猫への間違った『耳のお手入れ』6つ!理由と正しいやり方

猫への間違った『耳のお手入れ』6つ!理由と正しいやり方

猫にも、耳掃除が必要な時があります。しかし人間と同様に、猫の「耳のお手入れ」ではいくつか気をつけるべきポイントがあります。今回は、耳掃除における6つのタブーとその理由、適切な方法について詳しく紹介いたします。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫への間違った「耳のお手入れ」とは

綿棒を添えられる猫

耳はとてもデリケートな器官。それだけに、お手入れをするにあたって注意してほしいことがあります。まず、基本的に健康な猫の耳は、掃除をする必要がありません。

もし汚れが気になることがあったら、湿らせたコットンなどを使って指で優しくふき取る程度で十分です。それだけでは汚れがとれない、すぐにまた汚れるという場合は、耳に病気がある可能性が高いので、動物病院での診察を受けましょう。

その上で、指示された通りに耳掃除を行います。スコティッシュフォールドやその交配種の折れ耳の猫では、耳に病気がなくても定期的な耳掃除が必要となるようです。

今回は、必要があって猫に耳掃除をする際でもNGな6つの行為と、それらが危険な理由について紹介いたします。あわせて適切な耳掃除の方法も解説いたします。

1.綿棒を使う

綿棒を使って猫の耳の中を掃除するのは危険です。病院で指示された場合を除いて、絶対にやめましょう。理由は『耳の中の皮膚を傷つける恐れがある』からです。耳の中の皮膚を傷つけると、それが原因で外耳炎になる恐れがあります。

耳の中のヒダに汚れがあって指では届かない場合、見える範囲でのみ綿棒を使うことはあるでしょう。その場合でも、猫が慣れていて安全に掃除させてくれる場合だけにしましょう。

時々獣医さんやトリマーさんが綿棒を使用することがありますが、これはプロならではのスキルですし、そのようなプロの方でも、どうしてもの必要がない限り綿棒で耳の中を掃除することはありません。

鼓膜については、外耳道がまっすぐな人間と違って猫ではL字型に曲がっている外耳道の奥に鼓膜があるため、綿棒で耳掃除をしただけで鼓膜を破る恐れはまずありません。

2.乾いたコットンで擦る

コットンは綿棒のように突いてしまう危険性がないので、猫の耳掃除では必要不可欠な存在です。

しかし、コットンの使用でも注意すべきポイントがあります。それは、『乾いた状態で耳の中を擦らないこと』です。

人間の耳の内部もそうですが、強く擦ると簡単に傷ができてしまいます。猫でも同じように、乾いたコットンで強く擦ると、摩擦で皮膚が傷ついたり強い刺激を与えてしまう恐れがあるのです。

耳のお手入れをする際は、必ず湿らせたコットンを使いましょう。専用のクリーナーがあれば尚良いですが、ぬるま湯でもOKです。

3.アルコール入りのウェットティッシュを使う

コットンが手元にない場合、ウェットティッシュで拭き取るという方法もあります。しかしこれは、ノンアルコールのものに限ったことで、アルコール成分を含んだものはNGです。

理由は耳の薄い皮膚に対して刺激が強いのはもちろん、万が一、傷や炎症があった場合により痛くなるだけではなく、傷や炎症を悪化させてしまうからです。

4.活発なタイミングで行う

耳のお手入れから逃げようとする猫

家猫は一般的に、夕方~夜の時間帯、早朝に特に活発になります。このような活動的なタイミングで耳のお手入れをしようとしても上手くはいきません。

どんな時間帯であっても、猫が遊びたい気分の時にお手入れをするのは控えましょう。逆にリラックスしているタイミングを狙ってみてください。

5.無理強いをする

他のお手入れと共通していえることですが、抵抗して嫌がっている最中に耳掃除を無理強いするのは良くありません。嫌な出来事はなかなか忘れませんし、次に同じことをしようとするともっと嫌がったり警戒するようになったりします。

猫が嫌がっている場合には、一旦やめましょう。耳に病気があってどうしてもお手入れしないといけない時以外は、耳を触らせることから始めて少しずつ耳掃除に慣れさせるトレーニングを行いましょう。

6.頻度が多すぎる

最初にご説明したように、特に異常がないのに毎日のように耳掃除をする必要はありません。病院で耳掃除を指示された場合には、頻度も病院の指示に従いましょう。

短毛種であれば汚れに気づいた時、もしくは1ヶ月に1回程度でOKです。

折れ耳の猫で汚れを取るためだけに掃除をする場合は、週に数回で良いようです。耳掃除のやり過ぎは、猫のストレスとなったり逆に耳の皮膚を傷つけてしまうことになったりします。

猫の耳掃除の基本的なやり方

猫の耳掃除

ここからは基本的な猫の耳掃除のやり方を紹介いたします。

膝に乗せるか抱っこして座る

一人でできる場合は、猫を膝に乗せるか抱っこをして耳掃除を行う人も座りましょう。猫は、人と同じ方向を向かせます。一人では難しい場合は、一人が猫を抱っこして座り、耳掃除をする人はその横に座ったり膝立ちをすると良いでしょう。

耳を撫でる

耳を撫でたり軽くマッサージをするなど、まず猫が嫌がらず、気持ち良いと感じることを行ってください。この時点で抵抗する場合は、次回にします。

耳を軽くめくる

猫の機嫌が良さそうであれば耳を軽くめくります。スコティッシュフォールドなどの折れ耳は、無理にめくってはいけません。

そして、飼い主さんが耳の中を覗きやすい角度を探してみてください。

汚れた部分のみ拭き取る

耳垢があれば、先ほど紹介したように耳用クリーナーやぬるま湯で濡らしたコットンで拭き取ります。あくまでも見える範囲のみ、汚れた部分のみを指を使って拭き取るようにしてください。

頻繁に耳が汚れる場合、耳を痒がっている様子がある場合、耳が臭う場合などは獣医さんの診察を受けてください。

まとめ

耳のケア

健康な猫の耳にも耳垢が出現したり、汚れてしまうことがあります。特に耳に異常がなければ、そのような汚れを気になった時に拭き取ってあげるだけで十分です。折れ耳の猫では、定期的に汚れをふき取る必要があるかもしれません。

耳はデリケートな場所。やり方を誤ると、逆に病気を招いたり猫のストレスに繋がる恐れがあります。

耳掃除をする際は、綿棒は耳の中では使用しない・乾いたコットンで強く擦らない・アルコールを含むウェットティッシュは使用しない・無理強いをしないなどの注意点を守りましょう。

そしてお手入れは手短に、そして猫も人間もリラックスした状態で行いましょう。

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