1.口内環境が悪い
野生動物だった肉食の猫は、捕食のときに歯の汚れが取れやすい仕組みになっています。しかしペットとして人間と暮らすようになった猫は、主食がキャットフード。食べカスが残りやすく、歯垢や歯石がたまりやすのです。
人間のように、猫もデンタルケアをしなければ口内環境が悪くなります。猫の口にも歯肉や歯周ポケットがあり、歯垢と歯石が蓄積すると歯肉炎や歯周炎の原因になってしまうのです。3歳以上の猫の多くが、歯周病にかかっているというデータからも、デンタルケアの大切さがうかがえますね。
また、口の中が乾燥することでも口臭は発生します。
猫は積極的に水を飲む動物ではないため、「ドライマウス」になりやすいのです。口の中が乾燥すると雑菌も繁殖しやすく口臭の原因になってしまうため、猫が水を飲みやすいように環境を整えてあげましょう。
2.口腔内の病気
先述した歯周病のほか、猫の口臭は口腔内の病気によっても発生します。
一般的なのは口内炎ですが、猫の口内炎は人間の口内炎とは少し異なります。人間の口内炎は局所的にできるだけですが、猫の口内炎は口腔内全体にできることもあります。軽傷でも全体に炎症が見られ、重症だと口の中がグジュグジュの状態になってしまいます。すると口元は異臭が漂い、よだれのニオイもきつくなるのです。
また、口腔内に腫瘍ができても口臭が発生します。しかも猫の口腔内腫瘍は、多くが悪性のため進行速度も早く、腫瘍が大きくなると食事をとることが困難になってしまいます。早期に手術をし、すべての腫瘍を切除するのが理想なので、口臭が気になるときにはその場で動物病院を受診することをおすすめします。
3.内臓疾患
人間も、胃の調子が悪いときに息が臭うことがありますよね。猫も同じで、口臭の原因が内臓疾患である可能性もあります。特に中年齢以降のシニア猫に発症しやすい腎臓疾患、肝機能不全、糖尿病は、症状のひとつに口臭がみられることがあります。
腎臓疾患は、老廃物や尿を排泄する器官の腎臓機能が低下するとで、体に毒素がたまってしまいます。こういった毒素は口腔〜消化管粘膜などの弱い組織にダメージを与え弱らせていくため、口臭が出るという理由です。
肝機能不全も腎臓疾患と同様、本来肝臓で分解される毒素が、体にたまり、口臭となってあらわれます。糖尿病については、体に作られる「ケトン体」による甘酸っぱい異臭です。
いずれも命に関わる病気ですから、口から異臭がした場合は早急に動物病院を受診しましょう。
ちなみに、猫は便秘になりやすい動物ですが、重度の便秘になっても、口臭が発生しますよ。
まとめ
猫の口臭対策には、定期的なデンタルケアをすることが大切です。それは口内環境を整えるだけでなく、口の中をチェックするきっかけになるからです。
普段の生活では猫の口内を覗く機会はほとんどない方でも、定期的なデンタルケアをすることで、愛猫の口内の異変や異臭、それが原因の病気の可能性にいち早く気づくことができますよ。
もちろん、口腔内の病気や内臓疾患が原因の場合は早急に動物病院に連れていくのが鉄則ですが、それらが否定できたら自宅での日々のデンタルケアを続けることをおすすめします。
とはいえ歯磨きが苦手な猫が多いのも事実。最近では指サックタイプの歯ブラシやデンタルジェル、デンタルケア用のフードやおやつもありますので、使いやすいものを選んでならしていってあげてくださいね。