猫の『骨折』よくある3つの原因 室内で事故が起こらないための環境づくりも

猫の『骨折』よくある3つの原因 室内で事故が起こらないための環境づくりも

猫は「高いところが好き」「身体能力が高い」といったイメージをもたれる動物ですが、思わぬことで骨折してしまうことがあります。原因には事故や病気などさまざまありますが、いずれにせよ猫の生活に大きな影響を与えるため、飼い主としては予防に努めたいものです。そこで今回は、猫の骨折の原因3つと、室内での事故を防ぐための環境づくりについて解説します。猫と暮らす飼い主さん必見の内容です。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の『骨折』よくある3つの原因

包帯を巻かれる猫

1.事故

猫の骨折で非常によく見られる原因が「事故」です。交通事故や高いところからの落下といった事故が原因で、骨折します。

たとえば交通事故は、事故のなかでもとくに多い原因です。夜間の交通量が多い道路を横切ったり、暗闇で車に気づかずに飛び出したりすることで事故に遭い、骨折することも。

また高いところからの落下も、よく見られる原因です。というのも高いところが好きなのでベランダや窓で過ごしたりする猫もいますが、そのときにベランダの柵が低かったり、窓に転落防止ガードがなかったりすると、転落して骨折をします。

1~2階程度の高さであれば大事に至ることは少ないかもしれませんが、それ以上になると骨折だけでなく命の危険にも及ぶので、注意しましょう。

ほかにはドアに手を挟んだり、猫同士のケンカ、人に踏まれたりすると骨折することがあります。

2.病気

病気も骨折の原因です。

骨がもろくなってしまう腫瘍のような病気が原因だったり、基礎疾患が関連している可能性もあります。

ですので普段と体調が違う様子が見られるかどうかもしっかり確認して気を付けましょう。

3.成長

猫は成長の過程でも骨折(成長板骨折)してしまうことがあります。

猫の成長板骨折とは生後6ヵ月から12ヵ月頃の成長期に、骨と骨をつなぐ成長板の部分が骨折してしまうことです。成長板は骨が伸びるための重要な組織で、これが骨折してしまうと骨の成長が阻害されてしまいます。

すべての子猫に起こるものではないですが、成長板は通常の骨より柔らかく、少しの衝撃でも剥離してしまったり折れてしまったりしてしまうので、お部屋の中での過ごし方にも注意が必要です。

室内で事故が起こらないようにするための環境づくりは?

ネットが張られたベランダにいる猫

ベランダや窓から飛び出せないようにする

ベランダや窓から飛び出すことによる転落は、猫の骨折の原因です。

そのためベランダや窓を施錠し勝手に開かないようにしたり、網やフェンスを設置したりすることで、猫の飛び出しを防ぎましょう。

高所の下を柔らかいクッションで保護する

猫は高いところが好きで、棚の上やキャットタワーから飛び降りることがあります。

高さが低いものであれば問題ないことが多いですが、高さがあるものだと骨折のリスクは高いといえます。

ですので、家庭内でも高所の下には柔らかいクッションや緩衝材を敷いておくといいでしょう。万が一猫が飛び降りても、骨折のリスクを減らすことができます。

階段は侵入禁止にする

健康な成猫であれば階段はあまり危険ではありませんが、シニア猫は踏み外してしまうこともあるので注意しましょう。

シニア猫や子猫の骨は成猫と比べてもろいため、階段を数段転げ落ちてしまうだけでも骨折につながる危険があります。

高さのあるゲートを用意して、猫が階段に侵入できないような工夫をしてあげましょう。

【おまけ】猫の骨折の種類

レントゲン写真を見る獣医師

猫の骨折は骨がバキっと折れてしまうものだけではありません、骨折といってもその種類はさまざまです。

完全骨折

完全骨折とは、骨が完全に折れてしまっている状態の骨折です。その完全骨折のなかでも、折れ方によっていくつかの種類に分けられています。

  • 横骨折:骨を縦にして垂直に折れている状態
  • らせん骨折:骨を縦にしてらせん状に折れている状態
  • 斜骨折:骨を縦にして斜めに折れた状態
  • 粉砕骨折:一本の骨が複数の骨片に割れてしまった状態
  • 分節骨折:一本の骨がいくつかの箇所で折れてしまった状態

不全骨折

骨が完全に折れているのではなく、部分的につながっている状態の骨折をいいます。

たとえば亀裂骨折(いわゆる「ヒビ」が入った状態)は、完全に折れてはいないですが「骨折」に分類されます。

まとめ

嫌そうに包帯を巻いてもらっている猫

猫の骨折の原因は、病気や事故、成長などさまざまです。軽度であれば患部を固定するだけで治ることもありますが、重度の骨折や骨折部位が複雑な場合は、手術が必要となることもあります。

そのため、日ごろから「猫が骨折をしにくい環境を整える」ように心がけておきましょう。ぜひ今回紹介したポイントを参考に、自宅の環境を見直してみてくださいね!

病気を早期発見するためにも、定期的な健康診断を受けるのも良い対策といえます。

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