愛猫が「トイレを我慢してしまう」ときに考えられる理由4選 病気にさせないために取りたい対策

愛猫が「トイレを我慢してしまう」ときに考えられる理由4選 病気にさせないために取りたい対策

猫は泌尿器系の病気になりやすく、トイレを我慢すると膀胱炎や尿路結石などの病気になるリスクが高くなります。膀胱炎や結石などは排尿時に痛みや不快感があるため、さらにトイレを我慢して悪化させてしまう恐れも。そうならないためにも、愛猫にはトイレを我慢せずに行ってほしいもの。今回は、猫がトイレを我慢してしまう問題について取り上げます。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

愛猫がトイレに行くのを我慢してしまう4つの理由

トイレに入らない

猫の健康は、栄養の摂取だけでなく、規則正しい排泄によって保たれます。しかし、環境の変化に敏感な猫は、ささいなことでもトイレに行くのを我慢してしまうことがあります。その理由は…

1.トイレが汚れている

猫はきれい好きな動物です。トイレが汚れていて嫌なニオイがすると、排泄するのを我慢してしまうことがあります。これは、猫が排泄物を砂で隠して「身を守る」という本能的な習性が影響しています。

2.トイレ本体や砂が気に入らない

室内で暮らす猫は飼い主の意向によって、消臭や吸収力、飛び散りなどを考慮したトイレや砂が用意されます。猫の中には、フード(屋根)が付いたトイレに圧迫感を感じて使いたがらないこともありますし、砂が気に入らないためにトイレを我慢してしまうことはよくあることです。

3.トイレの場所が不適切

トイレを置く場所は、静かで落ちつけるところが理想です。家の中の動線上は避けるようにしましょう。複数の同居猫がトイレを共有している場合、ほかの猫たちにジャマされないようにしてください。

また、室温も大切です。高齢になるほどトイレを我慢してしまう傾向があり、その結果膀胱炎になる可能性が高くなります。特に心臓などに問題を抱えている猫は、寒いトイレで排泄すると温度差から心発作を起こしてしまうかもしれません。

4.生活環境の変化

猫は生活環境が変わることを好みません。新しい家族が増えたり、引っ越しをしたりしたことが排泄行動に影響してしまうことがあります。

トイレ以外での粗相であれば、飼い主が望まないまでも排泄はできているので、すぐに健康を害することはありませんが、排泄自体を拒んでしまうと病気の引き金になってしまう恐れがあります。

猫がトイレを我慢していないか注意して観察すべきポイント

トイレに入ろうとする猫

猫がトイレを我慢しているかどうかを確かめるには、以下のポイントを観察してみてください。

  • トイレに行く回数
  • 尿量
  • トイレ前の行動

環境変化によるトイレの我慢であれば、同時に食欲不振なども出てくることもありますが、単純にトイレに行くのが嫌というケースでは、食欲や飲水量にあまり変化はありません。

もし、猫がトイレを我慢していればいつもよりトイレの使用回数が減りますし、我慢している分、1回分の尿量が増えるのでしょう。固まる砂を使用している場合、「おしっこ玉」が大きくなっていることがわかるかもしれません。

システムトイレを使用している人も、こまめに中のシートを確認してみるようにしましょう。

猫がトイレを我慢しているときに、排便だけして尿を我慢するということはありません。もし、排尿があって便をしない場合は便秘の可能性があります。

また、排泄前にトイレに出たり入ったり、ウロウロしているときは、猫がトイレを嫌がっている可能性があります。これは泌尿器系疾患でも見られる行動なので、よりいっそう注意するようにしてください。

病気にさせないために取りたい対策

5つのトイレ

猫の排尿は一般的に一日2〜4回くらいなので、トイレを我慢する時間はだいたい6時間~半日程度が限界です。それ以上、長時間の我慢は膀胱炎や尿結石などのなるリスクが高くなります。また、1日以上排尿しないと尿毒症など命の危険にもつながります。

愛猫をこのような病気にしないためにも、以下の対策をしておきましょう。

  • こまめなトイレ掃除
  • トイレ本体や砂の変更に注意
  • トイレの数は猫の数+1個以上
  • トイレを置く場所は適温に

トイレ掃除の一番の理想は、猫が使用するたびですが、生活上の都合もあるので現実的ではありません。猫の排泄回数を考慮すれば、一日朝と夜に2回はチェックしましょう。

砂を変更する際は、一度に全量を変えるのは避けましょう。特にこれまで使ったことがないタイプの砂に変えるときは慎重に行ってください。最近では、消臭効果に加えて香りのついた砂もありますが、中に好まない猫もいます。

そのためにも、余分にトイレを設置しておくことはあらゆる面で有効です。寒い時期でもあたたかい所にあるトイレを選ぶなど、猫が使いたいトイレを選ぶ選択肢が広がり、トイレを我慢せずに済みます。住宅の作りによってはむずかしい面もあるかもしれませんが、出来る限り対応するようにしましょう。

まとめ

黒シャム

今回は猫がトイレを我慢してしまうときの理由と対策を紹介してきました。

猫は泌尿器系の疾患になりやすい動物。フードや飲水量も大切ですが、トイレを我慢させないようにしておくことも、猫の健康を守るうえで同じくらい大切なことです。

猫がトイレを我慢しているときは、トイレの使用回数や尿量などをチェックするようにしてください。トイレに入る前に迷うようなしぐさがあれば要注意です。

猫砂に関してはニオイの問題もあるため、飼い主の意向が強く出てしまいがちです。砂を変更するときにはすこしずつ入れ替えるか、これまでの砂は残したまま新しい砂は別のトイレに入れてみるなど、猫が自主的に選択できるようにしましょう。

そして、日頃の観察から、もし猫の様子がいつもと何か違うようなことがあれば、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

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