捻挫ってどういうもの?
捻挫とは、関節をつないでいる靭帯に限界以上の負荷がかかってしまい、伸びてしまうなどの物理的なダメージを受けたり、炎症を起こすなどの問題が起こることをいいます。あるいは、腱や軟骨部分を損傷することもあります。
損傷した細胞はいずれ免疫細胞などに処理されますが、この際に周辺の神経にまで炎症が及ぶため、腫れたり熱を帯びたりして痛みが発生します。
スポーツ選手の故障で靭帯が切れることも、医学的には「捻挫」ということから、決して軽いケガではないことがわかりますね。
捻挫は、体中にあるどの関節にも起きる可能性があります。
猫の捻挫の原因と症状
猫が捻挫する原因には、以下のような事故が考えられます。
- フローリングなどが滑りやすい場所での滑走
- キャットタワーや高窓からの転落
- ジャンプした際の着地の失敗
- 急激な方向転換
- 人に踏まれる
- 交通事故
これらの猫の捻挫の原因は、元気な猫や外に出る猫に起こりやすいことがわかります。
また、症状は、おおむね人間が捻挫した時と同じです。
- 赤くなる
- 腫れる
- 痛みを伴う
- 炎症して熱を帯びる
足の捻挫であれば、多くは足を地面につけず、痛い方の足を上げたまま歩きます。落下した際の衝撃によっては肩や股関節を脱臼することもあり、不自然な歩行や痛みが、捻挫とは限らないこともあります。
痛みや違和感から、しきりに舐めることもあるので、注意深く観察してください。不自然な歩き方の場合、動画などで撮影しておくと診察時に安心できます。
猫の捻挫の3つの対処法
捻挫してすぐの急性の捻挫には、以下の対処法を参考にしてください。
1.患部を安定させる
捻挫が軽い場合は、そのまま安静にしていることで治ります。
痛がる猫にテーピングするのはむずかしいですし、包帯などを巻いても、猫はすぐに取ってしまいます。また、そのためにエリザベスカラーをするのは、どれも有効ですが猫によってはストレスが大きくなってしまいます。
代わりにクッションやバスタオルなどを使って、患部に負担がかからないような形に整えてあげましょう。
例えば、タオルを抱き枕のように丸めてあげれば、歩行姿勢のような安定した姿勢で休ませることができます。このときに、嫌がるようであれば無理をせず、落ち着ける環境だけ整えてあげましょう。
2.ケージレスト
捻挫は元気な猫ほど起きやすいものですが、2~3日は安静にすることが大切です。
あまり活発ではない子は普段通りにしていてもかまいませんが、痛みがあることでひとりになろうと高いところへ登ってしまう可能性があります。
高所から降りる時は痛めた場所に負担がかかり、治りが遅くなる可能性があるため、できるだけ高い場所のない部屋やケージ内で休ませるほうがよいでしょう。
退屈して遊びたがる場合も、あまり走らせないようにして、手元だけで遊べるように付き添ってあげましょう。
3.動物病院で検査を受ける
捻挫の対処で注意したいのは、骨折や脱臼です。骨折や脱臼では激しい痛みが伴い、自然な治癒を待つのは困難が生じます。
1~2日経っても腫れや痛みに改善が見られない場合には、すみやかに検査を受けるようにしましょう。
痛みがあるため、治療に対して普段以上に抵抗する可能性があるため、できるだけ体を動かさないようにして受診しましょう。痛みや足をかばう様子が悪化する場合は、様子を見ずに受診することをおすすめします。
まとめ
元気な猫は、遊んでいる時のちょっとしたタイミングで捻挫をしてしまうことがあります。
片足を引きずったり、関節部分をやたらと舐めていたりしたら、捻挫した可能性があるかもしれません。
対処法では、患部を安静にして、炎症を鎮めることが大切になってきます。
動物に対する医療知識がない状態での圧迫は、患部組織の損傷を広げる恐れがありますので行わないようにしましょう。
愛猫を捻挫させないための予防策としては、落下防止、床の滑走防止、遊び方の見直しです。猫じゃらしで遊ぶ時に、背面にジャンプさせると足を痛めやすいので注意しましょう。
捻挫は、軽症であれば安静にしていることで自然治癒ができる可能性が高いです。心配であれば病院で検査を受けると安心です。