猫の命を危険にさらす5つのウイルス 知っておくべき症状と治療法

猫の命を危険にさらす5つのウイルス 知っておくべき症状と治療法

人間だけではなく、猫の身体へ脅威となるウイルスも多く存在しています。この度は、猫の健康を脅かす危険性のあるウイルスについてお話ししたいと思います。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

1.猫白血病ウイルス感染症

病院で診察を受ける子猫

猫白血病ウイルスは、ワクチンである程度予防することができます。

感染すると、全身のリンパ節の腫れ、発熱、貧血などの症状が見られます。その後もウイルスが増殖を続けた場合、白血病やリンパ腫など悪性の腫瘍や免疫力の低下から様々な病気や感染症を引き起こしやすくなります。ケンカでの感染、唾液からの感染、母子感染もあります。

ウイルスを完全に排除することはできず、悪性腫瘍や感染症が発生した場合はその病気に対する治療を行うことになります。

2.猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)

猫エイズのキャリアの猫

猫免疫不全ウイルスには、ワクチンもありますが予防効果は限られているようです。

感染すると、一時的に全身のリンパ節が腫れたり下痢を起こしたりしますが、その後は見た目は元気で異常なく見えることが多いようです。無症状期間続き、徐々に免疫力が下がり、口内炎、鼻炎、肺炎、慢性下痢、体重減少などが見られ、その他の感染症にかかりやすくなります。

ウイルスを体内から除去することはできませんが、感染していても上記のような症状を現さずに長期間普通に生活ができる場合も多くあります。免疫力を下げないようにストレスをかけない生活をし、他の様々な病気にかかりにくい飼い方をすることが大切です。

3.猫伝染性腹膜炎(FIP)

エコー中の猫

病原性が弱く、稀に軽い腸炎を起こすことがある程度の猫コロナウイルスが体内で突然変異して猫伝染性腹膜炎を起こすウイルスになると考えられています。海外でワクチンが販売されている国もありますが、一般的にワクチン接種は推奨されておらず、また日本では認可もされていません。

主に出る症状によってウェットタイプとドライタイプの二つに分類できます。ウエットタイプは、腹水によりお腹が異常に膨らんだり、胸腔に液体が溜まって呼吸困難になったりします。ドライタイプは発熱、体重の減少とともに、眼の異常や神経症状が見られることがあります。どちらのタイプでも、進行とともに高熱、元気や食欲の減少、貧血などが見られ、衰弱が進みます。

対処療法が中心となりますが、発症すると死亡率の高い難病です。

4.猫伝染性呼吸器症候群

目やにをとってもらう猫

いわゆる猫カゼで、複数の病原体が原因となりますが、そのうちウイルスで原因となっているものは、猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスです。ワクチンである程度予防ができます。

どちらのウイルスによるものなのかによって主な症状は異なりますが、元気がなくなり、発熱、鼻汁、くしゃみ、口内炎、結膜炎などの風邪症状が出ます。体力のない子猫が感染すると、後遺症が残ったり命の危険が生じる場合があるため注意が必要です。また、一度感染するとどちらのウイルスも体内から排除されずにキャリアとなります。

治療には、インターフェロンや抗ウイルス剤が使用されることもありますが、抗生物質や消炎剤、点滴などの対症療法が中心となります。暖かくし乾燥を避け、脱水状態になったり、ご飯を食べられずに体力を消耗することがないように気を付けることが大切です。

5.猫汎白血球減少症

注射を打たれている猫

猫パルボウイルスの感染によって発症します。ワクチンによって予防ができます。

激しい嘔吐、下痢、病状が進行すると出血を伴った粘液状の便をすることがあります。40度以上の高熱を出し、脱水などから猫は衰弱します。白血球が極端に減少することが特徴です。

子猫では死亡することも多い病気ですが、脱水に対して輸液を行ったり、栄養を摂らせたり、抗生物質を投与したりして対症療法を行い、回復を待ちます。非常に伝染力の強い病気ですので、ワクチンを摂取することがとても大事です。

まとめ

女性に抱かれる猫

猫の命を危険にさらす5つのウイルス感染症 知っておくべき症状と治療法についてお伝えいたしました。

ワクチンで予防できる感染症については、なるべくワクチン接種をして発症するリスクを少なくしてあげたいですね。また、ウイルス感染症に限らず猫の様子がおかしいと思った時は、迷わずに病院を受診してくださいね。

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