『貧血』気味の猫にあらわれる特徴5つ 対処法と放置の危険性も

『貧血』気味の猫にあらわれる特徴5つ 対処法と放置の危険性も

猫も貧血になることがあります。今回は、「貧血」気味になった猫に見られる特徴や、適切な対処法について詳しく解説いたします。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

「貧血」気味の猫にあらわれる特徴とは

元気がない猫

猫も貧血になることがありますが、全身が被毛で覆われているために顔色を見て貧血を疑うことはできません。

そこで今回は、「貧血」気味になっている猫にあらわれやすい特徴を5つ紹介いたします。

1.元気がなく動かない

一般的に、貧血になると疲れやすく、動くことが億劫になります。

これは猫も同様で、活発に動くことをやめてしまい、どことなく元気がない印象を受けるでしょう。足元がふらついて見えることもあります。

2.食欲がない

猫は体の調子が悪くなると食欲が落ちる傾向にあります。これは貧血気味の時も同じで、やはり食欲不振に陥ります。

3.口の中や舌が白くなる

冒頭で顔色を見ることが困難だと紹介しましたが、口の中や舌の色を確認することは可能です。あくびをしたタイミングや、鳴き声を発した時にさりげなく口の中を見てください。

口腔内や舌が白くなっている場合は貧血が疑われます(他の病気が潜んでいる可能性も)。

4.呼吸が荒くなる

貧血時には、動悸や息切れというような症状も出てきます。猫の身にこのような症状が出た場合は、呼吸が荒くなります。

口を開けて「ハァハァ」と大きく呼吸をしていたら要注意です。猫は本来、鼻呼吸をする動物なので、口を開けて呼吸をすることがありません。

5.白目が黄色くなる

貧血が疑わしい状態の時には、黄疸が出ることもあります。

黄疸が見られる場合は、白目が黄色くなるので確認してみてください。合わせて口腔内の粘膜が黄色くなることもあります。

猫が「貧血」気味な場合の適切な対処法

診察される猫

先ほどの項目で紹介したような特徴が見られた場合、放置するのは危険です。適切な対処法をいくつか紹介いたします。

怪我や血尿、血便の有無を確認する

まずは、出血を伴う怪我をしていないか確認してみましょう。あれば動物病院で診察を受けてください。

外傷がない場合は、血尿や血便が出ていないかも確認してみます。

ちなみに、血尿は必ずしも赤いとは限りません。濃いオレンジ色だったり、茶色っぽい印象を受けることがあります。

いずれの場合も、異変があればかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

ネギ・玉ねぎなどを食べていないか確認する

猫にとって、ネギや玉ねぎは天敵のような存在です。誤って食べてしまうと、中毒による溶血性貧血(赤血球が破壊される)を引き起こします。

特に目立った外傷がない場合は、ネギや玉ねぎのストックをチェックしてみてください。誤飲が疑わしいのであれば、その旨を伝えたうえで診察を受けましょう。

また、日頃から手の届かない場所で保管し、キッチンに入れないように柵などを設置しておくと安心です。

ノミやマダニ対策をする

ノミやマダニなどが寄生すると吸血され、知らぬ間に貧血になっていることがあります。

予防薬を活用したり、完全室内飼育を徹底するなどの虫除け策を講じておきましょう。

高齢猫は健診を受ける

貧血の背景には内臓の病気が隠れていることもあります。慢性腎臓病・肝臓病・悪性腫瘍などの病気は高齢猫に多いため、10歳を超えたら年に1回は健診を受けておくと安心です。

普段の生活の中で異変を感じた場合は、できるだけその日のうちに診察を受けるようにしてください。シニアの場合は、放置してしまうと一気に容態が悪化する恐れがあります。

子猫を迎えたら様子をよく見る

特に保護猫の場合は寄生虫の影響で貧血気味になってしまうことがあります。また、猫免疫不全ウイルス感染症、猫白血病ウイルス感染症などの感染症の影響で貧血を起こすこともあります。子猫は免疫力が低く、感染症にかかりやすい傾向があります。様子をしっかり確認しましょう。

まとめ

えさを食べようとしない猫

「貧血」という言葉を目にすると、「ふらふらする」「突然倒れてしまう」というようなイメージがあるかもしれません。

しかし実際の特徴としては、「元気がなく動かない」「食欲不振」「口の中や舌が白くなる」「呼吸が荒くなる」などの症状があらわれます。このような症状が見られた場合は、動物病院で診察を受けてください。

普段の生活の中では、怪我や寄生虫の感染・ネギ類の誤飲などに気をつけましょう。貧血自体を直接予防する手立てはありませんが、これらを意識するだけでもリスクを減らすことができます。

子猫や高齢猫はとくに命に関わる事態に陥りやすいので、些細な異変でも診察を受けるようにしましょう。

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