1.作業中の足元で静かに寝ている
勉強中や書類整理、在宅ワーク中など、猫は、作業中のテーブルに乗ったり手元に寝転んだりすることがあります。
普段は作業を妨げるように見える猫が、飼い主さんの足元で大人しく寝ているところを見ると「忙しいのが伝わっているのかしら?気を遣ってくれている?」と思う飼い主さんは多いようです。
しかしこの行動は、飼い主さんを気遣って静かにしているわけではありません。
猫は飼い主さんが多忙なことはなんとなく理解できていますが、この行動は遠慮とは少し意味の異なるもの。飼い主さんが多忙なときは要求が通らないことを学習している場合、猫は無理やり作業をジャマすることが少ないです。またアピールしたいほどの要求がないことも考えられます。
2.元気がないときに「そっと」近くにいる
飼い主さんが落ち込んでいたり、泣いたりしていると、愛猫が静かに近寄ってくることはありませんか。また、同居猫が体調不良のとき、まるで見守るようにそばにいることはありませんか。
これらの行動は、人間の目には「気遣ってくれている」と映りがちですが、実際には不安のあらわれです。
猫は変化に敏感なので、普段と違う様子を察知することで不安になります。不安を感じた猫は、いつものようにはしゃいで遊んだり、リラックスしたりしません。飼い主さんや同居猫の様子がいつもと違うときは、様子を観察している意味が強そうです。
3.噛み方に手加減を感じる
猫は嫌なことをされると、噛んだり爪を立てて怒ったりします。たとえば爪切りや毛玉カット、お薬やシャンプーなど、たとえ大好きな飼い主さんが相手でも嫌なものは嫌なのです。
そんな愛猫からの抵抗が、やさしい噛み方でまったく痛くないことはありませんか。飼い主さんの中には「私のことを傷つけたくないから手加減しているのね」と感じる人も多いようですが、これは気遣いや遠慮とは少し違うようです。
猫は、過去のやりとりから力加減を学習しているので、「このていど抵抗するだけで嫌なことをやめてくれる人」と思われているだけ。もし猫の攻撃が痛くないからといって猫の嫌がる行為を続けたとしたら、猫の噛みつく力はエスカレートしていきます。また次回以降、力加減をしなくなる可能性も高いのです。
4.同居猫にごはんを譲る
ごはんやおやつを食べているとき、他の猫に横取りされてしまう姿を見たことないでしょうか。
お皿に向かって食べているところに、頭をグイグイと押してきて、結局先に食べていたはずの猫が立ち去ってしまうのです。これを「譲ってあげた」「遠慮した」と感じる人もいるようですね。
猫にとって食事は、生理的な欲求です。本来ならそれを阻害されたとして、怒ったりケンカになったりします。
ただし、野生時代の猫と違い、家で暮らす猫にとって食事は、狩りをしなくても与えられる認識があるのかもしれません。猫の心理としては「争うくらいならまた後で食べにこよう」「ひとまず空腹は満たされているからまあいいや」という気持ちが予想されます。
まとめ
猫は自由気ままなイメージがあるため、遠慮や気遣いは無縁であるように思われがちです。しかし、猫はその場の空気を読むのが得意な動物。飼い主さんの喜怒哀楽や多忙な雰囲気は、キャッチできます。
そのため、上記のような猫の行動は、遠慮や気遣いとして人間の目に映ります。しかし人間の感覚でいう「遠慮・気遣い」は、相手によく思われたい気持ちのあらわれなので、少しニュアンスが違ってきますね。
ただし、遠慮や気遣いに感じられる猫の行動には、ある共通点があります。
良好な関係を保ちたかったり、自分を守ったりすることです。人間にとっての遠慮や気遣いが「相手の感情」を計算するものであるとしたら、猫にとっての遠慮や気遣いは「自分自身」のための本能なのかもしれませんね。
とても気ままに見える猫ですが、どのようなカタチであれ「気遣いはしている」という解釈で良いのかもしれません。