フラッシュによる猫の失明事件
2016年、ある島で島外者がフラッシュを使った撮影をし、フラッシュを浴びたあと猫が失明。その後猫の飼い主による『猫に絶対フラッシュを焚かないで』という投稿がTwitterに上がり、話題を呼びました。
当時から賛否両論で「フラッシュと失明は関係ないのでは?」とのバッシングも起きました。
実際にフラッシュにより失明するという科学的根拠はなく、関連性は不明のままですが、目以外への悪影響も考えられるため、「猫にフラッシュ撮影NG」というメッセージは世間にすんなり受け入れられ、今も残り続けています。
「猫にフラッシュ」は本当にダメなのか?
猫の目には「タペタム」という反射板があり、それが弱い光を増強して夜間でもよく見える仕組みです。そのため強い光は人より眩しいはずですが、猫のスリット型の瞳孔は人の丸型の瞳孔より動きが速く、稲妻などの突然の眩しさにもある程度ちゃんと対応しています。
カメラのフラッシュも同様で、1度くらいで目に損傷が出ることはありません。影響が出るのは強い光を「見続けること」で、うっかりフラッシュを光らせても、そこで止めれば問題ないのです。
それでもフラッシュ撮影を避けた方がいい理由とは
ではここで、猫に対してフラッシュ撮影を避けた方が良いと思われる理由を確認してみましょう。
1.目くらまし効果による事故の誘発
いくら瞳孔の収縮スピードが速くても、フラッシュは猫の視界を一瞬奪います。そのとき猫がふらついて高いところから足を踏み外したり、道路に迷い出たりすれば怪我では済まないかもしれません。
2.痙攣(けいれん)発作の誘発
強い光を見て痙攣を起こす「光過敏性発作」は、1997年に起きた「ポケモンショック」が有名です。このときはテレビの光の点滅が子どもたちの発作の引き金になりました。
もちろん猫にも光に敏感な個体がいるはずですし、高齢猫やてんかん気質の猫は強い光によって痙攣発作を起こす可能性があるのです。
3.失明や目の損傷の可能性
医学的には根拠が無くとも、強い光を浴びた後に失明した猫がいます。直接的な因果関係ははっきりしていませんが、悪い偶然が重なって目に損傷を与えることがあるのなら、避けるべきではないでしょうか。
もし暗いところで猫を撮りたいときは?
最も危険なのは、「暗いところで突然強い光を浴びること」です。もし暗いところで撮りたいときは、プロの知恵を借りましょう。
- 間接照明(月明かりや街灯の光、ランタンなど)を利用する
- シャッタースピードを落とす
- デジタルカメラならISO感度(光センサーの感度)を上げる
これらの工夫をする方が、猫がしっくり背景に馴染み、いい雰囲気になるそうです。どうせ撮るならいろいろ工夫して素敵に撮ってあげたいですね。
まとめ
ある猫の失明事件からポピュラーになった「猫へのフラッシュ撮影NG」。医学的にはフラッシュ1回の光が目を痛めつけることはないようですし、写真館のように明るいところでの撮影なら、それほど影響はないようです。
しかしそうはいってもフラッシュの光は目がくらむほどの強さです。撮影時の暗さや猫の体調などで何が起こるかも分かりません。いずれにしろ、びっくり嫌いの猫にとって、フラッシュ撮影NGは何より嬉しいことかかもしれませんね。