ペットロスとは?
猫の飼い主さんに多いお悩みを見ていく前に、まず「ペットロスとは何なのか」というところからおさらいしていきましょう。
ペットロスとは、猫などの一緒に暮らしてきた動物が死んでしまったり、迷子になったりして自分の元から去ってしまった時に飼い主に現れる身体的・精神的不調のことを言います。
不眠・拒食・集中力の低下などのさまざまな症状が現れるのですが、この時点ではまだ病気ではありません。
ペットロスは日本ではまだ理解が薄いのが現状です。しかし、動物と暮らしてきた人の約8割が陥るとも言われており、決して珍しいことではないのです。
病気ではなく「ごく自然なこと」だとも言えるペットロス。ですが、つらい症状が1年以上も続く場合には精神疾患へと発展してしまうこともあります。
そのため、飼い主は「ペットロスのことを正しく知ったうえで向き合っていくこと」が重要となるのです。
猫の飼い主だからこそのお悩み
ペットロスは珍しいことではなく、動物と暮らしてきた人であれば誰にでも陥る自然なことだとお話しました。
しかし、その一方で「猫の飼い主だからこそ」といったお悩みがあるのも事実です。ここからは、猫の飼い主さんに多いペットロスでの悩みをご紹介します。
1:お留守番が多かったという後悔
犬であれば、一緒に外を散歩したり旅行に連れて行ったりと、何かと家族との思い出を残しやすいですよね。
しかし、猫はというと生涯のほとんどを家で過ごします。飼い主になつく犬とは違い、猫はどちらかというと人よりも“場所になつく”動物。
猫にとって毎日過ごす家は縄張りのようなものなので、「おうちから離れたくない」「外が苦手」という猫ちゃんはとても多いのです。
ですから、猫と外に出ることが少なかったというのは何も悪いことなんかではありません。むしろ、それが猫ちゃんにとってはありがたかったはずですからね。
ですが、愛猫を失った飼い主さんはつい「いつもお留守番ばかりさせてしまった」と後悔してしまいます。
「お留守番が多かったこと=思い出が少ない」と思い込んでしまい、それが徐々に心のわだかまりとなってしまうのです。
2:体調不良に気づけなかったと後悔
みなさんは「猫は隠す動物だ」と聞いたことはあるでしょうか?お気に入りのおもちゃ、おやつ、うんちまで……猫はありとあらゆるものを隠したがりますよね。
これはどれも猫の本能から来る行動なのですが、「体調不良を隠す」というのも野生時代の名残から来ている猫の習性です。そのため、猫は弱っている姿を隠すのが本当に上手です。
ですから飼い主が「あれ?愛猫の様子がおかしいな」と気づいた頃には、もう症状がかなり悪化している……というケースも珍しいことではありません。
ですが、飼い主からしたら「どうして早く気づいてあげられなかったのか」と深く後悔してしまいますよね。
猫の本能での行動なので仕方がないことなのですが、愛猫が病気で亡くなってしまった場合に「私のせいで死んでしまった」と強い罪悪感を抱く飼い主さんはとても多いです。
猫の飼い主さんのペットロス解決法
猫ならではのペットロスのお悩みもあるとお話しました。では、こうしたつらい気持ちを解決するには、飼い主さんはどうしたらいいのでしょうか?
ペットロスを癒す方法として有名なものはいくつかありますし、これについては本当に人それぞれです。
ですが、ここでは先ほどもお話した2点を解決するためのおすすめの方法について、ご紹介していきます。
解決法1:愛猫の気持ちをキャッチ
最愛の猫ちゃんが旅立って「あの子はうちに来て幸せだったのか」と思う人は多いです。
先ほどお話したような悩みから「うちの子にならなければ、もっと長生きできたのでは……」と考えることもあります。
そんなふうに考えてつらくなった時には、ぜひお空の猫ちゃんの気持ちをキャッチするつもりになってみましょう。
実際にそんなことができなくても「つもり」で構いません。生前の愛猫の様子を思い出して、猫ちゃんがどのように考えていたのかを想像してみることが大切です。
どうでしょう?猫ちゃんは、あなたの家族になったことを悔やんでいるようですか?あなたのことを恨んだり責めたりしているでしょうか?
あなたが愛猫と暮らした時間が幸せだったように、猫ちゃんもあなたと家族になって一緒に過ごしてきたこと、とても幸せだったと思います。
私自身もペットロス経験者ですので、自分を責めて過去を悔やむ気持ちはとてもよくわかります。ですが「愛猫の目線になって、愛猫の気持ちを考えてみる」ということも、どうか忘れないでくださいね。
「こんなに幸せだったのに、どうしてわかってくれないの?」と、お空の猫ちゃんが不満に思ってしまいますよ。
解決法2:飼い主さん自身のことも認めよう
先ほどお話したお悩みのどちらも「後悔」という部分が共通していますよね。猫ちゃんの飼い主さんに限ったことではないのですが、ペットロスで悩む人の多くはこのように後悔の念を抱いていることがほとんどです。
- 愛猫が死んでしまったのは自分のせい
- その時ああしていれば、生きていたかもしれない
- 自分が何もできなかったのが悪い
先ほども少しお話しましたが、飼い主さんはつい自分の過去の行動や思考を認められずに苦しんでしまうのです。
たしかに「愛猫が死んでしまった」というのは耐え難い事実です。でも、決して「死」だけがその子の一生ではありませんよね?
飼い主であるみなさんが「愛猫のために」としてきたことだって、してあげられなかったこと以上にたくさんあったのではないでしょうか。
大切な家族である愛猫が旅立つと、遺された飼い主さんはどうしても「死」という部分だけを重点的に見てしまいます。
だけど、「自分はこれまであの子に何もしていないわけではない」と認めてあげましょう。これまで猫ちゃんの幸せを思って飼い主さんが過ごしてきたことだって、紛れもない事実なのです。
解決法3:「ごめんね」には「ありがとう」をプラス
愛猫が旅立って、つい「ごめんね」という気持ちばかりを抱いてしまう人は多いはず。このように「ごめんね」という気持ちが溢れてしまうのも、今は仕方がないかと思います。
でも、ぜひそれとセットで…ごめんねよりも少し多めに「ありがとう」という気持ちを持ってみてくださいね。
家族になってくれて、ありがとう。たくさんの思い出をありがとう。
無理に気持ちを変える必要はなく、あくまでも飼い主さんのありのままの気持ちが大切です。
それでも、たくさんの「ありがとう」を持ち続けることによって、徐々にペットロスでの“つらさ”は愛猫への“愛情や優しさ”に形を変えていきますよ。
「ペットロスから早く抜け出そう」と焦るよりも、少しずつ気持ちを変化させていけるように、時間をかけてゆっくりと向き合っていきましょう。