ペットロスの基礎知識
猫に限らず、動物と暮らしている人であれば一度は「ペットロス」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、言葉自体は知っていても、ペットロスについて「そこまで詳しくは知らない」という人も多いかと思います。
まずは、ペットロスについて正しく知っていきましょう。
ペットロスとは?
ペットロスというのは、一緒に暮らしてきた猫などのペットが亡くなったり迷子になったりして、自分の元からいなくなってしまった時に飼い主に起こる精神的・身体的な不調のことを言います。
ペットロスで起こる症状
ペットロスによって起こる症状は人それぞれですが、その中でも代表的なものは以下の通りです。
- 急に涙が出て止まらなくなる
- 拒食や過食
- 集中力の低下
- 幻覚や幻聴
- 激しい自責感や罪悪感
- 無気力や疲労感
ペットロスカウンセラーとして活動している私も、愛犬を亡くしてペットロスに陥った経験があります。
私の場合は上記のような症状に加えて、自律神経の乱れから発熱したり、毎晩愛犬の亡くなった時間になると目が覚めて眠れなくなったり……という症状も見られました。
ペットロスは病気ではない
ペットロスに陥ると、先ほどお話したような症状が顕著に現れます。そのため、ペットロスを“病気”だと思っている人も多いのですが、これは間違いです。
ペットロスは病気ではなく、動物と関わって生きてきた人であれば誰にでも陥る可能性のある、ごく自然なこと。
「早く治さないといけない」とか「今の自分はおかしい」と思う飼い主さんも多いのですが、そんなことはないのです。
ペットロスを重症化させないためのポイント
ペットロスは病気ではなく、ごく自然なことだとお話しました。
しかし、ペットロス自体は病気ではなくても、重症化したり長期化したりするとうつなどの精神疾患につながる恐れがあるのも事実。
そうした精神疾患への発展を防ぐためにも、飼い主はペットロスについて正しく知り、うまく向き合っていく必要があります。
ここからは、愛猫を亡くした飼い主さんがペットロスを重症化させないためのポイントをお話します。
しっかり悲しむ
私はペットロスカウンセラーとして活動する中で、たくさんの飼い主さんとお話をしてきました。その中でも特に多く感じたのは「悲しい気持ちを我慢してしまう」という飼い主さんです。
私自身もそうでしたが、お空のペットのことを想う飼い主さんはみなさん「ずっと泣いていたらあの子が心配する」と、つい泣くのを我慢してしまうんですよね。
しかし、ここで悲しむのを無理に我慢してしまうと、ペットロスは重症化しやすくなってしまいます。飼い主さんは「大切な家族が旅立ったのだから、悲しいのは当たり前だ」と思って、しっかり悲しむ時間を設けましょう。
「いつまでも泣いていたら天国の愛猫が心配する」と思う飼い主さんの気持ちもわかります。ですが、悲しい気持ちを我慢して無理をしている飼い主さんを見るほうが、天国の猫ちゃんはもっと心配になってしまうのではないでしょうか。
涙は愛猫への愛情がこぼれ落ちているのだと思って、今はたくさん泣いてくださいね。
「愛猫は幸せだった」と認める
愛猫を失った飼い主さんは、つい「あの子は幸せだったのか?」と不安になります。こうした不安感は、猫の飼い主に限ったことではありません。
しかし、猫は犬のように外でたくさんの思い出を作ることもできないので「いつもお留守番ばかりで寂しい思いをさせてしまった」と悔やむ飼い主さんが特に多いのです。
ですが、そんなふうに思ってしまう時には、一旦愛猫ではなく「自分の気持ち」を考えてみましょう。愛猫と過ごした日々、みなさんは幸せではなかったですか?
きっと、どの飼い主さんも「幸せだったに決まっている」と思うでしょう。その思いは愛猫だって同じなんですよ。
たとえ限られた時間であっても、大好きな飼い主さんとおうちで過ごす時間は、愛猫にとってものすごく幸せで濃いものとなったはずです。
愛猫が旅立ってすぐは、どうしても罪悪感や自責感などが強いかと思います。今すぐには無理でも、少しずつ天国へ旅立った愛猫の気持ちを汲み取ってあげるようにして「あの子は幸せだったのだ」ということを認めてあげるようにしてくださいね。
1人で抱え込まない
ペットロスはまだまだ周囲の人に理解されないことも多いため、飼い主さんはつい1人でつらい気持ちを抱え込んでしまいます。
しかし、心につらい気持ちをたくさん抱え込むのは、誰だって苦しいですよね。
周囲の人に話しづらい場合には、SNSで同じようにペットロスに陥った人と悩みを共有したり、私のようなペットロスカウンセラーに話してみたりしてください。
たった1人でペットロスのつらい気持ちを抱え込む必要はないですよ。また、先ほどもお話したように、ペットロスは長期化すると精神疾患につながることもあります。
1年以上もペットロスのつらい症状が続く場合には、早めに精神科や心療内科を受診するようにしてくださいね。
ペットロスとは「焦らずに向き合う」ことが大切
猫の飼い主さんに知っておいてほしいペットロスについて、お話しました。ペットロスはとてもつらいので、みなさん「1日でも早く抜け出したい」と思うでしょう。
しかし、家族同然の大切な愛猫が旅立っていったのですから、そのつらさをたった数日で受け入れられるほうが珍しいのだと思ってください。
きっと愛猫も「ゆっくりでいいよ」と言ってくれるはずですから、焦らずに自分のペースでペットロスと向き合っていきましょう。