猫に「歯磨き」は必要なの?
猫の口の中はアルカリ性が強く、虫歯菌が生きられる環境ではありません。つまり、人間のように虫歯に悩まされることがないのです。
「だったら歯磨きは不要では?」と思いますよね。残念ながらそういうわけにはいきません。猫にも歯周病や歯槽膿漏といった疾患は起こり得ます。
歯磨きは猫が嫌がるお手入れの一つですが、将来的なことを考えると必要なのです。
猫が苦手な「歯磨き」を上手にする方法とは
『猫も歯磨きをしたほうが良い』ということは頭で理解できても、実践するのはなかなか難しい、というのが現状ですよね。
そこで今回は、猫が苦手な「歯磨き」を上手にする方法を伝授いたします。無理のない範囲で試してみてください。
1.歯磨きペーストの味に慣れてもらう
最初から猫の歯を磨こうとはせずに、少しずつ慣らしていくことが大切です。
まず導入として、歯磨きペーストの味に慣れ親しんでもらいましょう。特にジェルタイプがおすすめで、味は猫が好みそうなチキン味などになっています。
ジェルを飼い主さんの指先につけ、舐めてもらいます。人間の歯磨き粉とは異なるので口をゆすぐ必要がなく、そのまま舐めてしまって問題ありません。
2.口に触れる感覚に慣れてもらう
ペーストの味に慣れたら、同様の方法で口や歯に積極的に触れていきましょう。手で触れられる感覚に慣れてもらいます。
抵抗なく触れられるようになったら、軽く唇をめくり、ペーストを塗ってみます。
タイミングとしてはリラックス時や、眠たそうにしている時が最適です。正面からやろうとはせずに、背後からやるとやりやすいでしょう。
最初は全く関係のない動作(顎を撫でる・耳を撫でるなど)からスタートしてもOKです。緊張を解してから本題に入りましょう。
3.使いやすいブラシを選ぶ
猫の歯を磨くブラシは意外と種類があり、飼い主さんが使いやすいタイプを選択することが重要です。
指サック型やシートタイプであれば、トレーニングと同様の動作で歯を磨くことができます。シート状のものは指に巻き付けて使いましょう。
ブラシは猫用があれば猫用を購入し、入手が困難な場合は人間の新生児用のもので代用してください。
4.強く磨かない
たとえ汚れ落ちが気になったとしても、強く磨くのは絶対にNGです。
猫の口内炎は難治性のものが多く、人間のように完治しないことがあります。ブラシのタイプに関係なく、軽く当てることを意識してください。
5.一気に磨こうとしない
爪切りと同様に、1度に全ての歯を磨こうとするのは諦めましょう。ただでさえ苦手分野なうえに、猫は飽き性です。
極端に言えば、「1本磨けたからOK」という気持ちで少しずつ仕上げていきます。
「どうしても無理」な場合の秘策がある!
頑張って挑戦はしてみたものの、歯磨きだけはどうしても無理!ということも珍しくありません。そういう場合は、次のような方法で代用しましょう。
歯磨きおもちゃを使う
奥歯まではカバーできませんが、遊びながら磨くという方法があります。それが「歯磨きおもちゃ」です。
ヘチマやネットを被ったようなスポンジタイプのおもちゃで、蹴りぐるみの要領で遊ぶと歯の汚れが落ちるという仕組みになっています。
おもちゃにはマタタビが付属していることが多いので、少量のマタタビをかけて誘惑してみてください。
歯磨きおやつを食べさせる
おやつを通常のおやつから歯磨きおやつに切り替える方法もあります。
このタイプのおやつの特徴は、形状にあります。溝入りのジャーキーになっているので、食べる工程で汚れが除去されるという仕組みになっています。
食べるという動作であれば奥歯にもしっかり届きます。おもちゃと併用しても良いでしょう。主に前歯はおもちゃが、奥歯はおやつが綺麗にしてくれるでしょう。
サプリメントや療法食という手段も
例えば尿路系の疾患を抱えている場合、おやつには制限があることが多いですよね。また、食事自体も療法食というケースもあります。
一般的なおやつが難しい場合は、サプリメントや療法食でケアする方法もあります。ただしこれは、必ず獣医さんの許可が必要です。ワクチン接種や診察時に相談してみてください。
まとめ
人間の歯に歯垢が蓄積するように、猫の歯にも食べカスが原因の歯垢が付着してしまいます。これが重度になると、全身麻酔を用いたスケーリングや抜歯を受けなければなりません。
そうならないためにも、日頃から歯を磨くことが大切です。一度に全ての歯を磨こうとせずに、少しずつ磨いてあげましょう。
磨くという行為自体が難しい場合は、「歯磨きおもちゃ」や「歯磨きおやつ」を取り入れてみてください。
食事やおやつに制限がある場合は、かかりつけの獣医さんに相談してみましょう。場合によってはサプリメントや療法食という形でケアできます。
猫の歯の健康を守ることは、健康寿命を伸ばすことに繋がりますので、ぜひ普段から気にかけてあげてくださいね。