猫が『秋』になると食欲が増す理由3つ ご飯の与え方には要注意

猫が『秋』になると食欲が増す理由3つ ご飯の与え方には要注意

「食欲の秋」や「スポーツの秋」などといわれていますが、実は猫も秋になると食欲が増え、活発になることがあります。人間にとっては実りの秋でおいしい食材が増える時期ではありますが、季節に関係なくキャットフードを主食にしている猫までもが秋に食欲が増すのはなぜなのでしょうか。その理由や、秋に注意したいご飯の与え方について紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫の食欲周期

給仕を待つ猫

「食欲の秋」や「スポーツの秋」というのは、どうも人間に限ったことではないようで、猫も秋になると食欲が増したり活発に活動するようになることがあります。

猫の食欲は3〜4ヵ月の周期で変化するといわれているそうです。春は普通、夏に食欲が減退し、秋に回復して冬にかけて食欲が増えていく、というわけです。

季節により食欲が変化する理由としては、日照時間や気温の変化、運動量の変化と連動した必要エネルギー量の変化など、さまざまな要因が考えられます。何が主な理由となっているかは猫によっても異なるでしょう。

ですが、一旦夏に減った食欲が秋になると元に戻り、さらに冬に向けて増えていくことには、動物の体に起こる自然な変化としていくつかの理由が挙げられます。

猫が秋になると食欲が増す理由

夢中で食べる猫

ここからは、秋になると猫の食欲が増す理由について解説いたします。

1.夏に消耗した体力を回復させる

リビアヤマネコを祖先とするイエネコは、基本的には寒さに弱く暑さには強いとされています。しかし日本の夏は、暑いだけではなく湿度も高いのが特徴です。高温多湿の夏は猫にとっても過ごしにくく、食欲が減退すると考えられます。

秋になると、湿度も気温も下がります。寒さは猫の苦手とするところですが、まださほど厳しい寒さでもなく、湿度と気温が適度に下がって過ごしやすくなった秋は、猫にとっても過ごしやすい季節だといえるでしょう。そのため食欲が元に戻り、活動も活発化するというわけです。

2.冬に備えて体脂肪を蓄える

秋になると、猫は寒い冬に備えて夏毛から冬毛へと被毛を生え変わらせます。換毛期です。夏毛よりも更に柔らかくて密集している冬毛によって、体温の放熱を防ぎ、寒さに耐えるのです。

寒さに耐えられる体を作るための方策は、換毛だけではありません。体脂肪を蓄えることで体温を維持しやすくし、また野性下では獲物の少ない冬に備えることができます。そのため秋に回復した食欲は、冬に向けてさらに増進していくのだと考えられています。

3.運動量が増えるため必要エネルギー量も増える

猫は「スポーツの秋」などとは考えないでしょうが、過ごしやすい秋になると活発になり運動量が増えることがあります。

よく動くと当然消費エネルギーが増えますので、その分食事によってエネルギーを補給する必要があります。そのため、増えた運動量の分だけ食欲も増えるのです。

食欲が増した秋に注意すべきご飯の与え方

食事をする太り気味の猫

では、食欲が増す秋には、猫にどのようにご飯を与えるのが良いのでしょうか。

太らせないことが大事

秋になると猫の食欲が増す理由を見ると、どれも理にかなっており、愛猫のためにも食べたいだけ食べさせた方が良いように考えるご家族もいらっしゃるかもしれません。

しかし、よく考えてください。愛猫は、厳しい自然環境の中で寒さに耐えながら冬を過ごすのでしょうか?ご家族と一緒に室内で暮らしている現代の猫にとって、少なくとも冬の寒さをしのぐために体脂肪率を高める必要性は低いのではないでしょうか。

例えば、野生の熊が秋に大量に食べて丸々と太るのは、冬の間に飲まず食わずで冬眠をするためです。室内で一緒に暮らしている家族の一員である愛猫が秋に体脂肪率を高めて太ることは、猫の生活に合っているどころか健康を損なうリスクを高めてしまうことになるでしょう。

もし、愛猫が秋になり食欲が増したと感じた場合、愛猫の体重をこまめに量ったり、「太らせない」ように適切な食事量を守ることを心がけましょう。

太らせないために

夏に減っていた食欲と活動量が秋に戻ってきた場合には、体重に見合った適量までご飯の量を増やしましょう。もし既に太っている猫の場合、体重に合ったご飯の適量とは理想体重を基に計算した量です。

もし、食欲がとても増して、どうしても太ってしまうほど愛猫がご飯を要求するようであれば、ご飯の総カロリー数を変えずに満足させる方法を考えなければなりません。

例えばご飯の総量は変えず、小分けにして給餌回数を増やすというのも良いでしょう。

また、栄養バランスは損なわずにカロリー量の少ない、しかし満腹感を得やすい猫用のダイエット(療法)食を与えることも一つの方法です。

ドライフードだけを食べている場合には、水分が多く含まれているウェットフードを併用することで、同じカロリー数のご飯で愛猫を満足させることができるかもしれません。

一気食いをさせない

食事の量や回数が同じでも、与え方を変えて猫をより満足させる方法もあります。猫が一気に食べられないような、わざと食べづらく作られた食器があります。また犬用のコングのように、中にフードを仕込んで猫が頭を使って時間をかけないと食べられないような知育玩具もあります。

このような道具を上手に利用することで、愛猫の食事時間を延ばしたり脳を刺激し、食欲をうまく満たすこともできるでしょう。

まとめ

食事中の猫

暑い夏を乗り切った猫にとって、湿度や気温が下がる秋は過ごしやすい季節です。そのため活動も活発化し、それに伴って食欲が増すのもうなずけます。また、寒い冬に備えて「たくさん食べよう」という意識が本能的に組み込まれているということもあるのでしょう。

しかし、人と一緒に室内で暮らすようになった猫には、寒い冬に備えて必要以上に体脂肪を蓄える必要性はなくなりました。室内の温度と湿度の管理や食事の管理をしっかりと行うことで、愛猫が健康的に食欲の秋を乗り切れるよう、いろいろと工夫をしてあげましょう。

それでも不安がある場合は、かかりつけの獣医師に相談すればいろいろなアドバイスも貰えるでしょう。

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