1.猫の分離不安
猫と飼い主が共依存になることで心配になることのひとつが、猫の分離不安です。分離不安とは、猫が精神的に飼い主さんに依存してしまう状態のことです。
猫が分離不安状態になってしまうと、飼い主さんの外出などでひとりになった途端、不安や寂しさから暴れたり大声で鳴きまわったりなどの行動を繰り返すなど、ひとりでいることへのストレスを感じやすくなってしまいます。
猫が分離不安になると、以下のような様々な症状や異常行動が見られるようになります。
- 過剰なグルーミング
- 食欲不振
- 粗相
- 破壊行動
- 嘔吐
分離不安は犬で問題となることが多く、独立心がある猫の症例は少なめでした。
しかし、近年では室内飼育が普及した影響で飼い主さん達と一緒に過ごす時間が増加したり、在宅ワークの普及などもあり、飼い主さん達が家にいる時間が長くなった結果、猫との距離も縮まり、分離不安を抱いてしまう猫も増えてきています。
もちろん、猫は室内飼育が基本であり、必ずしも在宅ワークという働き方を見直す必要もありません。ただ、毎日定期的に猫をひとりで過ごさせる時間を設けるなどの猫側の人への依存心を減らす工夫は考慮すべきです。
2.極端に猫を優先しすぎてしまう
続いてのリスクが、飼い主さんが猫に依存することで私生活を犠牲にしてしまう危険性です。
前提として、猫を大事にし優先させること自体は問題ありません。ただし、何事にも限度があります。
自分の生活や身の回りの人達を犠牲にしてまで猫を優先するのは過剰といえます。そこまでいかなかったとしても、飼い主さんの生活費を切り詰めてまで猫に贅沢させてあげる、猫のために外出は最低限にしているなども、一度考え方を見直す必要があります。
もちろん、猫を大事にすることは尊いこと。しかし、自分を犠牲にしてまで猫を尽くしていると遅かれ早かれ飼い主さん側が心身ともに破綻する懸念があります。
愛猫のためにも、猫以外に心の拠り所や生きがいを探す努力をするとともに、猫を優先しすぎないようバランスを意識してみましょう。
3.深刻なロスの懸念
猫と飼い主が共依存となることで注意が必要なことに、「ロス」も挙げられます。喪失感が強くロスの度合いが重度になると、うつなど精神不調を引き起こす恐れもあります。
飼い主がペットを失うことで起こる「ペットロス」は知られていますが、実は猫にも、このロスに近い症状が報告されています。大事な飼い主さんや同居ペットが何らかの理由でいなくなってしまったとき、その存在がよくいた場所を何度もウロウロしたりするなど、いなくなった家族を探すような行動が増えます。
共依存の場合、このロスの度合いが飼い主さん・猫それぞれにおいて重度となる懸念があります。
もちろん、共依存ではなくとも大事な存在との別れはツラく悲しいもの。しかし、いつかは心の整理をしなければなりません。ロスを防ぐためにも、いつかお別れがくることを覚悟しておく他、相談できる仲間や専門家を探しておきましょう。
もし猫がロス状態に陥った場合も、残された家族が変わらぬコミュニケーションを意識してあげることが大切です。必要に応じて動物病院などに相談し、お薬などを処方してもらうのもひとつの改善方法です。
まとめ
飼い主と猫の共依存には、様々なリスクが存在しています。
猫との絆が強いことは尊いですが、過剰になれば両者ともにデメリットを被る危険性があることを認識しておくことが大切です。
今回の記事を参考に、猫との心の距離感を見直してみてはいかがでしょうか。