日本では昔から山菜を食べる習慣があり、脂質が少なく食物繊維が多いという特徴からその季節には積極的に食事に取り入れている方も多いのではないでしょうか。
ただ、山菜は人間の健康にとっては良いイメージを持たれている一方で、猫が食べると重大な健康被害を及ぼすこともあります。
一般的な山菜の中で猫にとって毒性があるものを3種類、その理由と誤食したときの対処法と併せて解説していきます。愛猫との健康で安全な生活のために、ぜひ参考にしてみてください。
1.ワラビ
ワラビには、猫に害を及ぼす可能性のある成分としてプタキロサイドやチアミナーゼが含まれています。プタキロサイドは動物で発がん性が示されている物質ですが、あく抜きをしっかり行えば無毒化されます。
チアミナーゼはビタミンB1(チアミン)を破壊してしまう酵素で、ビタミンB1欠乏症の原因になります。チアミナーゼは加熱すればその働きが失われます。人間でも、ワラビを生で食べてしまうとプタキロサイドによる下痢や嘔吐、ビタミンB1欠乏症による食欲不振や痙攣などの症状を起こす可能性があります。
生のワラビを猫が食べてしまうことがないようにし、下処理をしたワラビであってもわざわざ猫に与えることはないでしょう。
2.ゼンマイ
ワラビを食べてはいけない理由の一つとして挙げたチアミナーゼは、ゼンマイにも含まれています。
ですから、生のゼンマイを食べるとビタミンB1が破壊されてしまい、ビタミンB1欠乏症(脚気)になることがあります。
ビタミンB1欠乏症になると、食欲不振や痙攣以外にも、成長不良や姿勢の異常、麻痺などが起こり、欠乏状態が続いて治療が行われないと、動けなくなったり昏睡状態に陥ったりして数日で死亡することも考えられます。
3.ギョウジャニンニク
ギョウジャニンニクは北海道では別名「アイヌネギ」とも呼ばれており、その名前の通り長ネギやタマネギと同様のネギ属に分類されます。このことから、猫には絶対に与えてはいけない山菜だと分かります。
ギョウジャニンニクをはじめとしたネギ属には、猫のヘモグロビンを酸化させて正常に機能できなくさせる成分が含まれており、胃腸への刺激による嘔吐や下痢の他、貧血によるふらつきや血尿などが見られ、命にかかわることになる可能性もあります。
猫が超キケンな山菜を誤飲・誤食したときの対処法
もし目を離した隙に、今回ご紹介したような超キケンな山菜を猫が食べてしまった場合、すぐに飼い主さんが対処する必要があります。
もしまだ飲み込んでいない場合、取り出せそうであれば口を開かせて取り除きましょう。
一方で、口の奥に入っている場合、無理に取り出そうとすると猫がパニックになって慌てて飲み込もうとして窒息してしまう危険性もあるため、無理に取り出そうとしない方が良いでしょう。
何をどのくらいの量を食べた可能性があるかをできるだけ把握し、動物病院を受診する必要があります。事前に動物病院に電話をしてから向かうと、より早く処置を受けられるでしょう。
もし口の中の見える範囲から山菜を取り出せた場合でも、それ以前に食べてしまっている可能性があり、食べたものや量によっては命に関わる場合もあるため、すみやかに動物病院を受診することをおすすめします。
今回ご紹介した山菜のうち、ネギ属のギョウジャニンニク以外は生で食べなければ大きな問題とはならないでしょう。採ってきた山菜を猫が遊んで口にしてしまわないように注意しましょう。
山菜は人間でも大量に食べるものではありません。下処理済みのものであっても、処理が不十分な可能性もありますし、猫に山菜を与える必要もありません。やはり山菜は、猫に与えない方が無難だといえるでしょう。
まとめ
ここまで、猫に健康被害を及ぼす可能性のある山菜を3つご紹介しました。
猫は肉食のため、自ら山菜を食べようとすることはあまりないでしょうが、飼い主さんが手に持っていたり採ってきた山菜が置いてあったりすれば、遊ぶものとして興味を示すことが無いとはいえません。
事前知識を持つことで危険な状況になることを防ぎ、さらに愛猫がもし食べてしまった場合には、普段通院している信頼できる病院へ指示を仰ぐことが大切です。
最悪の状況に陥ることがないように、今回ご紹介したような猫に危険を及ぼす可能性がある食材とその対処法について理解を深め、愛猫との生活をより安全なものにしていきましょう。