猫が『目を異常に擦る』ときの原因4つ!対処法や擦りすぎる危険性も

猫が『目を異常に擦る』ときの原因4つ!対処法や擦りすぎる危険性も

猫が顔を洗うときは、目のあたりを前足で拭くように動かします。しかし、目だけを何度も擦っている場合は、目の病気でかゆみや痛みがある可能性があります。今回は、猫が目を異常に擦る原因や対処法をご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫が「目を異常に擦る」原因とは

目を擦る長毛の猫

猫が目を異常に擦るとき、どのような原因が考えられるのでしょうか。

1.感染性の結膜炎

結膜とは上下のまぶたの裏と白目の表面にある粘膜で、その結膜が炎症を起こすのが結膜炎です。

結膜炎になると目にかゆみや痛みがでるため、猫は前足で目を擦ったり、涙や目やにが増える、目が赤くなる、まぶたが腫れるなどの症状が見られます。

猫の結膜炎の原因の多くは様々なウイルスや細菌で、若い猫や子猫で多く見られるウイルスや細菌の感染による猫かぜの一症状として最も多く見られます。猫かぜの一つであるヘルペスウイルス感染による結膜炎は、症状が治まってもストレスがかかったときなどに再発することがあります。

治療は点眼薬や内服薬で行います。出てきた涙や目やにを拭いてあげて目をできるだけ清潔に保つことも大切です。

結膜炎の大きな原因となっている猫かぜは、その主なウイルスと細菌に対するワクチンがあり、ある程度予防したり重症化を防いだりできます。

2.角膜炎

角膜とは黒目を覆っている粘膜で、猫の場合は外から見える目の大部分になります。角膜に傷ができるととても痛く、猫が目を擦ったり目をシパシパさせたり、涙や目やにが出るようになります。角膜へのダメージが重度になると、角膜に潰瘍ができて穴が開いたりすることがあります。

角膜炎の原因は、傷や目の極度の乾燥、ウイルスや細菌、目の他の病気などがあります。原因や状態によって治療法は異なりますが、抗炎症剤や抗生物質などの点眼も使われます。症状が重度の場合は外科治療が必要となる場合もあります。

3.眼瞼内反症

まぶたが内側に反り返り、まぶたや毛が目の表面を刺激し傷つけるため、痛みで猫が目を擦るようになります。涙が多くなる、目やにがでるなどの症状も出ます。

眼瞼内反症の原因は、まぶたが内側に反ってしまうことです。猫では多くありませんが、ペルシャなどの短頭種は先天性の眼瞼内反症が見られることがあります。また、重度の結膜炎などによってまぶたが腫れて、まぶたや毛が目を刺激してしまうこともあります。

原因となっている結膜炎や角膜炎があればその治療をし、場合によってはまぶたの際の毛を抜いたり切ったり、手術でまぶたの形を整える治療が行われることもあります。

4.アレルギーや異物

アレルギーや異物、シャンプー剤や煙などが目に入ることで、感染性ではない結膜炎を起こすことがあります。この場合も、かゆみや痛みによって猫が目を擦ることがあります。

猫が目を擦るときの対処法

動物病院で目をチェックされる猫

猫が目を異常に擦る場合の対処法としては、早めに動物病院を受診することが大事です。早期治療が早期解決につながります。特に角膜の傷は、とても痛い上に時間が経ってからでは治すのが大変になります。

ひっきりなしに目を擦る、目が赤い、涙や目やにが出ている、まぶしいかのように片目をつぶっている、目をシパシパさせているなどの様子が見られたら、すみやかに動物病院を受診しましょう。

原因にかかわらず、目を擦ることは余計に目を傷つけますので、猫がそれ以上目を擦らないようにエリザベスカラーがあれば動物病院に連れていく前に装着してしまうのも良いでしょう。

猫が目を擦りすぎる危険性

目薬をさされる猫

猫が目を擦りすぎると、炎症が悪化したり傷が大きく深くなるおそれがあります。目に傷ができると、視力に問題が残ることもあります。

また、もともとは感染が起きていなくても、猫が自分で目を擦って目に傷ができると、そこに細菌が感染して重症化することもあります。

まとめ

前足で顔を擦る茶トラ猫

猫が異常に目を擦るのは、結膜や角膜に炎症が起きているときです。その原因は様々です。猫が目を擦ると目の炎症が悪化したり、重症化すると視力に問題が出たりすることもあります。

猫が目を気にしている、涙や目やにが多いなど、いつもと違う様子が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。

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