猫の「毛割れ」とは?
被毛の一部が固まって束になり、分け目のようなものができる現象を「毛割れ」といいます。実際に地肌が見えることもあります。例えていうならば、飴やヨダレが付着して毛並みが悪くなったテディベアのような状態です。
毛割れは脱毛ではないので、地肌が目立っていても禿げているわけではありません。
猫の「毛割れ」が起こる原因
毛割れはなぜ起こるのでしょうか?主な原因を5つ紹介いたします。
1.加齢による影響
10歳を超える高齢猫になると、思うようにグルーミングができなくなります。すると、皮膚に老廃物や皮脂が溜まりやすくなり、毛割れに繋がります。
また、新陳代謝が低下することで皮脂の分泌が多くなるのも高齢猫の特徴です。こまめにブラッシングをしてサポートしてあげましょう。
食事でタンパク質や脂質を補うことも有効ですが、持病がある場合は獣医さんに相談してください。
2.食事による影響
肥満を恐れて極端に脂質を抑えた食事を与えると、逆に皮脂の分泌を促してしまいます。その結果、被毛がベタついて毛割れが生じます。
人間と同様に、猫もバランスの良い食事を取ることが大切です。一見悪者に見える脂質も、被毛を美しく保つためには重要な存在です。
年齢に合ったフード・総合栄養食・タンパク質や脂質、ミネラルが整ったものを与えるように心がけましょう。
3.元々の体質
人間の髪質に個人差があるように、猫の被毛や地肌にも個体差があります。元々皮脂が多く出やすい体質の猫もいるのです。
最も効果を発揮する対処法はシャンプーですが、大抵の猫は水が苦手なので大変だと思います。
子猫の場合は少しずつシャンプー慣れを試みて、成猫の場合はこまめなブラッシングをするようにしてみてください。
4.皮膚トラブル
毛割れが起きた際に疑ってほしいのは皮膚トラブルです。
最近フケが多くなった・皮膚が赤くなっている・痒がっているなどの症状があれば1度診察を受けてみてください。
5.腎臓病の可能性も
猫は砂漠で生活してきた生き物なので、積極的に水を飲む習慣がありません。家猫も本能的に水を飲まなくても大丈夫な体質になっています。
しかしこの習慣や体質には、腎臓病を招きやすいというデメリットがあります。
腎臓病になると脱水症状から毛並みが悪くなり、毛割れが起こりやすくなります。これらの全てが病気と直結しているわけではありませんが、高齢猫の場合は注意が必要です。
毛割れが目立つ・急に毛並みが悪くなった・水をたくさん飲むようになったなどの症状があれば診察を受けましょう。
猫の「毛割れ」を予防しよう
毛割れはある程度予防することができます。いくつか例を挙げてみます。
こまめなブラッシング
短毛種の場合は週に1回、長毛種は毛玉ができやすいので可能ならば毎日ブラッシングをしましょう。
ブラッシングには血行促進の効果があります。皮膚トラブルの元である皮脂の除去や、新陳代謝をあげることが期待できます。
水分補給をする
いつでも新鮮な水が飲めるように環境を整えましょう。体の内側から乾燥を防ぎ、皮膚に潤いを与えます。
水分補給をする習慣は、腎臓病や尿路系の疾患を防ぐためにも重要です。
水分はウェットフードからも摂取することができるので、時々取り入れると良いでしょう。
総合栄養食を与える
特に持病がなく、健康な猫には必ず「総合栄養食」を食べさせましょう。
「総合栄養食」と記載のあるフードと水が摂取できれば、猫に必要な栄養素を効率良く取り込むことができます。
皮膚の状態をチェックする
日々愛猫とスキンシップをしながら、皮膚に赤みがないか、体臭がないかなどをチェックしてみてください。
猫は毛繕いを日課にしているため、本来は体臭がない動物です。皮膚から嗅ぎなれない臭いがしたら要注意です。
まとめ
猫の毛割れは、加齢・バランスの悪い食事・体質・皮膚トラブルなど様々な原因で起こることが分かりました。
健康的な猫は無理に脂質を抑えるのではなく、しっかりと総合栄養食を食べることが大切です。そして被毛を清潔に保ち、皮膚の状態を確認してあげましょう。
高齢猫の場合は飼い主さんが積極的にケアをすることで、毛割れの予防・早期発見・病気の早期治療に結びつけることができます。
毛割れ自体は些細なことですが、体からのSOSがないかしっかり見てあげましょう。