1.耳ダニ
ミミヒゼンダニが猫の耳に寄生すると、においのする黒色の耳垢が出ます。耳がかゆくなり、足で耳をかいたり、頭を振ったりします。耳をかいたときに傷ができると細菌感染を起こすこともあります。
動物病院を受診し、耳ダニが確認されたら駆虫薬の投与や耳の洗浄が行われます。駆虫薬は日にちを開けて複数回投与します。耳ダニは繁殖力が強く、駆虫薬は卵には効果がないので治療に時間がかかる場合があります。
耳ダニは、耳ダニに感染している猫との接触によって感染するので、保護された猫や外に出る猫でよく発症します。子猫がブリーダーやペットショップで感染していたということもあります。
多頭飼育をしているご家庭で耳ダニに感染した猫がいる場合は、他の猫から隔離したり全ての猫を治療する必要があります。
2.細菌感染・真菌感染
ブドウ球菌などの細菌による外耳炎を起こすと、耳に膿がたまってにおいがする、黄色の耳だれ(膿)が出る、皮膚の赤みやただれなどの症状があらわれます。
また、真菌の一つであるマラセチアによる外耳炎が起きると、耳から独特の発酵臭がし、茶色や黒色の耳垢やかゆみが見られ、猫が自分でかいて傷がつくとさらに細菌感染が起きてしまうこともあります。
これらの外耳炎は、猫の皮膚や耳の中に常在している細菌や真菌が、猫の抵抗力が落ちたときや耳の中の環境が細菌や真菌にとって増えやすい環境になったときなどに過剰に繁殖することが原因です。
対処方法として、動物病院で検査をして原因を調べてもらいます。もし細菌やマラセチアが過剰に増殖していれば、投薬や耳の洗浄などの治療が行われます。
治療の一つとして耳掃除を指示されることがよくあります。指示通りに定期的に耳掃除をして清潔に保つことが大切です。ただし、耳掃除のしすぎは、皮膚を傷つけて炎症を起こさせ、より外耳炎を悪化させてしまうことがあるので注意しましょう。
3.アレルギー
アレルギーによる病気が関係して、猫の耳に外耳炎が起こって耳から異臭がすることもあります。
外耳炎を起こす可能性のある猫のアレルギー疾患には、蚊アレルギーや食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などがあります。ノミ・ダニの予防を定期的に行うとともに、蚊にさされにくい環境を作り、それでも外耳炎が起きる場合には、動物病院を受診して原因を特定してもらいましょう。
4.異物
耳の中に入ってしまった異物によって、違和感で耳をかいたり、頭を振ったりします。耳の中に入った物によっては耳の中を傷つけて細菌感染が起こり、化膿する場合があります。
猫の耳の中に入った物を自宅で取ろうとすると、耳の奥に押し込んでしまったり耳をより傷つけてしまうおそれがあるので、動物病院で取ってもらいましょう。
5.腫瘍
猫の耳に腫瘍ができて炎症や化膿が起こると、耳から異臭がする、耳だれが多く出る、かゆみ、痛みなどの症状が出ます。外耳炎がなかなか治らないと思っていたら、実は腫瘍だったというケースもあります。
腫瘍の治療の基本は、手術で切除することです。
まとめ
健康な猫では、耳がにおうことはありません。しかし、耳ダニや細菌などによる外耳炎などによって、耳から異臭がすることがあります。
治療が遅れると悪化するので、日頃から猫の耳をチェックして、においや異常な汚れがないかを確認をしましょう。
もし猫の耳に異常を見つけたら、早めに動物病院を受診することをおすすめします。