完全菜食は健康的?
「捕食動物の猫が完全菜食(ヴィーガン)をすると、より健康に過ごせるかもしれない」という研究結果が発表されました。完全菜食をさせている猫の飼い主に調査したところ、獣医を訪れる回数や投薬が肉食の場合より少なかったというのです。
「Plos One」誌上で発表された今回の研究は、自宅で1匹だけ猫を飼っている1369人の協力を得て行われました。完全菜食か肉食を自宅で最低1年間続けた猫について、健康状態や食生活などの質問への回答を寄せてもらったものです。
「健康指標」では肉食を上回る結果に
調査対象の9%の人が飼い猫に完全菜食をさせていて、それ以外は肉食を与えていました。研究リーダーを務めたAndrew Knightさん(英ウィンチェスター大学客員講師)は、「調査に当たり、我々が設定した7つの健康度指標について、すべての項目で完全菜食の猫のほうが一貫してよい状態だとわかりました」と話します。
たとえば、完全菜食の猫は、病気の治療のため動物病院に行く回数が肉食猫より7.3%少なく、投薬治療も14.9%、療養食による治療も 54.7%少ないことがわかりました。
「多くのペットフード会社が現在、必要な栄養素がきちんとすべて含まれている安全な完全菜食フードを開発・製造しています。こうした製品には、肉食のフードに含まれる不健康な要素が少なく、結果として、完全菜食フードを食べていた猫のほうが健康状態がよくなるのでしょう」
くわえて、この調査では22種類の疾病についても質問しています。肉中心の食事をさせている飼い主の42%は「猫に少なくとも1つの病気がある」と報告しているのに対し、完全菜食をさせている飼い主では同様の報告をした人は37%でした。
しかし、さらに深く分析したところ、完全菜食と肉食の猫の健康指標には、統計的に有意な差はありませんでした。それでも研究者たちは「今回の発見は、完全菜食が猫の健康に悪いとは必ずしもいえない根拠になるだろう」と考えています。
地球環境にやさしい可能性も
Andrew Knightさんはこう話します。
「ペットに完全菜食をさせることで、地球環境の保護に多大な貢献ができます。温室効果ガスの排出量を大きく減らすことができますし、土地や淡水の利用、食料エネルギーまでも、大幅に節約することができるのです」
肉食動物の猫に完全菜食をすることの危険性を指摘する声がありますが、彼は「猫が完全菜食をするについて、栄養学的な問題は見当たらない」と反論しています。
ペットフードの多くは主要原料として肉を使っていますが、海外では近年、植物やキノコ類を原料とする代替製品も出てきており、そのような状況に対し、獣医からは「肉や卵や乳製品を含まない完全菜食は、猫にとって健康的ではない」という声も上がっています。
さて、あなたはどう考えますか?
※編注:この記事はあくまで調査結果についてお伝えするものであり、猫のヴィーガン食を推奨するものではありません。
出典:・Cats given vegan diets ‘have better health outcomes’, study claims
・Vegan versus meat-based cat food: Guardian-reported health outcomes in 1,369 cats, after controlling for feline demographic factors