1.視力の低下・夜盲症
ビタミンAは目の網膜にある視細胞の機能を助ける働きがあり、暗い所でも周りが見えるようにしてくれています。
そのためビタミンAが不足すると視力の低下や「夜盲症」の症状があらわれ、暗い場所で物が見えにくくなってしまうのです。
猫の視力が低下すると、高いところに上り下りできなくなったり歩行がうまくできず壁にぶつかってしまったりと日常生活にも支障をきたします。
重度な欠乏になると、最悪の場合失明する可能性もあります。ただし、猫はビタミンAを体にある程度溜めておけるので心配しすぎなくても良いでしょう。
2.骨密度の低下
ビタミンDは、血中のカルシウムの濃度を調整するなど、骨や歯の成長・健康維持に必要となる栄養素です。
ビタミンDが不足すると骨密度が低下します。骨折のリスクが高まるだけでなく、成長期にうまく骨が作られなくなり骨が変形してしまう「クル病」や、四肢や関節の腫れ・炎症を引き起こす「骨軟化症」につながるため注意が必要です。
猫の体内ではビタミンDを生み出せないので、日頃からバランスと質の良い食事でしっかりと摂取させていく必要があります。
また、カルシウムを骨に定着させるために適度な運動も欠かせません。
3.貧血
鉄分は、赤血球に含まれるヘモグロビンを作り出すための材料となるミネラルです。血液中に作られたヘモグロビンは全身に酸素を運び、二酸化炭素を回収する働きをしてくれます。
鉄分が不足してしまうと貧血を起こして酸欠状態となり、食欲不振や疲れやすさ、ふらつき、息切れといった症状があらわれます。
貧血が進行していくと、目や唇などの粘膜の血色が悪くなって白っぽく見えるようになり、この時点で気づく場合も少なくありません。
鉄分不足解消にはバランスの取れた食事が不可欠です。また、鉄分の吸収を悪くする原因となるストレスを取り除くことが必要になります。
貧血が起こってしまっている場合には、獣医師に相談の上、鉄分を補うための補助食品や鉄剤の投与をすることもあります。
4.心疾患
カルシウム・マグネシウム・カリウムといった心機能を正常に保つためのミネラルが不足していると、心臓のポンプ機能に悪影響を及ぼして不整脈などの心疾患リスクが高まります。
全身に送られる血液量が少なくなるため、疲れやすさや活動量が減るといった症状があらわれるのです。
さらに心疾患が進行すると、手足がむくむ、爪・粘膜が青紫に変色するなど外見の変化に加え、咳を頻繁にしたり苦しそうに呼吸をするようになります。
カルシウム・マグネシウム・カリウムは猫の主要必須ミネラルなので、きちんと摂取できるよう、猫の成長段階に合わせた栄養素がバランスよく含まれている総合栄養食を与えましょう。
ただし、健康状態によっては摂取すべき量が変わることもあるので、疾患を抱えている猫の場合は獣医師に相談することをおすすめします。
まとめ
ビタミンやミネラルは猫の目や骨、血液、心臓など体のあらゆる部位の働きを助けています。
猫が生きる上で必要となる大切な栄養なので、不足すると体の正常な働きを阻んでしまうのです。
ビタミン・ミネラル不足の解消や予防のためには、栄養バランスの良い食事を取れているかの確認を行い、必要に応じて内容を変更していきましょう。
すでに何らかの症状が出ている場合は、獣医師に診察してもらった上で適切な対処(治療)の指示を仰いでください。