猫に『しこり』を見つけたら危険?4つの原因と対処法

猫に『しこり』を見つけたら危険?4つの原因と対処法

猫を撫でていて、触れた場所に突起物があれば、(ん?しこり?)と不安になるものです。猫の体に見つかる「しこり」は、その種類によって危険なものもあれば大丈夫なものもあります。ここでは、猫の「しこり」の原因と対処法について紹介していきます。

SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1.毛玉の塊

胸に毛玉ができた白い長毛のネコ

猫を初めて飼う人は、「しこり」と「毛玉」を勘違いしてしまうことがあります。

猫の中でも特に長毛種は、毛玉ができやすい猫種です。被毛の毛足が長いため毛玉も見つけにくく、特におなかやおしり周りに毛の塊ができやすい傾向にあります。

また、ブラッシングを嫌がる猫の場合は、被毛がフエルト状に固まってしまい、ビー玉サイズから徐々にどんどん大きくなります。

隠れていた毛玉に初めて触ったときは焦ってしまうかもしれませんが、これは「しこり」ではありませんので焦る必要はありません。ただし、毛玉は放置してしまうと皮膚が引っ張られてしまい痛みが生じますし、毛玉のある部分の皮膚が炎症を起こしてしまう場合があります。ハサミで毛玉を切る場合は皮膚を巻き込んで切ってしまわないように十分注意してください。難しい場合は動物病院やトリミングサロンにお願いした方が良いでしょう。

2.「がん」と呼ばれる病気

医者に抱かれる猫

人間でも「しこり」を見つけると「がん」を疑うように、猫も「がん(悪性腫瘍)」になることがあります。しこりを見つけたらとにかく早く動物病院に連れて行ってください。

主に悪性腫瘍で見つけやすいのは、耳や鼻すじ、まぶたなどに発生しやすい「扁平上皮癌」。これは、白猫や中年以降の猫に見られやすいです。また乳腺のしこりは、避妊手術をしていないメス猫であれば「乳腺腫瘍」が疑わしく、その他悪性腫瘍にも「肥満細胞腫」「リンパ腫」などの種類があります。

ただし、腫瘍には良性のものもあります。良性の腫瘍は、皮膚上や皮膚直下にでき痛みがないのが特徴です。

いずれにしても、素人判断は非常に危険ですので、すみやかに動物病院を受診しましょう。

3.炎症による「腫れ」

診察を受ける猫

「しこり」ではなく、炎症した部位が腫れた「デキモノ」であるケースも考えられます。細菌や真菌感染による炎症で、部位が腫れ上がって硬くなることがあるからです。

この症状が長期戦になると、慢性炎症反応である「肉芽腫(にくげしゅ)」と呼ばれる状態になります。こちらは名称に腫瘍と同じ「腫」という漢字がついていますが、腫瘍とは全くの別のもので、ガンでもありません。

また、炎症性による「しこり」は、痛みがあるのがほとんどです。動物病院を受診して、しこりの検査を行い手術が必要なものか、内服薬などで治療可能なものかなど確認してもらいましょう。

4.「たこ・マメ」と同じ原理

エコーを受ける猫

猫にできる「しこり」には、人間にたとえるとたこやマメができるようなものと同じものがあります。

しかし、人間の場合は長時間鉛筆をにぎって「ペンだこ」ができたり、野球の練習で手の平に「マメ」ができたりするので、猫の「たこ・マメ」と聞いてもしっくりこないですよね。

猫の場合は、人間のように急激にたこやマメができたというよりは、時間をかけて同じ部分に刺激を受け続け、じっくり形成されていくイメージです。

猫の場合、「過形成」と呼ばれている症状で、一般的には「たこ・マメ」のイメージで受け止めて大丈夫。しかし、生活に支障が出たり、猫が気にしてなめたり血が出たりする場合は切除が必要なこともあります。

まとめ

向かってくる猫

猫の体に突起物を見つけると、飼い主としてはすごく焦りますし、不安で怖いと思います。

しかし、人間が触れて「しこり」と思えてしまったものでも、必ずしもその全てが「しこり」であるとは限らず、毛玉の塊である場合もあります。

ただし、どの場合も「しこり」らしきものを発見したときは、様子を見るという選択肢はNG。必ずすみやかに動物病院を受診しましょう。

しこりの場合、見た目による判断はただの目安でしかありません。あくまでも検査によって判断されるべきものなので、症状が悪化しないうちにお医者さんに診てもらいましょう。

スポンサーリンク