高齢猫を襲う『すい炎』…4つの症状と原因・治療方法とは

高齢猫を襲う『すい炎』…4つの症状と原因・治療方法とは

猫も、すい臓に炎症がおこる「すい炎」にかかることがあります。猫のすい炎は、急性より慢性の方が多く、特に高齢猫は注意が必要です。実は無症状のケースも多いので、症状をチェックして気を付けましょう。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

1.落下や事故後の嘔吐・下痢

吐きそうな猫

すい臓は、消化酵素を十二指腸に分泌する臓器です。その消化酵素はとても強力なので、通常すい臓内では不活性な状態。十二指腸に到着してから活性化される仕組みのため、すい臓に悪影響をおよぼすことはありません。

しかし、なんらかの原因によりすい臓内で消化酵素が活性化してしまうと、すい臓を溶かしてしまうのです。

猫がすい炎にかかったときの症状のひとつに、嘔吐と下痢があります。

嘔吐や下痢をしはじめる前に、ベランダからの落下事故や腹部強打などのケガがあれば、何かしらの内臓障害が原因となっていることが強く疑われます。中でも腹部の強打によってすい臓に障害が生じ、すい臓に酵素が漏れ出すことですい臓に炎症が起こる「急性すい炎」には要注意です。

もし思い当たる事故があり、1日に何度も嘔吐や下痢をくりかえすようなら「急性すい炎」かもしれないので、一刻も早く動物病院に連れていきましょう。血液検査や超音波検査などで、診断を受けることができますよ。

2.食欲減退

ぐったりする猫

食欲減退は、どの病気にも起こりやすいので、少し食欲がないだけですい炎と見極めるのは難しいものです。

しかし、猫の慢性すい炎は発見されるのが遅い病気のため、死亡した後に慢性すい炎であったと判明することも多いのです。直接的な死因が別の病気だったとしても、死亡した猫の60%が慢性すい炎にかかっていたという報告があるそうです。

食欲が減退するので、とうぜん体重も減少しますよね。しかし、猫の慢性すい炎は症状が出てきたり治まったりを繰り返すことがあるので、早期発見が難しいとされています。

さらに、食欲が減ることで食事量が低下すると、「脂肪肝(肝リピドーシス)」という別の病気を招いてしまいます。これは栄養が不十分になることで併発する病気。分解された体の脂肪が肝臓にいくため、肝臓がオーバーヒート状態になり、猫の体に脂肪が蓄積されてしまうのです。

ほかにも糖尿病など併発しやすい病気があるので、定期的な健康診断を受けるのがおすすめです。

3.老化現象と似ている

老けてきた猫

先述した「食欲減退」を筆頭に、毛艶の悪さや元気の低下、体重減少、脱水などの症状があげられます。これらは猫の老化にともなう症状と共通するので、なかには猫の慢性すい炎を「高齢猫の特徴」であると、見逃してしまうことがあるのです。

人間がすい炎にかかる原因(飲酒・喫煙)とは異なり、猫のすい炎の原因は「不明」とされています。しかも、すい炎の特効薬は、現時点では存在しません。

そのため効果的な予防法も立てられないので、特に高齢猫とされる7歳以降は、かかりつけの獣医師による定期的な健康診断が欠かせないのです。

4.腹部を痛がる

腹部を触られるる猫

猫のすい炎は慢性のものが多く、腹部の痛みは後発的な症状にみられやすいです。

すい炎で腹痛の症状が出ている猫は、腹部を守るように丸くなります。痛みのある腹部に触ろうとすると嫌がり、抱っこされることにも不快な反応をすることでしょう。

いつもはお腹を触ると喜び、抱っこの好きな愛猫が、触れようとすると怒り、よそよそしくなったときは、たとえすい炎でなくても体調不良のサイン。動物病院に連れていきましょう。

まとめ

診察される猫

今回ご紹介した症状の他にも、すい炎の症状として震えや黄疸などもありますが、わかりにくく、一般人の知識ではとても判断するのは無理です。

そのため、自然に回復することを見守っている間に様態が急変することもありますし、少しの体調不良であると見逃して悪化させてしまうこともあります。

病院ですい炎と診断されると、痛みや栄養の管理、吐き気の治療など、抗炎症剤や鎮痛剤というような投薬治療や栄養剤の投与に、血液を循環させるための輸液療法も行われます。

ほかの臓器への影響や合併症も懸念されるので、気になる症状があった場合は、早めに動物病院に相談してくださいね。

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