致死率が高い感染症5選!!防ぐ手立てはある?
猫が生きる日常にも、様々な感染症があります。
今回は、中でも致死率が高い感染症を予防法も合わせて紹介しますので、愛猫のために今一度確認しておきましょう。
1.FIP(猫伝染性腹膜炎)
猫コロナウイルスが突然変異を起こしたものがこの病気、通称「FIP」です。
FIPは残念ながら、ワクチンがないため予防することは難しい病気です。近年、FIPを治療する薬が報告されていますが、国内では未承認の薬です。治療に臨むにあたって、治療が行える病院でしっかり説明を聞き承認の上で望む必要があるでしょう。
この病気の症状にはウエットタイプ・ドライタイプ・混合タイプの3つがあります。それぞれ腹水を伴うもの、麻痺を伴う神経症状が目立つもの、その混合に分かれます。共通するのは、下痢や血便、40℃を超える発熱(猫の平熱は38.0℃〜39.0℃)です。
なお、コロナウイルス陽性の猫が全てFIPになるわけではありません。有効的なワクチンこそありませんが、日頃からストレスがかからないように配慮することが予防に繋がります。
2.猫汎白血球減少症
こちらは、パルボウイルスが原因で起こる病気です。感染した猫の便や、感染猫と接触した人の手を介して感染拡大を起こします。子猫が感染すると致死率が高いので気をつけたい病気です。
発症すると40℃を超える発熱・下痢・嘔吐・下血などの症状が現れます。最終的には白血球数が著しく低下し、2次感染と衰弱によって命を落としてしまいます。
怖い病気ですが、こちらは3種混合ワクチンを接種することで防ぐことができます。
3.猫カリシウイルス感染症
猫カゼの一種で、『猫界のインフルエンザ』ともいわれています。感染源は、感染猫との接触感染です。
感染すると発熱・くしゃみ・鼻水などの症状が現れます。重症化すると肺炎を起こし、命を脅かす可能性があります。特に、初乳による免疫が切れる生後2ヶ月頃の子猫が感染すると重症化のリスクが上がり、致死率が高くなります。
また、「病原性が非常に強く発熱・黄疸などの全身症状を起こす強毒全身性カリシウイルス」というものも報告されているので、注意が必要です。
こちらもパルボウイルスと同様に、3種混合ワクチンの接種によって防ぐことができます。
4.猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルスによって、様々な症状が引き起こされる病気です。
主な症状は、貧血・食欲不振・胸腺に発症するリンパ腫などです。呼吸状態の悪化がきっかけで見つかる場合もあります。
この病気に対するワクチンはあるものの、感染すると長くて数年程度しか生きられません。予防法としては完全室内飼育の徹底が有効です。
5.重症熱性血小板減少症症候群
「SFTS ウイルス感染症」ともいわれ、複雑な病名ですが「マダニ」が元凶の感染症です。SFTSウイルスを持つダニに寄生されることで感染が成立します。外部から人や散歩に行く犬などによるダニの持ち込みには注意が必要です。室内飼育であったとしてもダニの寄生を防ぐ予防薬を投与することが重要です。猫が感染し発症すると、元気がなくなる・発熱などの症状がみられ、急激に症状が悪化して死に至る場合もあります。
犬と同居している場合は犬と猫、どちらも予防薬を投与しておきましょう。完全室内飼育の徹底も予防に繋がります。
ちなみにこの病気は、「人畜共通感染症」の1つです。感染した動物の涙や鼻汁などの体液を介して感染しますので、より注意しましょう。
人間の場合は発熱・消化器症状・皮下出血・下血などが現れます。致死率が20%と高いため、気をつけなければなりません。
猫エイズはどうなの?
猫にとって恐れるべき感染症がもう1つあります。それは、「猫免疫不全ウイルス感染症」、いわゆる「猫エイズ」です。
では、猫エイズの致死率はどのようになっているのでしょうか?
猫エイズと聞くと、つい「死に直結する病」を想像しがちですが、これは誤解です。ウイルスを保持しているだけでは無症状(無症候キャリア)と呼ばれる状態に過ぎません。日常生活の中で、ストレスや他のウイルス感染などに十分気をつけていれば、発症を防ぐことができます。無症候キャリアのまま天寿をまっとうする猫も多いです。
感染力も非常に弱く、キャリアの猫と流血沙汰の喧嘩をしなければ移ることはありません。食器の共有やハグ、グルーミング程度では感染しないのです。
ちなみに人間のエイズ(HIV)とは別物です。キャリアの猫と人が同居しても感染することはありません。犬にも感染しないので、問題なく一緒に暮らすことができます。
まとめ
今回は、致死率高いと恐れられている病気を5つ紹介いたしました。人間の感染症においてもいえることですが、正しく知り・正しく恐れ・適切な予防をすることが大切です。
猫の感染症の場合は、私達が知らぬ間にウイルスの運び屋になってしまうことがあります。大切な愛猫を守り、感染拡大を防ぐ意味でも手洗いをしっかり行いましょう。