「挑発」と受け取られかねない人の行動
人の何気ない行動やちょっとしたイタズラが、猫を本気で怒らせたり、恐怖を感じさせてしまうことがあります。
今回は、悪気がなくても「挑発」だと受け取られかねない行動を紹介いたします。
1.初対面の猫の目を見つめる
猫が生きる社会では、既に信頼関係がある間柄ではないのに瞬きをせずに目を凝視し続ける行動は「喧嘩を売る」という意味になります。
既に良い関係が気付かれている猫と飼い主さんが見つめ合うのは良いのですが、信頼関係のない間柄ではいけません。可愛い猫を見かけると、ついつい眺めてしまうかもしれませんが、猫の側からすると「やんのか、コラ!」と言われている気がして恐怖を感じるでしょう。
ただ、とても人馴れしていて人に構ってもらうのが大好きな猫の場合には、見知らぬ人が見つめてきてもそのように受け取らないことはあるでしょう。
もちろん、愛猫が飼い主さんを見つめても挑発する意図はありません。
2.顔に息を吹きかける
猫の反応が面白いからと、顔に「フーッ」と息を吹きかけていませんか?これも、猫に恐怖を与え挑発していると思われてしまう行動です。
その理由は、そもそも猫は人が顔を近づけてくる時にそんなことが起こるとは思ってもいないからびっくりするとか、顔に息がかかるのは、猫同士の喧嘩が始まる直前の威嚇行動に似ているから、などと言われています。
3.大きな声で怒鳴る
猫を怒鳴る行為自体が問題なのですが、中には猫を怒鳴っているわけではないのに猫が怒鳴られていると感じるシチュエーションもあるかと思います。
例えば、スポーツ観戦や、衝撃の強いニュースを目にした時などです。怒号を怖いと感じれば猫は逃げるでしょうが、それでも近くで怒鳴り声が続いたりすると「攻撃を受けている」と思い他にも誰かがいる場合、自分の身を守るために攻撃行動を起こしたり、たまたま近くを通っただけの人も自分の安全を脅かすものだと思って威嚇したり攻撃したりするかもしれません。
いずれにしてもストレスがかかってしまうので、もし家の中で怒鳴ることがあれば声量や口調には気をつけ、テレビの音量にも注意しましょう。
4.おもちゃ・ご飯を取り上げる
突然目の前のものを無理やり取り上げられたら不快になりますよね。これは猫も同じです。猫はその後、取り返そうと攻撃してくることがあるかもしれません。
なぜなら「獲物を横取りされた」と思ってしまうからです。遊びは狩りの模擬体験なので、遊んでいたおもちゃを急に取り上げられたら猫は「狩ろうとしていた獲物が取られた。自分が捕まえたい!」と思います。フードを急に取り上げられた場合、戸惑うだけで特に何もしない猫が多いですが、怒って威嚇や攻撃をしてこようとする猫もいるようです
5.体を押え付ける
上から覆い被さるように体を押さえつける行動は、動物にとって自由を奪われ自分の身の安全が脅かされるものであり、その状況から早く逃げ出そうとします。
逃げようとしているのに押さえ付け続けると、猫は恐怖からパニックになってしまうこともあります。パニックになると、相手が飼い主さんだからなどと考える冷静さはなくなるので、飼い主さんであっても攻撃されてしまうでしょう。
小さなお子様は、猫と遊びたくて体を掴んだり、上から抱きついてしまうことがあります。普段は温厚な猫でも、本気で攻撃してしまう可能性もあるので注意してください。
ただし、猫の命に関わる危険が迫っている時や、猫を守るために軽く拘束するのは例外です。動物病院での診察や自宅での投薬の際、必要な処置を行うために嫌がる猫を無理やり拘束するのは仕方がないことだと広く思われています。
しかしそのような事情があっても嫌がる猫を力づくで拘束するのは猫にとって非常に大きなストレスで、その後の生活や通院にも悪影響が及ぶので、最近では猫に病院を好きになってもらうような工夫をした診察をする動物病院が増えたり、普段の生活の中で投薬や様々な処置に慣れさせるトレーニングをすると良いと提唱されています。
誤解を避けるためには?
愛猫に挑発疑惑をかけられないようにするために、次のようなことを心がけてください。
- 話しかける際は、わざわざ低い声は使わない
- 日頃から嫌がることをしない(顔に息を吹きかける、無理やり押さえ付けるなど)
- 人が苦手な猫と接する際は視線を逸らす
- 目の前にあるものを取り上げない(猫の安全にかかわるものは別)
危険なものを猫の目の前から取り上げる必要がある場面には、他のもので気をそらしながら取り上げることができればベストでしょう。
まとめ
飼い主さんにその気はなくても、猫に挑発していると思われてしまう行動は、どれもなついやってしまうものかもしれません。
私達もちょっとしたことで苛立ちを覚えることがありますよね。猫も小さなことが原因で恐怖や不満を感じることがあります。恐怖や不満は猫のストレスにつながるので、不必要に不快な思いをさせたりびっくりさせないように気をつけてください。
小さなお子様がいるご家庭では、猫が嫌がることをその子自身が嫌がることに例えながら「やらないでね」と教えてあげ、愛猫に正しく接することができたら褒めてあげてください。大人の目が届かない時に、小さなお子様と猫だけで過ごすことがないようにすることも重要です。