体の表面に寄生する寄生虫
まずは、体の表面に着く寄生虫について解説したいと思います。
1.ノミ
ノミの被害は痒みだけでなく、数が多ければ「貧血」を、掻きむしれば「化膿性皮膚炎」を起こします。また「ノミアレルギー」や瓜実条虫などのリスクもあります。
もしノミを見つけたら潰してはいけません。卵が飛び散らないようにそっとガムテープではさみこみ、ビニール袋に入れて捨てましょう。
もちろん、月に一度の駆除剤による予防対策が、何よりも一番効果的です。
2.マダニ
マダニはノミと同じ吸血性の寄生虫で、噛まれてもノミのように痒みがひどくなることはほぼありませんが、ヘモプラズマ感染症やSFTSなど様々な病気を媒介します。
マダニもノミと一緒に月に1度の駆除剤で予防できるのですが、もし見つけたときはすぐに病院へ連れて行くか、ダニが落ちるのを待ちましょう。下手に引っ張れば牙だけ残り、そこから炎症が起きるからです。
3.耳ダニ
外耳道(耳たぶから鼓膜の間)に、顕微鏡サイズの耳ダニが付くと強烈な痒みでかきむしるようになります。掻きすぎて「外耳炎」や「耳血腫」を併発することもよくあります。
黒い耳垢や痒みの強さが特徴で、もし頭を振ったり耳をあまりに痒がったりするようなら、すぐに病院へ連れて行きましょう。ノミやマダニの駆除薬には耳ダニを駆除する効果があるものもあります。
4.センコウヒゼンダニ
センコウヒゼンダニは「疥癬症」を起こすダニですが、耳ではなく体全体に寄生します。フケが増え、激しい痒みを伴って、だんだん毛が抜け全身に広がります。その特徴的な皮膚の盛り上がり方は、猫の姿を変えるほど。
しかもこのダニは皮膚の下に穴を掘って活動・繁殖するため治療に時間がかかります。さらに人にもうつるので、かかったときには治療と共に、隔離と徹底的な掃除が欠かせません。
内臓に寄生する寄生虫
ここからは、内臓に棲みつく寄生虫について解説いたします。
5.フィラリア
フィラリアの本来の宿主は犬なので、普通はすぐに死滅します。しかし、生き延びた個体は肺の血管や心臓に棲みついて、呼吸困難や突然死の原因になります。
フィラリアは蚊が媒介するので蚊を寄せ付けない工夫をし、猫用のフィラリア予防薬を使いましょう。ノミダニ駆除剤にプラスされているものがありますので、それを選ぶと便利です。
6.条虫
平たい真田紐に似ているためサナダムシとも呼ばれる条虫は、小腸に棲みつくタイプの寄生虫です。症状は嘔吐や下痢などで、いわゆる「虫下し」で駆除します。
条虫の卵を持つノミを猫が飲み込むことで寄生するので、条虫の治療と駆除にはノミ退治が必須です。が飲み込むことで寄生するので、条虫の治療と駆除にはノミ退治が必須です。
7.回虫
【写真47:トイレの猫】368577046
回虫は、感染猫の母乳経由や感染動物の捕食、偶然体に付いた卵を猫が舐めて感染します。基本的には無症状ですが、嘔吐や下痢、食欲不振や発育不良を起こすことも。
嘔吐物や便中に回虫がいて発覚することもありますが、普通は検便でしか見つかりません。もしいた場合は虫下しを用い、さらに月に1度スポットタイプの駆除剤で予防することが可能です。
8.コクシジウム
「コクシジウム症」はコクシジウムが猫の小腸の細胞に感染する病気です。子猫に多い病気ですが、免疫が低下するとなりやすく、下痢が主な症状です。
治療はサルファ剤(抗生剤)投与で、長引くことも少なくありません。またコクシジウムは乾燥した便に触れると感染しやすいので、便はすぐ処理して、トイレを常にきれいに保ちましょう。
まとめ
寄生虫のほとんどは卵の状態でや体内に取り込まれますので、目視確認することができません。
また、野良猫を触ったり保護したりしなくても、普段の生活で靴の裏やコートの裾に付いてくることがありますので油断は禁物です。
しかし、幸い予防できるものが多いので、寄生虫に関する知識はしっかり蓄えておき、予防対策をしっかりとっておきましょう。