1.落ち着いておだやかな気持ちのとき
猫がリラックスしているときの瞳は、比較的環境の光量に影響されます。明るければ瞳孔は細くなり、暗ければ瞳孔は大きくなります。
視線はどこにも焦点をあわせず、ぼんやりとしていることもあるでしょう。
そのまま何もしないと、次第にまぶたを閉じて眠ってしまうかもしれません。いよいよ寝落ちしてしまいそうなときには、目頭に瞬膜が出ることもあります。
2.獲物をみつけたとき
小さな虫や小鳥、あるいはおもちゃなど、好奇心がそそられる対象があると、目をぱっちりと開いて瞳孔を丸くしたり細くしたりして焦点を合わせます。このときの猫は喜びに近い感情です。
さらに狙いをさだめて飛びかかろうとするときは、瞳孔が広がり、黒目が大きくなります。
また、期待してワクワクしているときも、ある種の興奮状態となり、細かった瞳孔は大きく広がります。瞳に光が差し込んでキラキラと輝いて見えるでしょう。
3.びっくりしたとき
猫が驚いたときは、目を見開いて瞳孔が一瞬で大きくなります。
瞳孔が広がると、より多くの光を取り入れて視覚の感度が上がるためです。これは周りの状況をくわしく把握しようとする反応です。左右の耳の間(眉間)の筋肉に収縮が見られます。
物音などに驚いて警戒している状態では、顔の筋肉も緊張するので、表情がより鋭く見えることがあります。
4.恐れや不安で緊張しているとき
猫は恐れや不安を感じると、目を左右に泳がせオドオドした態度になります。
恐怖心が大きいときは、開けている目の大きさが右と左で不揃いになることもあります。
つり目になって、耳を後ろに倒しているときは、かなりの恐怖心を抱いているかもしれません。昼間でも瞳孔が大きくなります。
5.怒っているとき
猫が怒りを感じたとき、感情は2つのタイプに分かれます。
相手を攻撃してやっつけようと考えている場合、瞳孔が細くなり、目が吊り上がったようになります。
一方で身を守るための怒りの場合は、瞳孔は開き黒目が大きくなります。上目遣いになり、怒り対象である相手をにらみつけるような見方をしてきます。
ふだんは見つめあうことを避ける猫が、視線をそらさずににらんできたら怒っている表現になります。
猫の気持ちを理解するためのヒント
猫の「目」からは多くの感情を読むこともできますが、猫の気持ちを正しく理解するためには、目以外にも耳やヒゲ、しっぽなどの動きもあわせて観察しましょう。
耳の向き
猫の耳は30個を超える筋肉があり、左右別々に動かせます。気持ちがおだやかなときは、視線と同じ方向を向いています。耳を倒してうしろに向けているときは、警戒や怒りの感情があります。
ヒゲの動き
猫のヒゲの下には表情筋があり、感情と連動してヒゲが動きます。興奮するとヒゲの先までピンと張り、やや前の方を向きます。リラックスしているときは表情筋が脱力するので、ヒゲも自然に下向きに垂れています。
しっぽの動き
猫の機嫌がいいとき、しっぽはピンと立っています。しっぽが下がっているときには何か不安があり、ブンブンしっぽを振っていれば、イライラしているか獲物を狙っているときです。背骨に沿ってまっすぐ伸びているときは、気持ちもおだやかです。
猫の心理と体の動きは、ホルモンや筋肉と密接な関わりがあり、感情が変わると体も自然に動きます。愛猫のホントの気持ちを理解するためにも、体全体の表現を観察することが大切です。
まとめ
「目は口ほどにものをいう」ことわざの通り、表情の変化がすくない猫でも、目の表情からその心理を読み取ることが可能です。
猫がリラックスしているとき、まぶたはゆるみ、瞳孔は細くもなく丸くもなく、環境の光の強さに応じて変わります。驚いたとき、興奮したときは瞳孔が広がり、怒っているときには、瞳孔が細くなります。
猫の感情は、目だけでなく、耳、ヒゲ、しっぽの動きなどにもあらわれるため、全身の様子をあわせて見るようにしましょう。
猫はもともとの習性から、気持ちがコロコロと瞬時に変わることがあります。愛猫の心の動きを注意深く観察し、猫との快適な生活に役立ててください。