猫の「視力低下」を引き起こす4つの原因 目が見えていない兆候も解説

猫の「視力低下」を引き起こす4つの原因 目が見えていない兆候も解説

猫の視力低下の原因にはどのようなことが考えられるのでしょうか?また目が見えないと感じている猫はどのような行動をするのでしょうか?今回は猫の視力を低下させる4つの病気と視力低下の兆候をわかりやすく解説していきます。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1.ブドウ膜炎

キジトラ猫アップ

ブドウ膜炎は、目の内側にある「ブドウ膜」に炎症が生じる病気です。ブドウ膜とは、虹彩、毛様体、脈絡膜の総称です。

ブドウ膜炎のおもな原因には、目の外傷、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫などの感染症があります。

ブドウ膜炎の症状は多岐にわたりますが、多いのは以下の症状です。

  • 視力が低下する
  • 目が充血する
  • 目をしょぼしょぼさせる
  • 角膜の色が変化する
  • 目やにと涙の量が増加する
  • 明るい場所でも瞳孔が開いたままになる

そのほかにも発熱、食欲低下などの全身症状が見られる場合もあります。

放置することで、症状を進行させてしまう可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。

2.高血圧性網膜症

黄色い目のハチワレ猫

高血圧性網膜症とは、高齢の猫に多く見られる病気で、血圧が高くなって網膜の血管が損傷し、視力低下を引きおこす病気です。

おもな原因は、腎不全や甲状腺機能亢進症による高血圧です。網膜剥離や緑内障の原因にもなる病気で、放置すると失明のリスクがあります。

ところが初期では異常に気付きにくく、進行して視覚障害や目が赤いなどの症状があらわれ、慌てて受診するケースが多いです。気になる症状が見られたら早めに動物病院を受診することをおすすめします。

また腎不全や甲状腺機能亢進症などの基礎疾患がある猫、10歳以上の猫は定期的に血圧を確認すると安心でしょう。

3.緑内障

正面を見つめる猫

緑内障とは、なんらかの理由により眼圧が上昇して、視神経や網膜にダメージを与えることで、視覚障害を引き起こす病気です。

緑内障には遺伝が原因となる「原発性緑内障」と目のケガや白内障、感染症が原因となる「続発性緑内障」があります。猫の緑内障のほとんどが続発性緑内障だと言われています。

緑内障のおもな症状は次のとおりです。

  • 目をしょぼしょぼさせる
  • 光をまぶしがる
  • 視力が低下する
  • 元気がない

緑内障は発症後すぐに治療を開始することで視力の低下を最小限に抑え、失明を回避できる可能性があります。

4.白内障

横顔の猫

白内障は、目の中にある「水晶体」と呼ばれる器官の一部もしくは全体が白く濁り、視力障害を引き起こす病気です。

白内障の原因の多くは、外傷やブドウ膜炎などによる眼内の炎症で、まれに遺伝による先天性白内障もみられます。先天性白内障は、ペルシャ、ヒマラヤンなどが好発猫種です。

猫の白内障も人間と同じく水晶体が白濁するため、目が白っぽく見えます。病気が進行すると濁りが強くなっていき、次第に視力が失われていきます。

初期には病気の進行を遅らせる点眼薬を使用したり、状況によっては手術をおこなったりする場合もあるでしょう。目の色が白っぽい、濁っていると感じたら早めに動物病院を受診してください。

猫の視力低下で見られる兆候

おもちゃを無視する猫

猫も視力の低下にともなって、さまざまな兆候が見られるようになります。以下のような様子が見られたら、見えづらくなっているのかもしれません。

  • 物にぶつかる
  • 視線が合わない
  • 目で物を追わない
  • 触れると驚くようになった
  • 以前よりも鳴くようになった
  • 行動が慎重になった

目が見えづらくなることで、物を認識できなくなり上記のような様子が見られるようになります。また鳴くことが増えたり、行動が慎重になったりするのは、不安を感じていると考えられます。

いずれにしても見えにくさを感じている可能性がありますので、早めに動物病院で相談しましょう。

まとめ

猫のドアップ

視力の低下は生活の質の低下にもつながります。いつもよりも目を気にする、涙が多いなど気になる様子が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。病気によっては、早期発見・早期治療で、視力の低下を遅らせる、悪化を防げる可能性もあります。

またこれらの病気の原因には、目の外傷のほか感染症や基礎疾患などのほかの病気が隠れている場合もあります。愛猫の健康のためにも早めの行動を心がけましょう。

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