猫の「顔面神経麻痺」の症状
猫の顔面神経麻痺は、顔面の筋肉の動きや涙の分泌などに関わる顔面神経に麻痺が起こる病気です。
具体的な症状4つを以下に挙げます。
- 唇や耳を動かすことができない、垂れ下がる
- 瞬きができない
- 涙が少ない、目が乾燥する
- うまく食べられない、よだれを垂らす
片側に症状が出ることが多いですが、ごくまれに両側に症状が出ることがあるそうです。症状は急にあらわれることが多いです。麻痺が起こると耳や唇の位置が左右で異なり、食事をするときに食べたものや飲んだ水が口からこぼれてしまったり飲食ができなくなったりします。常によだれを垂らすようになることもあります。
涙が少なくなることで目が乾燥する上に瞬きができないため、角膜に傷がつきやすくなって角膜炎や角膜潰瘍が起きたり、結膜炎になることがあります。
猫の「顔面神経麻痺」の原因
猫の顔面神経麻痺の25%は、原因が特定できない「特発性顔面神経麻痺」だと言われています。「特発性」とは原因を特定できないという意味です。
顔面神経麻痺で原因が分かるものには、中耳炎や内耳炎、腫瘍、事故やけがなどがあります。
猫の「顔面神経麻痺」の治療
顔面神経麻痺の治療としては、中耳炎や腫瘍など、原因となる病気が分かればその治療を行います。原因によっては手術が必要です。原因となる病気が治っても、顔面神経麻痺が残ってしまうこともあります。
検査をしても原因が特定できない特発性顔面神経麻痺の場合は、特に治療法はなく「経過観察」をしながら対症療法が行われます。ビタミン剤を与える場合もあります。
瞬きができなかったり、涙が少なかったりして目が乾燥する場合には、目薬や眼軟膏を使用します。
うまく食べられない場合には、口に入れて飲み込むことがしやすい食事に変えたり、流動食を食べさせてあげたり、口の周りを清潔に保つようにしたりする必要もあります。
顔面神経麻痺は数週間で治ることも多くありますが、中には麻痺がずっと残る場合もあります。
猫の「顔面神経麻痺」の予防
まずは、猫の顔面神経麻痺の原因で多い、事故やけがを防ぎましょう。
「中耳炎」を防ぐ、悪化させないことも顔面神経麻痺の予防になります。健康な猫では外耳炎はあまり多くありませんが、耳ダニの感染から外耳炎となり、そこから炎症が広がって中耳炎となることもあります。
また、耳が折れている猫では外耳炎や中耳炎が起こりやすいそうです。もし外耳炎や中耳炎になってしまったら、放置しないことが顔面神経麻痺の予防に繋がります。
腫瘍は防ぎようがありませんが、猫が耳を頻繁にかく、顔を片側に傾けるなど、耳を気にしている様子がある、鼻や眼に何か異常が見られるなどの場合は、早めに動物病院を受診して原因を特定してもらいましょう。
まとめ
猫の顔面神経麻痺では、耳や唇など顔面の筋肉を動かすことができなかったり、涙が少なくなったりします。
事故や中耳炎などが原因としてあげられますが、検査をしても原因がわからない場合もあります。その場合、麻痺を治す方法はなく対症療法をするしかありません。
顔面神経麻痺を放置すると目に傷ができたり十分に栄養がとれなくなったりするので、猫の様子がいつもと違うときは、早めに動物病院を受診しましょう。