猫たちが疲れてしまう生活音7つ
聴覚の優れている猫は、25〜75,000Hzまでの音域を聞き分けられるといわれています。人間の聴覚で聞こえる音域は、20〜20,000Hz程度なので、いかに猫が幅広い音を拾っているかがわかります。
多くの音を拾えるということは、それだけ聞こえる音にも敏感になります。オーケストラやバンドの楽器ひとつひとつが明瞭に聞こえるようなイメージです。
カミナリや花火の突発的な大きな音を嫌う猫は少なくありませんが、ここでは「日常生活の中にある音」の中から、猫が疲れてしまうような音を紹介します。
1.掃除機やドライヤーなど家電の作動音
掃除機を怖がる猫は、大きな機械が前後する動きだけが原因なわけではありません。
多くの掃除機では高周波音と振動音の両方が発生するため、猫にとっては不快や恐怖を感じます。
同じようにモーターを使用するドライヤーでは、風が出る音をストレスに感じる猫もいます。
ドライヤーの音はリラックス効果のあるホワイトノイズに近い音だといわれていますが、猫にとってはあまり好ましい音ではないようです。
2.ほかの動物の声
テレビや動画などで猫の鳴き声がした途端に、飼い猫が反応した経験はないでしょうか。
猫にとって犬の鳴き声やほかの猫がケンカしている声など、動物の鳴き声は本能的に不安を感じさせます。実際に対面できない存在が発する鳴き声にはストレスを感じます。
特に動物同士がケンカしているときの声は、お互いに威嚇しあい、緊迫した事態を知らせるため、「現実」でないにしても、頻繁に続くと猫も精神的に疲れてくることでしょう。
3.人間の大きな声
猫の立場で考えると、人間の声はほかの動物の声と同様です。
猫が疲れてしまう大きな声というのは、威嚇に似ている怒鳴り声や低い声、あるいは、動物が仲間に危機的状況を伝えるときのように極端に高い声があげられます。
過去に大声で怒られたり、子供にキャーキャー追いかけまわされて怖い思いをした経験があると、その声に対して恐怖を感じたり、緊張したりすることが考えられます。
4.テレビやオーディオ
速報アラートや番組のジングル、効果音、低音のビートなど、人工的な音に含まれる不快音がいつ聞こえるか猫は予測ができません。
人間でも緊急地震速報などには、恐怖を覚える人もいるでしょう。
特に最近のスピーカーは性能が良いため、低音でも高音でも、極端な音域が出るときには、猫に不安やストレスを引き起こす可能性があります。
5.物を落とす音
フライパンやお鍋などの調理器具がガシャンとぶつかる音やコップやお皿を落としたときの突発的な音は、驚くと同時に恐怖を感じてしまうことがあります。
特に金属音は、猫の耳には刺激が強く不快感を引き起こすことがあります。「カンカン」「キンキン」と高く響く音は、てんかん持ちの猫の発作を引き起こすきっかけとなることもあります。
6.インターホンの音
インターホンの音は、聞き取りやすいよう高い音域で響きやすくなっていることが、猫に不安を感じさせる要因となっています。
突然インターホンの音がすると、驚きと不安で隠れたり走り回ったりしてしまう猫もいるかも知れません。
また、インターホンが鳴るときには必ず訪問者がいることなどから、「外から知らない人がやって来る怖い合図」として記憶することもあります。人見知りの猫にとっては、いっそう緊張してしまうかもしれません。
7.楽器の音
楽器をやっている人なら、できるだけ毎日練習したいもの。しかし、猫の中には楽器が苦手な猫も少なくないのです。
楽器の演奏で発生される周波数は、楽器によっても異なりますが、空気を振動させて音が伝わることから、猫にとっては予測のできない騒音として感じられる場合が考えられます。
ピアノやギターなどの楽器は、音が小さければ猫が慣れることもあります。一方、吹奏楽器(トランペットやサックスなど)や打楽器(ドラム)は、振動が大きいこともあり猫がいる場での演奏には注意が必要です。
生活音にストレスを感じている猫の症状
猫には個体差があるため、すべての猫が同じ反応するとは限りません。もちろん、前述した生活音も、慣れてしまえば問題ないこともあります。
しかし、以下のような症状が見られたら、ストレスを感じているかもしれません。
- 落ち着きがなくなる
- 鳴きわめく
- 食欲が落ちる
- 部屋から走って逃げ出す
- 物陰に隠れる
- 過剰な毛づくろい
- 攻撃的になる
- 触られるのを嫌がる
これらの症状は、音だけでなく同時に起こる要因でも考えられます。
ストレス症状が続く場合には、対策が必要です。
不快な生活音を軽減する対処法
物をうっかり落としてしまったり、訪問客がインターホンを鳴らしたりするなど、生活音の中にはなかなか対策しにくいものがあるのが現実です。
そんな中でも、できる限りの範囲で対策してあげましょう。
猫専用の隠れ場所を作る
猫が不快だと感じたときに、逃げ込める猫だけの隠れ家を作っておきましょう。
ドーム型ベッドなど、周囲の音をある程度遮断できるようなものだと、よりよいでしょう。もちろん場所は音の発生源から、できるだけ離れた安全な場所にしてください。
家電を静音タイプのものに取り替える
最近では住宅事情などから、音に配慮した製品が求められているため、作動音を抑えた家電がたくさん出ています。静音タイプの家電は、振動も少ないため猫がいても安心です。
それでも、家電を使うときに猫が嫌がる場合は、すこしの間だけ別の部屋に行ってもらうなどすれば、安心して家電を使うことができます。
話し声も音楽も音量は小さめに
突発的な大声やテレビ・オーディオの重低音などは、人間でも驚いてしまうこともあります。ふだんからできるだけボリュームをおさえて、たとえ音がしても怖くないくらいにしておきましょう。
インターホンの音量を小さくする
本体に音量の調整機能があれば、音を最小にしておきましょう。ただし、製品によっては思うほど小さくならないこともあるようです。
インターホンのスピーカー部分にスポンジを当てて遮音する方法もあります。
楽器を演奏するなら猫とは別部屋で
音楽を楽しむ人は、毎日楽器に触れたいことでしょう。もし、同じ部屋に猫がいた場合は、演奏中はどこか別の部屋へ移動してもらうのも有効です。
楽器によっては、猫も音に慣れますので、自分から寄ってくるくらいになれば一緒にいても大丈夫です。
まとめ
今回紹介したようにありふれた生活音でも、猫にとってストレスになってしまう可能性があります。猫は聞こえる音域が非常に広く、人が気にしないような音も聞こえるためです。
日常生活で聞かれる重低音や高音域は、人工的な音であることが多いため、猫は恐怖や不安を感じてしまうこともあるでしょう。
緊張状態が続くと、ストレスから体調を崩しかねませんので、猫の健康を害さないためにも、できる限りの遮音・防音対策を検討するようにしましょう。