1.汚れ
単に、鼻に汚れが付いているだけのこともあります。猫は気になるにおいがしたり見慣れないものがあると、丹念ににおいを嗅いでそれが何かを探ろうとします。その時に何か汚れや小さなものが鼻にくっついてしまうことがあるのです。
猫は舌で鼻の頭をペロペロしたり、前足で顔を洗ったりします。多くの場合、そのときに鼻の汚れが取れますが、汚れが取れずに残ってしまうこともたまにはあるかもしれません。その場合は、飼い主さんが優しく取り除いてあげてください。
飼い主さんが汚れを取ってあげる場合、爪などで強くこすると痛みを感じさせてしまったり傷を付けてしまったりする恐れがあります。コットンなどにぬるま湯を含ませ、優しく拭いてあげましょう。
2.シミ、ほくろ
シミやほくろが鼻に出来る場合があります。病気ではありませんので、特に問題はありません。また、模様として鼻の一部が黒くなっている猫もいます。
シミやほくろ、模様は、言うまでもありませんが拭いて綺麗になるものではないためなくすことはできません。猫にとっても何の問題もありませんので、レーザー治療を施してシミやほくろをなくしたいなどと思う必要すらありません。
3.悪性腫瘍
猫の顔に発生することのある悪性腫瘍には、メラノーマ(悪性黒色腫)や扁平上皮癌などがあります。メラノーマは猫で多く見られる腫瘍ではありませんが、猫の鼻にできることもあります。「黒色腫」という名前からメラノーマは必ず黒いと思われがちですが、黒くないこともあります。
メラノーマも扁平上皮癌も、「傷やできものが治らない、繰り返し同じ場所に傷ができる、傷やできものが大きくなってじくじくしてきた」と言って動物病院に連れて来る飼い主さんが多いそうです。
おかしいと感じた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
4.カビ
皮膚糸状菌症というカビによる感染症で、鼻が黒くなる場合があります。この場合の黒いものはかさぶたですが、かさぶたは白や赤っぽいこともありますし、かさぶたがポロッと剥がれ落ちて本来毛が生えている所がハゲることもあります。
皮膚糸状菌症は感染猫との接触によって移ります。新しい猫を迎えた時や多頭飼いの場合は、十分注意が必要です。
飼い主さんにも移る可能性があるため、感染猫に触れた後は必ず、手を綺麗に洗いましょう。また、使い捨てのビニール手袋などをしてから感染猫や糸状菌がいる可能性がある場所やものを触るようにしてください。徹底した家中の掃除や布製品の洗濯なども、必要となります。
疑わしい症状が出た場合はすぐに動物病院を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。
鼻の黒いものの危険性は?
単なる汚れ、シミ、ほくろの場合は猫の健康を損なう危険性は何もありませんが、問題なのはメラノーマなどの悪性腫瘍や皮膚糸状菌症などの病気の場合です。
どれも初期には、ただの傷と見分けがつきづらいかもしれません。いつまでも治らない、盛り上がっている、大きくなってきた、治ったと思っても繰り返しできるなどの場合は、病気によるものである可能性が高まります。早めに診察してもらうと良いでしょう。
まとめ
愛猫の鼻に突如として黒いものが表れたら、気になりますよね。汚れやゴミを取り除く時は無理せず、傷を付けないように優しく拭いてあげてください。
猫の鼻に症状が現れる病気もあります。もしおかしいと感じることがあれば、担当獣医師に話してみましょう。特に問題がないものであれば、安心できます。「何でもなかったらどうしよう」と思ってそのままにすることなく、猫の健康のために不安や疑問はできるだけ解消するようにしましょう。