寒いだけじゃない!! 猫が震える理由
猫の体がプルプル震える原因は、寒さだけではありません。今回は6つの原因と、それぞれの対処法について紹介いたします。
1.地震や雷に驚いた
地震は人間でも怖いものですが、感覚が鋭い猫にとってはそれ以上に恐怖を覚える現象です。地面から直接伝わる揺れや、地鳴りなどを感じ取りやすいからです。
また、雷は大きな音を伴います。猫は聴覚が優れているので、雷が鳴ると隠れてしまう子も多いでしょう。驚きのあまり、ガクガクと震えてしまうこともあります。
愛猫の怯えた姿を目の当たりにすると、思わず抱きしめてあげたくなりますよね。しかし、これは逆効果です。興奮しているところに抱きつかれると、よりパニックになる恐れがあります。
この場合は事態が収拾できれば自然と落ち着くので、静かに見守ってあげましょう。
2.老化によるもの
高齢になると、後ろ足のみ小刻みに震えることがあります。大抵の場合は起き上がった直後や立ち止まっている時にのみ震えが見られますが、歩行時には消失します。
これは筋肉の衰えからくる老化現象のひとつの可能性もあり痛みなど他に症状がなければ問題ないケースがほとんどです。とはいえ、他の病気が絡んでいる可能性も否定できないため、このような震えが見られたら動物病院で一度診察を受けましょう。
3.術後の痛み
術後は傷が痛み、体が震えることがあります。傷跡から膿が出ていたり、傷口が開いているなどのトラブルがなければ回復とともに落ち着くでしょう。
しかししっかり痛み止めを処方してもらったほうがいいかと思いますので、獣医師に相談しましょう。ただし、人の鎮痛剤を勝手にのませるのは絶対やめてください。
また、明らかに様子がおかしいと感じた場合は病院に連絡し、その後の指示を仰いでください。
4.低血糖・低カルシウム血症などの代謝異常
低血糖や低カルシウム血症などの代謝異常が原因でも震えが見られます。
低血糖になる要因としては、敗血症・重度の飢餓状態・悪性腫瘍・肝臓の病気などが挙げられます。
低カルシウム血症の主な要因は、副甲状腺機能の低下・慢性腎臓病・急性腎不全・中毒などが挙げられます。低カルシウム血症では、食欲不振・元気がない・顔の痒みなどの症状も併発することがあります。
愛猫の体にこれらのような異変が起きた場合は、すみやかに病院で診察を受けましょう。
5.中毒による痙攣(けいれん)
殺虫剤や鉛、カフェインなどを誤飲した場合、中毒によって痙攣が起こります。
まずは誤飲した旨を動物病院に伝え、指示に従いましょう。尚、慌てて吐き出させようとする行動はかえって危険です。絶対にやめてください。
6.パルボウイルスの母子感染
パルボウイルスは、非常に強い感染力を持った感染症です。消化器症状や白血球減少などの症状を呈し、子猫が感染すると命を落とす可能性の高い病気です(ワクチン接種で予防可能)。
妊娠中の母猫が感染し、子猫にも感染が及んだ場合は脳に異常が出てしまうことがあります。脳に障害を持って誕生した子猫には、震え・歩行困難・首を傾げる仕草が続くなどの症状が見られることがあります。
まず繁殖を望む場合は必ずワクチン接種を受け、母体が感染することを防いでください。脳に障害を抱えた猫が誕生したり、保護した際は次のことに気をつけましょう。
- 高い場所からの落下(着地姿勢が安定しない)
- 椅子やテーブルの足にカバーをつける (ふらつきによる衝突に備えて怪我を予防する)
- 可能であれば毛足の短い絨毯で生活する (フローリングは滑りやすく転倒のリスクあり)
てんかん発作の適切な対処法
上記以外にも、猫の体がプルプル震える原因に「てんかん」があります。
てんかんの場合、「プルプル震える」というよりは「激しい痙攣」を起こすことで知られていますが、見分けられない可能性もありますので、てんかんの症状についても同時に把握しておきましょう。
猫がてんかんの発作を起こした際の対処法として、いくつか気をつけるべきポイントがありますので押さえておきましょう。
衝撃に備える
発作時に頭や体を打ち付けて怪我をする2次被害を予防するために、柔らかい布団やクッションなどを用意しておきましょう。発作が起きたら速やかに置き、衝撃に備えてください。
また、発作時は失禁が起こりやすいので、ペットシートがあると便利です。衝撃予防と共に、失禁対策も行いましょう。
危険なものを片付けておく
猫が生活するスペースに危険なものがないかチェックしてください。
先ほどと同様に、発作時に体が当たると危険が及ぶようなものは置かないように気をつけましょう。
発作中は体に触れない
これが最も重要なポイントです。猫(犬も同様)がてんかん発作を起こしている最中は、体に触れてはいけません。体を保護するために抱きしめる行為もNGです。
何故かというと、本能的に相手を攻撃してしまう可能性があるからです。いざという時に飼い主さんが怪我をしてしまえば、愛猫を病院に連れて行くことができなくなってしまいます。また、大切な人を傷つけてしまった猫もショックを受け、ストレスにつながります。
最初に紹介したように、衝撃から保護できるものを置いて対処してください。発作は数秒から数分以内で落ち着きます。通院する際は、発作が止まってからにしましょう。
まとめ
今回は、寒さが原因ではない、猫の体の震えについて紹介いたしました。
どの原因の場合も、初めて直面した飼い主さんは驚いてしまい、慌ててしまうかもしれません。まずは飼い主さんが深呼吸をして、冷静に行動に移しましょう。
理由によっては、猫の体に触れることを控えなければならないものもあります。特にてんかん発作の場合は、それが顕著なケースです。
原則は発作が落ち着くまで見守ります。ただし、獣医さんから何らかのアドバイスを受けている場合はそちらを実践してください。
病気が疑わしいものでは、動画があると診断に役立ちます。余裕があればムービー撮影を行い、診察時に見てもらってください。