猫の『鼻血』考えられる原因4選 すぐに病院に行った方がいい危険も

猫の『鼻血』考えられる原因4選 すぐに病院に行った方がいい危険も

猫が鼻血を出している場面は滅多に見かけませんよね。だからこそ、危険な病気や大きな怪我といった原因が潜んでいる可能性があります。本記事では鼻血が出た時に考えうる原因を4つまとめました。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

1.感染症による鼻血

体調不良の猫のイメージ

猫が鼻血を出す可能性がある感染症は、

  • 猫ウイルス性鼻気道炎
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫ヘルペス感染症
  • 猫クラミジア感染症
  • 猫マイコプラズマ感染症
  • クリプトコッカス症

などが挙げられます。

これらのウイルス・細菌・真菌などに感染するとくしゃみや鼻水といった鼻炎の症状が表れます。鼻炎により鼻の中が充血するため、症状が重くなると鼻水に膿や血が混じることもあるのです。

健康な成猫であれば軽症で済むケースも少なくないですが、免疫力が低い子猫や高齢の猫では悪化する危険性もあります。疑わしい症状が出ている時は獣医師に相談してください。

猫を外に出さないようにするなどの感染予防に努め、ワクチン接種で重症化リスクを抑えましょう。

2.鼻腔内の腫瘍による鼻血

ぐったりする猫

鼻の中に腫瘍ができ、初めはくしゃみ・鼻水・食欲不振といった症状が表れます。

腫瘍には良性・悪性がありますが、鼻汁内に含まれる細胞や腫瘍の穿刺をしてどんな腫瘍なのか検査をして、判明させることが一般的です。悪性である場合、腫瘍が大きくなるにつれて顔や鼻が腫れてしまったり、骨を溶かしてしまい鼻血を出すようになります。

鼻腔内腫瘍の初期症状は鼻炎や感染症と判別がつきにくく外傷も見られないため、ある程度進むまで気づきにくいのが難点です。少量の鼻血が長く続いたり、治療を施してもなかなか治らないこともあります。

高齢の猫だけでなく若い猫でも発見される場合があるので、早期発見のために少しでも様子に異変が見られたら速やかに病院を受診してください。

3.血液凝固の異常による鼻血

診察中の猫のイメージ

出血時には、血小板や血液凝固因子の働きによってできた塊が血管の傷を塞ぐことで血が止まるという仕組みになっています。

しかし、感染症などの病気による血小板の減少や殺鼠剤(ワルファリン)誤食による薬物中毒、先天的に血液凝固因子が欠乏してしまう遺伝子疾患などが原因となり、血がうまく固まらない場合があるのです。

血液凝固に異常がある猫は通常よりも出血しやすい上に、一度血が出てしまうと止まりにくくなってしまいます。

そのため、

  • 鼻血
  • 血尿
  • 血便
  • 吐血
  • 内出血
  • 貧血

など、さまざまな症状に悩まされてしまうのです。

また、呼吸困難や意識障害を起こす危険性があったり、大量の出血により輸血の必要が生じるケースもあります。

4.外傷による鼻血

エリザベスカラーをつけた猫

事故や喧嘩によって鼻の中が傷ついた時、異物が鼻の粘膜を傷つけてしまった時、鼻骨が折れてしまった時など、何らかの外傷がある場合にも鼻血が出ることがあります。

頭部に衝撃を受けていると脳震盪(のうしんとう)といった別の症状の危険性も考えられるため、急に大量の鼻血が出てしまった時はすぐに病院に連れて行ってください。

鼻の中の傷口から感染症を起こす可能性もあるので、少しの傷だったとしても油断は禁物です。

まとめ

猫の鼻のアップ

猫は、事故・喧嘩などによる外傷や病気が原因となって鼻血を出すことがあります。

感染症による鼻炎の症状で鼻水に膿や血液が混ざって出たり、鼻の中に腫瘍ができたことで少量の鼻血が長期間出たりするなど、血の出方や量はさまざまです。

また、鼻血のほかにも危険な症状を伴う場合があります。少量であったとしても鼻血を出している様子が見られたら速やかに動物病院に連れていき、猫の状態や血の量・出方を獣医師に伝えて診察してもらってください。

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