猫の不治の病
1.FIP(猫伝染性腹膜炎)
FIP(猫伝染性腹膜炎)は猫コロナウイルスに感染した後に、体内でウイルスが猫伝染性腹膜炎ウイルスに変異してしまった結果引き起こされる病気です。致死率はほぼ100%といわれており、発症した猫の多くは数日~数ヵ月で亡くなってしまいます。まだFIPについてはわからないことも多く、有効な治療法は確立されていません。
最近有効であると考えられている薬剤はありますが、高額かつ日本では認可されていないので、FIPの原因となる猫コロナウイルスに感染しないように気をつけるしかありません。猫コロナウイルスは多くの猫が体内に持っているものなので、必要以上に他の猫と接触させないようにして感染リスクを極力減らしましょう。
2.猫エイズ
猫エイズは、FIV(猫免疫不全ウイルス)に感染したことが原因で発症します。特にウイルスを持った猫とケンカをして、引っかかれたことから感染する猫が多いようです。ウイルスに感染しても発症しないまま寿命を全うできるケースもありますが、発症すると免疫機能が低下して他の感染症などにかかりやすくなり、最終的には命を落としてしまいます。
残念ながら発症後に完治させる治療法はないので、感染を防ぐ努力が大切です。また感染が発覚した場合は、発症リスクを下げるために免疫力を高める生活を心がけましょう。
3.慢性腎臓病
慢性腎臓病は、猫にとって天敵とも呼べる病気です。高齢の猫は慢性腎臓病になりやすく、薬や食事療法などにより病気の進行を遅らせることはできるものの、完治させる治療法は確立されていません。慢性腎臓病の猫にできるだけ長生きしてもらうためには、病気の早期発見と、適切な治療で腎臓の負担を軽くすることが重要になります。
また重症化するまで飼い主さんが症状に気づきにくいという点でも、慢性腎臓病はやっかいな病気です。愛猫の体調は日頃からしっかりチェックしたいところですね。
病気から猫の命を守る予防策
愛猫が不治の病やその他の病気におかされるリスクを軽減させるために、飼い主さんはできる限りの予防に努めましょう。まず猫エイズなどの感染症はワクチンでの予防が効果的なので、愛猫にはワクチンを接種させることをおすすめします。 (ただ完全に予防できないこともあります)
また野良猫との接触によりウイルスに感染するケースが多いので、猫は完全室内飼いをすることで感染症対策をしましょう。
外で保護した猫がウイルスに感染していて、先住猫に移してしまうという危険性もあります。しばらくの間は、新入り猫と先住猫の生活スペースを分けて過ごしてください。新入り猫には動物病院で検査を受けてもらって、安全が確認できてから先住猫に会わせると安心ですね。
病気の予防において、愛猫の免疫力を高めることも重要です。ストレスは免疫力低下の原因になるので、飼い主さんは愛猫がストレスをためずに快適に過ごせる環境を整えてあげてください。
さらに猫が長生きするためには病気を早期発見して、早い段階で治療をスタートすることもポイントです。慢性腎臓病のような完治が難しい病気になっても、早くから進行を遅らせる治療をスタートできれば、病と闘いながらにはなるものの愛猫と長く一緒にいられます。
猫は腎臓病以外にもあらゆる泌尿器疾患にかかりやすいので、尿の色や量に異常がないか毎日チェックするとよいでしょう。他にも食欲低下や寝てばかりいるなど、病気が疑われる症状が出ていないかどうか、日頃から愛猫の様子を観察することが大切です。
まとめ
不治の病から愛猫の命を守るために、感染症対策やワクチン接種による予防、ストレスのケア、日頃から愛猫の様子をチェックすることなどが大切です。根本的な治療ができない病気でも、早期発見して適切な治療を受けさせることで1日でも長生きしてもらえる可能性が高まります。
また治療法がある病気であっても、手遅れになる前に気づいて治療を行わなければ、愛猫が命を落としてしまうことになりかねません。飼い主さんが症状に気づきにくい病気を早期発見するためにも、若い猫は年に1回、病気になりやすい高齢の猫は半年ごとに動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。