪くなるケースもあるので、猫のいる部屋では使わないように気を付けましょう。

3.香辛料のニオイ

トウガラシを嗅ぐ猫

心当たりがある飼い主さんもいるかもしれませんが、香辛料のニオイが苦手な猫も多いです。ワサビやカラシ、コショウなどのニオイは、嗅覚が鋭い猫にとっては刺激が強すぎます。

トウガラシなどは人間でも苦手な人がいるくらいなので、猫にとってはかなり不快です。猫避けとして香辛料が使われることもあります。

ちなみに香辛料を少量食べてしまった程度で体調に変化が見られない場合は様子見でもよいかもしれませんが、大量に口にした場合は消化不良を起こすことがあります。

香辛料を分解するために肝臓にも負担がかかってしまい、肝機能障害につながるケースも。ニオイを嗅いだ瞬間に逃げてしまう猫がほとんどだとは思いますが、間違って与えないように注意してくださいね。

4.男性の汗のニオイ

洗濯物を嗅ぐ猫

意外なところでは、男性の汗のニオイが苦手な猫も多いようです。ある論文によると、動物にとって男性の汗のニオイがストレスを誘発するとのこと。猫も例外ではない可能性があります。男性の汗に生理的ストレス反応を示したというのです。

少し難しい言葉ですが、「ストレス誘発性無痛覚」という現象も同時にみられたそうです。これは野生動物が攻撃に集中するため突発的に痛覚を鈍感にする現象のこと。つまり男性の汗のニオイを嗅ぐことで、「敵がきた」と感じてしまっているというわけです。

同じ実験が女性の汗でも試されましたが、ストレス反応を示したのは男性の汗のみとのこと。男性の猫飼いさんにとっては悲報ですが、今のところ永続性は確認されていないそうです。

なるべく汗を流してから猫と触れ合うことをおすすめしますが、長く一緒にいれば徐々に慣れてくるのかもしれません。

まとめ

人の手を嗅ぐ猫

猫の嗅覚は人間の数万~数十万倍と言われています。人間よりも視力が良くないため、食べ物や環境の安全を知るためには嗅覚がとても大切です。

屋内で飼われている猫にとっても、嗅覚が敏感なのは同じこと。嫌いなニオイはなるべく避けてあげることで快適に過ごせるでしょう。

一方で、あえて猫が嫌いなニオイを使用したトレーニングスプレーなども市販されています。安全性に配慮しつつ、上手にニオイを管理してあげてくださいね。

スポンサーリンク