猫に『水』を与えるときの基礎知識5つ!飲まない時の対処法も解説!

猫に『水』を与えるときの基礎知識5つ!飲まない時の対処法も解説!

猫に与える「水」について、考えたことはありますか? 水といっても軟水や硬水、水道水や井戸水などいろいろです。猫に与える水の基礎知識をチェックすることで、猫が水を飲まない時の原因や対法法もわかりますよ。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1.ミネラルウォーターは注意が必要

ペットボトルのミネラルウォーター

ミネラルウォーターとは、ミネラル成分がふくまれている水のことです。カルシウムやマグネシウム、ナトリウムが含まれていて、それらミネラル分の濃度によって、軟水と硬水に分けられます。

なおWHO(世界保健機関)の規定では、ミネラル成分が120mg/L未満の水を『軟水』、120mg/L以上の水を『硬水』と定めています。

猫は体質的に尿路結石ができやすいので、その原因になるミネラル成分を過剰に摂取するのは厳禁です。よって、猫にミネラルウォーターを与えるときは、ミネラル分の多い硬水はNG。過剰なミネラルを排出するための腎臓にも負担となるため、軟水を選びましょう。

ただし軟水でも、ミネラルウォーターを選ぶときは注意が必要です。

ミネラルウォーターは加熱殺菌はされていても塩素消毒はされていなません。そのため、長時間放置することで雑菌が繁殖しやすくなるので、置き水には不向きです。

2.水道水はOK、井戸水はNG

蛇口から水を飲む猫

猫に水道水を与えることをためらう人がいます。しかし、日本の水道水は軟水なので、猫が飲んでも大丈夫。むしろ、ミネラルウォーターよりもミネラル分が少ない分、水道水の方が猫に適した水といえそうです。

水道水の消毒成分を懸念する声もありますが、これは健康を害するような濃度ではないので大丈夫です。

猫は水道水に含まれたカルキ臭を嫌がることがあるので、一度水道水を沸騰させ、冷ましてから与えると良いですよ。ただし、煮沸で消毒成分が抜けることで雑菌の繁殖が懸念されるため、こちらも放置はやめましょう。

また、蛇口から出る水でも、井戸水を使っている家もあります。井戸水はミネラルや鉄分が含まれているので、猫にとっては硬水のミネラルウォーターのようなリスクがあります。また水質検査の間に水が汚染される懸念もあるので、猫には井戸水を与えない方が安全といえるでしょう。

3.たまり水や結露はNG

たまり水をタッチする猫

ベランダにたまった雨水やお風呂場、シンクの桶の水を猫が飲んでいる姿を見たことはありませんか。

猫は清潔な水が好きなはずなのに、なぜか不衛生な水を飲むことがあります。時間の経った水は、水道水のカルキ臭さがないので、猫にとって嫌なニオイがしないということも猫が好む理由のひとつです。

しかし、ベランダの水には室外機から出た水や、虫や枯れ葉がまざった雨水など、雑菌がたくさん。お風呂の水にも、洗剤や入浴剤などが含まれている場合もあります。猫に飲料水として与える水以外の「たまり水」は、できるだけ飲ませないように工夫しましょう。

ちなみに、寒い冬に窓につく結露も舐めさせないようにしたいもの。結露にはカビが含まれている懸念があるため、いつも猫が座るような窓辺のガラスは小まめに拭いてあげるのが良さそうです。

4.冷水ではなく常温を

自動給水器で水を飲む猫

人は、暑い日に冷たい飲み物を飲みたくなりますが、猫も同じだと勘違いしてはいけません。猫は冷たいものが胃腸に適さない動物なので、冷水をあげてしまうと下痢になってしまいます。

もちろん、中には冷たい水を好む猫もいますが、それでも「氷水」のようにキンキンに冷えた水を与えるのは厳禁です。猫の体温はおおよそ38度前後とされているので、本来は与える水も体の温度に沿った38度くらいのぬるま湯が良いとされています。

室内に水場を用意するので、夏場は常温でも大丈夫ですが、冬場は水飲み場が寒いと水も冷たくなってしまいます。季節によって水場を移動させて、水の温度を意識すると良いでしょう。

5.与えすぎも水分不足も注意

診察される猫

猫はそもそも多くの水分を必要としない生き物です。野生の中で生きていたからでしょうか、少量の水があれば大丈夫なのです。

人間の場合は、水分が不足すると脱水症状や熱中症が心配になります。猫の場合、必要な水分は体重により変動しますが、1kgに対して水20ml~45mlほどです。猫の平均体重は4kgで考えると、1匹に必要な水分量は40ml~180mlなので、コップ1杯程度と考えられます。

なお、猫が水を飲み過ぎると下痢もしますし、腎臓病の懸念も隠れているため与えすぎても問題ですが、水分不足も心配です。体内の水が足りないと尿路結石や膀胱炎にかかる危険があるからです。

ただし、水を直接飲むだけが水分補給ではありません。猫のウェットタイプのおやつは約90%が水分で、ドライフードも10%ほどの水分量があります。水分の与えすぎにならないよう、猫の様子を見てコントロールしてあげましょう。

まとめ

グラスに入った水と猫

猫が水を飲まないと、「与え方に問題があるの?」「病気にならないかしら?」と、心配になりますよね。

しかし、猫は少量の水でも生きていけるので、少しでも飲んでいる姿が見られれば大丈夫です。

ただし、猫が水飲み場以外の水を飲もうとしているときは、水を飲みたいのに愛猫に適した水分摂取の環境が整っていないのかもしれません。

その場合は、水場の位置や食器を変えたり、温度調節をしたり、水道水ならカルキ抜きもしてみましょう。ウェットフードでも水分補給できるので、愛猫に合う対処法を試してくださいね。

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