ペットロスは長引かせないことが重要
「ペットロス」とは、愛猫など一緒に暮らしてきた動物が亡くなったり迷子になったりして自分のもとからいなくなってしまった際に、そのショックから飼い主の身に起こる精神的・身体的不調のことを言います。
近年、ペットたちは単なる「愛玩動物」ではなく「大切な家族」として人々と関わっています。そのため、一昔前よりもペットロスに陥る人も増えてきており、近年では動物と暮らしてきた人の約8割もの人がペットロスで悩んだ経験があるとも言われているのです。
このことから、ペットロスは何も珍しいことではなく「ごく自然な反応」とも言えます。ですが、ペットロスの症状が長引いてしまうと精神疾患へと発展するケースもあるので、飼い主は注意が必要です。
とは言え、ペットロスに陥ると「愛猫の後を追って死んでしまいたい」なんて考えてしまうことだって珍しくはないですよね。私もペットロス経験者なので、そのお気持ちがとてもよくわかります。
1日でも早くこの状況から抜け出したい。
でも、何をすればいいのかわからない……。
みなさん、このような堂々巡りが続いていることと思います。
そこで今回は、自身もペットロス経験者である筆者や実際に私がお話を伺ってきた飼い主さまの経験から「ペットロスを癒すおすすめの方法」を3つご紹介します。
ただし、ペットロスは「時間をかけてゆっくり向き合うこと」が最も大切です。この方法を試したからといって、すぐにペットロスから抜け出せるわけではない……という旨を心に留めておいてくださいね。
ペットロスを癒す方法3選
ここからは、私を含むペットロス経験者がおすすめするペットロスを癒す方法を3つご紹介します。
ペットロスの重さ、症状、続くであろう期間などが人それぞれであるように、ペットロスとの向き合い方も十人十色です。
これからお話する3つを参考に、ぜひご自分に合った方法を見つけてみてください。
ペットロスを癒す方法1「ペットに向けて手紙を書く」
私がペットロスカウンセリングで飼い主さまによくおすすめする方法が「ペットに向けて手紙を書く」というものです。
「もう火葬の際に棺に入れました」という声もよく聞かれるのですが、ぜひ以下のことを踏まえて、もう一度書いてみてください。
- 出会った日のことや楽しかった思い出
- 愛猫が亡くなる前のこと
- 亡くなってからのこと、今の素直な気持ち
この手紙で大切なことは「無理に明るくせずに、自分の正直な気持ちを書くこと」です。
火葬の際に棺にもお手紙を入れる飼い主さまはとても多いのですが、そのほとんどが「愛猫を心配させないように」とか「業者さんも見るかもしれない」と、本音を書けずにいました。
今回のこのお手紙は、誰に見せるわけでもない「飼い主さまとお空の愛猫だけが見るお手紙」です。楽しかったこと、つらかったこと、後悔していること……、全部を正直に書き出してみてください。
こうして自分の気持ちを文字に書き起こすと、「自分」という人間を客観視することができます。そうすることによって、何も考えられずにいた思考がまとまったり、愛猫を亡くして抱いていた罪悪感などが弱まったりすることもありますよ。
きれいな文章にまとめる必要はありませんし、便箋などを使う必要もありません。おうちにある余っているノートなどでもいいので、愛猫のことを想いながら書いてみてくださいね。
ペットロスを癒す方法2「メモリアルグッズをつくる」
近年、亡くなったペットのメモリアルグッズを作成してくれるお店が増えてきましたよね。私自身も数年前に愛犬が亡くなった際には、羊毛フェルト人形や名前入りのポエムなどを作っていただきました。
でも、中には「メモリアルグッズを作ったところで何の意味があるのかわからない」という飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、じつはここで大切なのは「グッズを作る」という行為そのものではなく、「愛猫を思い続ける」という飼い主さまの心なのです。
ペットロスで悩む人には「あの子を失って、生きる意味を見出せない」という飼い主さんも多いでしょう。
しかし、メモリアルグッズを作ることで、私たちは“愛猫が生きた証”に触れ続けることができます。すると、徐々に「この大切な思い出をこれからも守り続けよう」という気持ちも湧いてくるかと思います。
初めはその出来上がったグッズを見て泣いてしまうこともあるかもしれません。私もそうでした。でも、少しずつ「愛猫が旅立っても、これまでに築いてきた幸せや思い出はなくならない」と、メモリアルグッズを見るたびに感じることができるようになるかと思いますよ。
ペットロスを癒す方法3「他の人とペットロスの悲しみを共有する」
最後にご紹介するのは「他の人と悲しみを共有する」ということです。ペットロスを癒す最大の方法はこれなのではないか……と、筆者は思っています。
というのも、ペットロスカウンセラーとして活動する私のもとにご相談くださる人の多くに「悲しみを周囲に打ち明けられないでいる」という共通点があります。
「会社で上の立場にいるから、しっかりしないといけない」とか「家族に心配をかけたくないから悲しんでいる姿を見せられない」など、みなさん自分だけで悲しみを背負い込んでしまいがちです。
でも、つらい気持ちを心に溜め込んでしまうと、いつかはその悲しみを溜めたバケツは溢れてひっくり返ってしまいます。ひっくり返る前に、少しずつ悲しみを外に出してあげることが大切ですよ。
「つらい気持ちを溜め込まないのが大切」というのは、何もペットロスに限ったことではありません。ですが、ペットロスの場合は周囲の人に理解されないこともあるため、他人に話しづらいという人も多いのが現状です。
でも、そうした場合であっても、SNSを利用したり私たちのようなペットロスカウンセラーに相談してみたり…という手もあります。
「SNSは友人とも繋がってるから」と心配される飼い主さんもいらっしゃいますが、今は“ペットロス専用のSNS”だってあるんですよ。
「自分1人で抱え込まない」ということを意識し始めてから心がラクになった…という飼い主さまは多くいます。
ぜひ、みなさんも悲しい気持ちやつらい気持ちを外に吐き出すように心がけてみてくださいね。
自分の気持ちに正直になることも大切
ペットロスを癒す方法を3つご紹介しましたが、最後にもうひとつ大切なことをお話します。それが「自分の気持ちに正直になること」です。
ペットロスではさまざまな症状が現れますが、中でも「強い罪悪感」を抱く飼い主さまが群を抜いて多いです。
先ほどお話した方法によってその罪悪感が軽くなることもありますが、「あの子が死んでしまったのに私だけ楽しく生きるわけにはいかない」と感じる人もいるかもしれませんね。
でも、それはお空の愛猫が望んでいることではない……と、私は思いますよ。お空に旅立った猫ちゃんはきっと、飼い主さんが少しずつ前を向いていくのを見守ってくれているはずです。
今はまだ、強い罪悪感を抱いてしまうのは仕方のないことです。でも、自分が今どう過ごしたいのか。これから先、どうしていきたいのか。そういった正直な気持ちも大切にして、ペットロスを少しずつ癒していきましょう。
以前はトリマーとして従事していたが、愛犬の死をきっかけにペットロスカウンセラーへと転身。現在では、Rapport Cielの代表として、ペットロスカウンセラーやグリーフケアを行う一方で、Webライターとして動物に関する様々な記事の執筆を行う。 著書「ペットロスで悩んだときに読んでほしい愛犬の死がきっかけで平凡主婦がペットロスカウンセラーとなって起業した話: 「意外」と驚かれるペットロスとの向き合い方 (ラポールブックス)