ペットロスとは?
様々な理由でペットを失ったことによる喪失体験の事を言います。その喪失体験によってきたした心身の不調を指すこともあります。
喪失体験による悲しみや心身の不調は、ペットとの絆が深いほど大きくなりやすいものです。現代では猫の飼い主がペットロスによる様々な不調を訴えることが多く、それは近年、愛猫達の平均寿命が伸び一緒に暮らす時間が増加したことが一つの要因です。そしてもう一つの要因には、家族を構成する人間の数が減り家族の一員としての愛猫の存在感が大きくなったことがあります。
ペットロスでは、次のような感情や行動などが見られます。
1.泣く
一緒に暮らしていた家族が亡くなるのですから、感じる気持ちを抑える必要はありません。
気持ちを抑えてしまうと、悲しみが癒える過程に歪みが生じ、日常に戻ることに支障をきたすことがあります。思い切り泣いていいのですし、自然と涙が出てきてしまうのを止められなくても自分の心や身体の反応に驚かず、涙が枯れるまでしっかりと泣いてください。我慢せずに泣いた人の方が、次の扉を開けやすいと言われます。
2.愛猫の死を否定したくなる
ペットの死を否定したくなるのも当然起こる感情であり、「否認」は悲しみを乗り越えるための正常なステップの一つですから問題ありません。
親しい人や愛するペットを失った悲しみは、「悲しみの5段階」と呼ばれるステップを経て乗り越えられるようになります。「否認」→「怒り」→「取引(交渉)」→「抑うつ」→「受容」というステップです。
まずは、愛猫の死を受け入れられず否定をし、次に「違う病院に行っていれば」「もっと早く気づいてあげていれば」などと怒りの感情や苦しみを持ち、現状を変えるために非現実的な願望を持って「自分の命と引き換えに」などと神仏にすがって交渉を行いたくなったりし、何をしても愛猫は帰ってこないと感じるととても沈んだ気持ちになります。そして時間をかけて、悲しみを感じながらも愛猫の死を受け入れられるようになるのです。
3.後悔をする
(ああすれば良かった)(こうすれば良かった)と感じる気持ちは、悲しみの5段階のうち「怒り」のステップで見られます。
しかしその先のステップに進んでも、様々な後悔の念を抱くことはあるでしょう。愛猫との関係や見送り方について、もっと良い方法はあったのではないかと考えることもあるでしょう。しかし、後悔の念はあったとしても、次々と思い起こされる愛猫との楽しかった出来事もたくさんあることでしょう。時間をかけて良い思い出に思いをはせる時間が長くなり、全てを受け入れられるようになれば良いのです。
老衰や病死だけが愛猫とのお別れのタイミングではありません。事故での突然死や災害時での生き別れ、脱走による行方不明などもペットを失う原因になります。このような失い方をした場合、心の準備ができない分後悔は大きくなり、悲しみを乗り越えるためには周囲や専門家の助けが必要となることも多くあります。
4.心身の不調へと繋がる
大きな悲しみを抱えたり、悲しみの5段階の各ステップを経験することはごく当たり前のことですが、中には何か月経っても悲しみが癒えず心身の不調が大きく現れるようになることがあります。
これは、愛猫との別れが突然であった場合や周囲の理解が得られない、相談できる人がいないといった場合などに起こりやすく、また重症化しやすくなります。
具体的には、うつ症状、摂食障害、睡眠障害、消化器などの不調、頭痛、全身の倦怠感などが現れます。
ペットロスを克服するために重要なこと
まず、『猫は人間より早く亡くなる』と、頭に入れておくことがとても大切です。
若々しい愛猫が成長するのを見守ったり日々の生活を楽しむだけが猫を飼うことではありません。愛猫の老後と向き合って最期を看取ることもありますし、突然の事故や病気で予期せず猫が亡くなることもあります。どのような別れ方であっても後悔を少なくするには、日頃から健康管理を行う他にも、マイクロチップの装着や脱走防止の対策を講じること、「たぶん大丈夫」と心配事を放っておくことはしない、などがあります。
また、『愛猫の病気に対してどのような治療をするか』『最期を看取るのは病院か自宅か』など、愛猫の最期をどう見送るかについて、納得がいくまで家族や動物病院と話し合うことも大切です。そうする事により、後悔を限りなく少なくすることができます。
担当の獣医師や動物病院のスタッフ、家族、友人など、愛猫のことや愛猫を失った悲しみをよく理解してくれる相談相手の存在も重要です。もし身近にそのような人がいなければ、心理カウンセラーや心療内科などの専門家、またインターネットや電話で相談できる場所なども活用できます。
まとめ
猫の飼い主が『ペットロス』に…4つの症状と克服するために重要なことについてお伝えいたしました。
ペットロスという言葉すらも考えたくないと思うかもしれません。しかし、いつかは愛猫にも自分にも死が訪れます。そのような時、悲しみにはそれを乗り越えるプロセスがある事を知っていることは、できるだけ上手に悲しみに対処するために役立つと思います。
悲しみを乗り越えた後に、新しいペットを迎える気持ちが湧いてくることもあるでしょう。勿論、その気持ちも尊いという事もぜひ心に留めておいてくださいね。