猫との『キス』は危険?感染の可能性がある病気5つ

猫との『キス』は危険?感染の可能性がある病気5つ

猫が保有する菌の中には、人獣共通感染症があります。猫とキスをすると、感染する可能性がありますので注意が必要です。今回は、猫との「キス」によって感染の可能性がある病気を5つ紹介いたします。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫との「キス」で感染の可能性がある病気とは

甘える猫

「動物は菌を持っている」という話を聞いたことがないでしょうか。その菌があるがゆえに、「キス」のような濃密な触れ合いを動物とするのは避けるべき、ともいわれているのです。

実際この話は本当のことなのです。猫の口の中にも様々な常在菌がおり、中には猫から人に感染する病気も。

今回は、猫と「キス」で感染の可能性がある病気を紹介いたします。

1.カプノサイトファーガ感染症

これは、カプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌が原因で起こる感染症です。カプノサイトファーガ・カニモルサスは、猫の57~64%が保菌しているといわれています。

初期症状は「発熱」「倦怠感」「腹痛」「吐き気」「頭痛」などで、重症化すると敗血症を起こす恐れがあります。最悪のケースでは命を落としてしまうことがあります。

基本的には咬まれたり引っかかれたりすることで感染します。

2.パスツレラ症

これは、パスツレラ菌が原因で起こる感染症です。特に、犬や猫などと暮らす機会が多い先進国で多く発症している傾向にあります。

甘噛みなどで噛まれた部位が炎症を起こし、化膿する恐れがあります。さらに重症化すると敗血症を引き起こす可能性があります。

パスツレラ症は猫の爪の中にも存在しているため、引っ掻かれたことが原因で感染してしまうケースもあります。

3.コリネバクテリウム・ウルセランス症

ジフテリアに似た感染症で、呼吸器にも感染をおこしやすく喉の粘膜がやられてしまうと、そのまま喉が腫れ上がり、呼吸困難を引き起こす恐れがあります。

また、皮膚に炎症を引き起こしたケースもあるので要注意です。

4.猫のクラミジア性結膜炎

ネコクラミジアという細菌が原因で起こる感染症です。人が感染すると結膜炎を引き起こします。

日本国内で猫から人に感染した例は報告されていませんが、外国では報告例が上がっています。

5.トキソプラズマ症

これは、トキソプラズマという寄生虫が原因で起こる感染症です。主に便を介して感染します。猫はお尻を綺麗にする目的で舐めることがあるので、我々も舐められることによって菌が入り込む恐れがあります。

ただし菌自体は弱く、健康な成人であればダメージがないケースがほとんどです。実は知らぬ間に感染し、何事もなくやり過ごしている人が多く存在します(猫以外の動物も保菌している身近なものであるため)。

トキソプラズマ症に特に注意が必要なのは、妊婦さんです。感染歴がない状態で感染すると、流産や胎児の先天性疾患(目や神経、運動に支障をきたすもの)に繋がる恐れがあります。

猫との「キス」で病気に感染してしまうきっかけ

鼻を舐める猫

こちらでは、猫との「キス」で病気に感染する意外なきっかけについて解説します。

可愛い愛猫とのコミュニケーションは信頼関係を確固たるものにするためには必要なことではありますが、「キス」については常に注意しておく必要があります。何気ない日常の単純な動作や状況で、深刻な感染症に発展しまう危険性があります。

猫に傷口を舐められる

例えば、乾燥によって唇が荒れ、知らぬ間に切れていたり、口腔内に傷があることがありますよね。

その部分を舐められたり、舐められた部分をご自身で舐めてしまうことで菌が入り込みます。

猫に甘噛みされる

直接傷がない場合でも、猫に噛まれてしまったら感染症を引き起こす恐れがあります。

猫はキスの途中で甘噛みをすることも考えられるので、傷口から感染する恐れかあります。

自分の免疫力が落ちている

普段よりも免疫力が落ちていたり、服薬によって免疫力が下がっている場合は、より感染症が起こりやすくなります。

免疫力が落ちていると、人獣共通感染症に限らず病気になる可能性があがってしまうため、常に細心の注意が必要になります。

まとめ

キスされる猫

今回はキスが原因で起こり得る感染症を5つ紹介いたしました。正直どれもカタカナばかりで覚えにくいですよね。

そこで、いくつか重要なポイントを挙げておきます。猫との濃密な触れ合いの後に、次のようなトラブルがあれば医療機関で事情を説明してください。

  • 風邪っぽい症状が改善しない
  • 傷口が化膿している
  • 皮膚炎などが起きている

早期発見によって適切な治療が受けられれば、その分最悪の事態を回避することができます。そもそもそれ以前に、猫とのキスを避けるようにする事が得策です。

猫とのスキンシップは頬擦り程度にしておきましょう。そして、触れ合った後はしっかりと手洗いをするようにしてください。

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