猫の「鼻水」に潜む6つの原因と対処法
人間は軽い鼻水程度では動じませんよね。しかし猫の場合は、「たかが鼻水」と軽視すると危険です。
今回は、鼻水が発している6つの重要なサイン(原因)と、適切な対処法を紹介します。
1.猫風邪
鼻水を引き起こすもので、最も多いのは「猫風邪」です。人間と同様にウイルスが関与しています。
主要なウイルスは、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスです。いずれもいわゆる人でいう風邪の症状を呈し、鼻水やくしゃみ、発熱を伴う場合があります。
人間の風邪との大きな違いは、自然治癒が難しいということです。「風邪かな?」と思ったら動物病院を受診してください。
ちなみに、猫風邪は、3種混合ワクチンを接種することで予防することができます。
2.花粉症やハウスダストによる鼻炎
花粉やハウスダストが原因の、いわゆるアレルギー性鼻炎という可能性も考えられます。この場合はやはりくしゃみを伴うことが多く、目やにや涙などの症状が見られることもあります。
これらは猫風邪の症状とも共通しているため、獣医さんによる診断が必要です。悪化すると副鼻腔炎を発症することもあります。
アレルゲンが分かる場合はその除去を、そしてハウスダスト対策としてこまめな掃除を心がけましょう。
3.クリプトコッカス症
クリプトコッカスは、鳩の糞などを媒介として引き起こされる感染症です。これはウイルスではなく、真菌(カビ)の一種になります。
健康な猫は無症状のケースがほとんどですが、抵抗力が弱った猫では鼻水・くしゃみ・腫瘤や神経症状が出ることがあります。
鳩が多い地域で過ごす飼い主さんは、帰宅後の手洗いや着替えを速やかに行いましょう。清潔にしてから愛猫と触れ合うことを心がけてください。また、完全室内飼育も予防に繋がります。
4.歯周病
猫は虫歯にこそならないものの、歯周病になるリスクは抱えています。特に高齢の猫には多い病気です。
歯周病が進行すると、口から鼻にかけて瘻管(ろうかん)という管ができてしまいます。これが鼻水やくしゃみを起こす原因になります。
歯周病は歯石や歯垢の蓄積が主な要因です。猫も定期的に歯を磨く習慣をつけるようにすると良いでしょう。
汚れが目立つ場合は、サプリメントや療法食を食べさせるという手段もあります。気になるようであれば獣医さんに相談してみてください(自己判断で与えるのはNG)。
5. 鼻腔内腫瘍
残念ながら、猫の体にも腫瘍ができることがあります。その1つが鼻腔内腫瘍です。これは文字通り、鼻の中にできる腫瘍です。
腫瘍による刺激や炎症によって、鼻水・くしゃみなどの症状が見られます。腫瘍が大きくなると出血したり、顔が腫れたりします。
好発年齢は、7歳以上の中高年以上の猫です。早期発見が難しい病気ですが、この年齢層は他の病気のリスクも上がる時期になります。
ワクチン接種の時期などを利用して、健康チェックを受けてみてください。もちろん気になる症状があれば、その都度獣医さんに相談してください。
6.猫エイズ(FIV)
猫エイズ(以下FIV)でも鼻水の症状が現れることがあります。
FIVはいかに発症時期を遅らせるかが重要で、生涯無症候キャリアという状態をキープできる猫も多いのです。
鼻水は免疫力が落ちている証でもあります。異変があればすぐに診察を受けてください。日頃からストレスを避け、楽しく穏やかに過ごせるように配慮してあげましょう。
そもそもの感染経路は、保菌猫との喧嘩です。大切な愛猫を感染のリスクから守るには、完全室内飼育が鍵を握ります。
まとめ
鼻水を伴う原因を6つ紹介いたしました。いずれも放置することは危険なので、気づいたら早めに診察を受けることが大切です。そして、それぞれの原因に合った予防法や対処法を心がけることで重症化を防ぎましょう。
クリプトコッカスは、人間の身にも悪影響を及ぼす人畜共通感染症です。鳩の糞が多い場所を避ける、回避できない場合は帰宅後の手洗いうがい・速やかな着替えを徹底しましょう。
最後に猫の鼻水はコットンなどで優しく拭き取るようにしてください。あくまでも出ているもののみを拭き取り、こよりを詰める行為はNGなので気をつけてください。