「イエローファット」の症状
「イエローファット(黄色脂肪症、汎脂肪組織炎)」は、皮下や腹腔内などの脂肪が変性し強い炎症を起こす病気です。
脂肪が変性して硬くなるため、お腹や鼠径部を触ると、皮下の脂肪にしこりがあったり硬くなっているのを感じることがあります。痛みもあるため、歩き方に異常が見られたり、触られるのを嫌がったりします。元気がなくなる、発熱、食欲がなくなるなどの症状がみられる場合もあります。
本来白色の脂肪が黄色に変色するのでイエローファットと呼ばれますが、猫の外からの見た目が変わるわけではありません。避妊手術などの手術中に偶然発見されるケースもあります。1歳頃までの若い猫に発症が多い病気です。
「イエローファット」の原因
「イエローファット」は、サバ、アジ、マグロ、カツオなどの魚やその加工品に含まれる不飽和脂肪酸を日常的に過剰に摂取し、かつビタミンEなどの抗酸化物質の摂取が不足することが原因です。
日常的に不飽和脂肪酸を過剰に摂取したり、悪いバランスで多く摂取したりしていると、ビタミンEが十分に含まれている食事を食べていても必要量が多いために抗酸化物質が不足し、猫の脂肪が酸化して過酸化産物であるセロイドが作られます。黄褐色のセロイドは脂肪組織に沈着し、脂肪の炎症を引き起こします。
「イエローファット」の治療法
イエローファットの治療には、原因となる不飽和脂肪酸を多く含む魚を猫に与えない、食事を主な原材料が魚ではない総合栄養食に変えるなど、食事の変更が必要となります。
脂肪の酸化を抑えるために「ビタミンE」を投与したり、炎症を抑えるために抗炎症薬を投与することもあります。
「イエローファット」の予防法
猫がイエローファットにならないようにするには、食生活の管理が重要です。
日本では「猫は魚が好き」というイメージが定着していますが、猫は本来ネズミなどの陸上の小動物を食べる生き物で、魚を食べていれば健康に過ごせるというわけではありません。また、魚に含まれる不飽和脂肪酸は一般的に「健康に良い」と考えられていますが、過剰摂取や悪いバランスで摂取し続けることは逆に健康を害する恐れがあります。魚を食事のメインとして与えることは避けましょう。
また、「総合栄養食」と書かれていてビタミンEが推奨量含まれているキャットフードであっても、製品によってはイエローファットを引き起こすような量とバランスで不飽和脂肪酸を含んでいる可能性があるため、特に子猫や若猫では魚を主な原料としたウェットフードのみを食事として与えることも避けた方が良いようです。
まとめ
イエローファットは、猫の皮下やお腹の中の脂肪が変性し、炎症を起こす病気です。
不飽和脂肪酸の過剰摂取と抗酸化物質の不足が同時に起こることが原因で、不飽和脂肪酸を多く含む魚を多量に長期間食べていると起こることがあります。不飽和脂肪酸は体に良いイメージがあるかもしれませんが、過剰になったりバランスが悪いと逆に猫の体に負担となります。
日々の生活の中で、猫がバランスの良い食事をとれるように配慮しましょう。