おしっこの時の異常行動
猫には、ストルバイトなどの結石症や、特発性膀胱炎など、泌尿器系の病気が多く見られます。
結石が尿路のどこかで詰まってふさがれる(尿路閉塞)と、腎臓がダメージを受けて急性腎障害を起こします。閉塞が解かれずに腎機能が回復しないと、排出されるべき有毒物質が体内に溜まって尿毒症を起こします。結石が原因ではない膀胱炎でも、重症になると尿路閉塞を起こすことがあります。尿毒症はきちんとおしっこが出ないことは命に関わる緊急事態なのです。
排尿時に、以下のような異常行動を目にしたらすぐに病院へ連れて行き、検査と処置をしてもらいましょう。
1.トイレ時間が長くなり何度も出入りする
膀胱炎があると残尿感があったり、実際に少量しかまたは全くおしっこが出なかったりしますし、おしっこを出そうとする時に痛みがあるので、トイレの滞在時間が長くなります。
さらに、いつまで経ってもスッキリせずおしっこをしたい感覚におそわれるので、おしっこが出たとしてもすぐにまたトイレに入ることがよくあります。
2.トイレの砂をしつこくかく
健康な猫でトイレの砂をしつこくかくのは、そのトイレを気に入っている証拠とも言います。しかし、膀胱炎があっておしっこが出ていないのに何回もトイレに行ったり、おしっこをしようとしているのに出ない場合にもトイレの砂かきが増えることがあります。砂をかく行動に以前と違う様子が見られたら、トイレに出入りする回数やおしっこの量や色など、体調にも変化がないか確認してみましょう。
3.トイレの中や外で不快そうに鳴く
排泄時の痛みや排泄後の不快感のため、排泄中や排泄後、またはトイレから出た後に、大声で鳴くこともよくあります。
4.トイレ以外でおしっこをする
膀胱炎の症状の一つとして頻尿があり、トイレまで行くのが間に合わずに粗相をしてしまうことがあります。
トイレ以外の場所でおしっこをしてしまう場合、膀胱炎以外にもトイレが気に入らない、強いストレスがある、マーキング行動として行っていることも考えられ、このような場合に好まれるのは、布団やソファなどの柔らかめの布地の場所や飼い主さんのにおいのする所が多いようです。
うんちの時の異常行動
猫がうんちをする時に異常行動がみられるのは、主に便秘の場合です。もちろん、下痢の時にも頻回にトイレに行くとかトイレをした後にいつもより多くお尻をなめるなど、いつもとは違った行動が見られますが、それらは「きっと下痢のせいだな」と飼い主さんにとっても分かりやすいことが多いでしょう。
猫の便秘にはさまざまな原因があり、老化で腸の反応が鈍くなる弛緩性便秘、夏場の水分摂取不足や病気などからくる脱水や水分不足による便秘等があります。
なぜか猫の便秘は軽く見られ、こじらせることの多い病気です。1度伸びた腸は元には戻らず、繰り返せば食欲の低下を招くうえに腸の免疫活動を阻害します。
便秘の基本対策は「十分な水分補給」と「適切な食事」、「運動」ですが、どうしても出ないときは薬剤を用いたり、摘便(指で出すこと)をしたりして対処します。
なぜか猫の便秘は軽く見られ、こじらせることも多い病気です。便秘をこじらせると「巨大結腸症」という状態になり、腸が伸びきってしまって自力での排便が難しくなりますので、便秘を疑ったら動物病院を受診しましょう。
適切な排便頻度は猫によって違いますが、数日出ないのが日常になってしまっていたり、うんちが出ても小さくてコロコロしている、またはとても細い場合、便秘になっていると考えられます。また便秘の猫では、以下のような行動が見られることがあります。
5.うんちをすると吐く
気張りすぎが原因で、うんちが出ても出なくてもトイレの後吐くことがあります。
6.出すときにうめく
何とか出そうと気張るあまり、声が出てしまうことがあります。排便時の痛みから鳴くこともあるでしょう。
気張りすぎると血圧が上がるので、心臓病や腎臓病などの基礎疾患のある猫には特に大きな負担がかかります。
まとめ
今回は、猫がおしっこやうんちをする際の病気と関係している異常な行動をご紹介しました。
猫の健康を守るには、食と同じくらい排泄にも気を配り、おかしな素振りを見せたらすぐに対処しなければなりません。
普段から観察を欠かさず、愛猫の小さな異常も見逃さずにできるだけ早く気が付いてあげることのできる飼い主になりましょう。