猫の「軟骨異形成症候群」って何?症状、治療法、なりやすい猫種を解説

猫の「軟骨異形成症候群」って何?症状、治療法、なりやすい猫種を解説

猫のかかる病気の中に、特定の猫種がかかりやすい「軟骨異形成症候群」というものがあります。あまり聞きなれない病名ですが、どのような症状の病気なのでしょうか。「軟骨異形成症候群」になる原因や治療方法についてまとめました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

「軟骨異形成症候群」ってなに?

歩く猫

「軟骨異形成症候群」とは、骨や軟骨に異常が起きる病気です。軟骨の成長に異常があり、骨瘤(こつりゅう)という骨のコブができてしまいます。

特に症状の出やすい部分は、猫の「手首」「足首」の関節や「指の骨」「尻尾」などです。

骨の異常が少なければ無症状ですが、進行してしまうと痛みが出て関節炎を引き起こす場合があります。

「軟骨異形成症候群」になる原因は?

スコ座りする猫

軟骨異形成症候群の原因は遺伝によるものです。

骨瘤ができることで関節が固まってしまい、可動域が狭くなります。触ればわかるくらいのコブができるので、見つけた場合はすぐに獣医師へ相談しましょう。

また骨瘤ができてしまうと歩き方がぎこちなくなったり、しっぽの形が変形したりします。

進行すると痛みが出るので、行動に異変が出る場合も。

  • ジャンプをしなくなった
  • 爪切りを異常に嫌がるようになった
  • 高い所から降りるのをとまどうようになった
  • スコ座りするようになった

など、関節に負担がかかる動きを嫌がるようになった場合は注意が必要です。

骨瘤ができていないか、関節に触れてみるようにしましょう。少しでも異常があれば、動物病院を受診してください。

「軟骨異形成症候群」の治療法

注射される猫

軟骨異形成症候群を完治させる治療法は、現時点ではまだ確立されていません。

そのため関節炎による痛みを和らげるための投薬治療が行われます。

他にも放射線治療や手術といった方法がありますが、あくまで一時的な痛みと炎症の緩和を目的とした対症療法です。

遺伝子異常を治すことはできないので、一生付き合っていく必要があります。

治療以外にも、生活環境を整えることで猫の負担は減らせます。

関節に負担がかかる「上下運動」をしなくていいように、使っている食器やトイレなどは低めのものを使用するといった工夫をしてあげましょう。

食事管理を徹底し、肥満を予防することも大切です。

「軟骨異形成症候群」になりやすい猫種

マンチカンの子猫

軟骨異形成症候群になりやすい遺伝子を持つ猫種がいます。

特にかかりやすいのは「スコティッシュフォールド」という猫種で、折れ耳が可愛いと人気の猫です。

しかしこの折れ耳は、軟骨の異常によるものです。折れ耳のスコティッシュフォールドは必ず軟骨異形成症候群にかかっていると言われています。

他にもかかりやすい猫種として、足の短い「マンチカン」、鼻の短い「ペルシャ」「ヒマラヤン」、耳のカールが特徴の「アメリカンカール」などです。

どの猫種も人気の高い品種なので、飼う前には軟骨異形成症候群のリスクも考えた上でお迎えするようにしましょう。

まとめ

くつろぐ猫

軟骨異形成症候群は遺伝による病気のため、発症してしまうと完治することはありません。

人気だから、という理由だけで飼い始めるのではなく、事前に考えられるリスクは想定しておけると安心です。

また飼い猫に軟骨異形成症候群の症状が出ている場合は、なるべく負担を減らせるように環境を整えてあげることが重要です。

愛猫が快適に暮らせるよう、しっかりとサポートしてあげましょうね。

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