ストレスを抱えている猫の仕草や行動とは
猫はマイペースな半面、とても繊細な動物です。その繊細さが原因でストレスを抱え込みやすく、ストレスが溜まり過ぎてしまうと体調を崩してしまう危険性があります。
人間と同様に、ストレスをゼロにすることはできませんが、飼い主としてはいち早くその状況に気づいてあげたいですよね。
そこで今回は、ストレスを抱えている猫の行動や仕草を紹介いたします。
1.同じ場所ばかり毛繕いをする
毛繕い自体は猫の日課であり、健康の秘訣です。一方で、ストレスを抱えた猫がする毛繕いには、ある特徴があります。
それは、同じ部位をひたすら舐め続けること。特に舐めやすいお腹や内腿がターゲットになります。気持ちを落ち着かせようと必死になっているのです。
酷い場合は皮膚を痛めてしまったり、脱毛が起きてしまいます。
2.ソワソワして落ち着かない
何となくソワソワしている時も、猫はストレスを抱えている可能性があります。ニャーニャーと鳴きながらウロウロしたり、同じ場所を行ったり来たりすることもあるでしょう。
ただしこれらの行動は、病気のサインでもあります。例えば膀胱炎や尿路結石などです。落ち着かない様子と共にトイレに頻繁に通ったり、尿が出ていなかったりするのであれば、すぐに診てもらいましょう。
目立った症状が他にない場合でも、落ち着かない状態が続くようであれば1度診察を受けてください。
3.隠れて出てこない
猫はストレスを感じると、本能的に高い場所や狭い場所に隠れてしまいます。
リラックス時とは異なり、目を丸くしていたり、耳を横に寝かせたイカ耳になっていることが特徴です。これは警戒のサインです。
大きな音に驚いたり、地震や雷などで怖い思いをした際は、一時的に隠れてしまうことがよくあります。
また、お客様がお見えになった時も隠れて出てこないことがよくあるでしょう。いずれも安心できる状況になれば、自然と元の行動に戻りますが、しばらく待っても出てこない場合は体の不調を隠している可能性もあります。
隠れる理由に心当たりがないのに食事の時間になっても出てこないなど、明らかに元気がない様子があれば動物病院に連れて行きましょう。
4.イライラして攻撃的になる
猫がイカ耳になりながら、しっぽをバタンバタンと叩きつける行動が見られたら、これはイライラしている証拠です。同居動物と揉めてしまったり、何か嫌な体験をした後は猫でも苛立ちをあらわにします。
ここで無理に接近してしまうと、攻撃される可能性があります。明らかに機嫌を損ねていると感じたら、遠目からそっと様子を見るようにしましょう。
喧嘩が原因の場合は、落ち着いてから怪我の有無をチェックしてください。
5.嘔吐や下痢をする
ストレスに晒された生活は、猫の胃腸の働きに影響を及ぼします。胃の動きが悪くなれば嘔吐に繋がり、腸が過剰に動くと下痢をしてしまいます。
いわゆる消化器症状が続くと脱水になり、食事が取れないと肝臓にダメージを与えてしまいます。
他の病気の可能性も疑われるので、これらの症状が見られたら、病院へ連れて行きましょう。
6.元気がない、食欲がない
猫がどことなく元気がなく、食事が進まないという状況の場合も、ストレスを抱えているサインです。もちろん他の病気の可能性も考えられます。
明らかなストレス要因が分かっていれば、改善できるものは改善してあげましょう。すぐに思いつかない場合は、ここ最近の生活を振り返って書き出してみてください。
意外と飼い主さん側のストレスが影響していることもあります。思い当たる節があれば、改善する道を探してみてください。
ただし、元気や食欲がない状態を放置しておくと命に関わります。ストレスへの配慮をした上でも元気や食欲がない状態が続く場合は、あまり様子を見ずに病院に連れて行きましょう。
猫によくあるストレス要因と飼い主ができる正しい対処法
ここからは、よくあるストレス要因と飼い主ができる正しい対処法について紹介いたします。
刺激がない
遊び盛りの子猫や若い猫は、適度な刺激を求めています。あまりに単調な生活ではストレスを抱えてしまうのです。
対処法としてはキャットタワーの設置や、窓の外が見える環境を作る、活発になったタイミングを見計らって遊んであげることです。程よい刺激を作ることで心が満たされていきます。
環境の変化
引越しや飼い主さんの仕事内容の変化、進学などで生活リズムが変化した、家族や同居動物が増えたなど、家庭内の変化がストレスになることがあります。
対処法としては、飼い主さんがリラックスすることと、甘えてきたら気持ちに応えてあげることです。同居動物が増えた場合は突然同室に住まわせるのではなく、顔を合わせる、匂いを嗅がせるなどから少しずつ慣らしてあげてください。
一時的に猫が赤ちゃん返りをしたり、警戒して近寄らなくなったりすることもありますが、安心できれば普段通りの行動に戻ります。慌てず否定せず、寄り添ってあげましょう。
同居動物との別れ
一緒に暮らしていた動物との別れは辛いものです。これは猫も同じで、大きなダメージになってしまいます。
これも環境の変化と同様に、少しずつ時間をかけて慣れていくしかありません。甘えてきたら優しく撫でてあげましょう。著しい体調の変化がある場合は、病院に連れて行きましょう。
そしてその時に、詳しい事情を獣医さんに伝えてください。猫の症状を改善する処置はもちろん、動物の専門家として獣医さんがアドバイスをしてくれるはずです。
まとめ
今回は、ストレスを抱えている猫の行動・仕草と、飼い主ができる正しい対処法について紹介いたしました。
よく観察していると、ストレスを抱えている猫の状態は、人間がストレスを抱えた時と似たような様子になることがわかりますね。ただし、その対処法は猫と人とでは異なります。
猫の場合は抱きしめてあげたり、目を見て言葉をかけることが逆効果になってしまいます。親しい愛猫でもストレス下で目を凝視すると興奮することがあります。警戒を伴うストレスでは、遠目から見守ることが最適です。
猫のストレスも完全に無くすことはできませんが、改善できることから少しずつ改善し、発散できるものは発散させてあげましょう(運動はストレス発散に効果的)。
最後に、ここで紹介したものは病気と関連するものもあります。症状や行動が変わらない場合は、すみやかに動物病院での診察を受けることをおすすめします。