愛猫の介護で飼い主にかかる負担
大切な家族である愛猫の介護を「負担」だなんて感じたくないという飼い主さんもきっと多いでしょう。しかし、人間の介護と同じようにペットの介護であっても少なからず負担に感じることはあるのです。
まずは、愛猫の介護で飼い主にかかる「2つの負担」についてお話します。
精神的負担
一つ目は「精神的な負担」です。
これは介護による疲れなどだけではなく、「愛猫が死んでしまうかもしれない」などといった不安な気持ちから来るものもあります。
猫の症状にもよりますが、認知症などを発症した場合には夜鳴きや徘徊が多くなることがあるため、夜も安心して眠ることができないという飼い主は珍しくはありません。
一度や二度ならまだしも、これが毎日のように続くと飼い主は精神的にも体力的にも追い詰められてしまうのです。
金銭的負担
そして二つ目は「金銭的な負担」です。
病気を抱えていたりシニア期に入ったりすると、自然と動物病院への通院も多くなるかと思います。
猫は動物病院が苦手な子も多いですから、場合によっては「往診」を利用するという飼い主さんもいるでしょう。
保険制度が確立されている人間とは違い、動物病院での医療費は基本的には「飼い主が全額負担」となります。
実際に私がお話を伺ったことのある飼い主さんの中には「度重なる診察・検査・投薬などで、気づいたら100万円近くもかかっていた」と話す方もいらっしゃいました。
愛猫の介護は1人で抱え込まないで
人間の介護と同様に、猫の介護にも飼い主にとってはいくつかの負担があるということをお話してきました。
だからと言って、介護が必要になった愛猫を放っておくわけにはいきませんよね。では、飼い主はこの「負担」をどう乗り切れば良いのでしょうか。
家族や親戚との役割分担
私はペットロスカウンセラーとしても活動しているのですが、カウンセラーの間では「家族の中で決まった人物だけが動物の介護をしていると、動物が旅立った後にペットロスが重症化しやすい」と言われています。
実際に、私がお話を伺っているクライアントは「自分だけでペットの世話や介護をしていた」という飼い主さんが多いです。
ペットと関わる時間が家族の誰よりも多かった分、ペットが旅立った後の喪失感が大きすぎてペットロスが長引いてしまうのですね。
ペットロスが重症化してしまうと「うつ」などの精神疾患へと発展してしまうおそれもありますから、飼い主は注意が必要です。
一緒に暮らしている家族がいるのであれば役割分担などを決めて、家族みんなで愛猫の介護を行うようにしましょう。
一人暮らしであれば近所に住む親戚や友人を頼ったり、これからお話する動物介護サービスを検討したり、「介護を1人で抱え込まないようにする」という意識が大切です。
動物介護サービスの利用
責任感の強い飼い主さんの中には「自分の猫なのだから、自分だけで最期まで面倒を見るのは当然」と思う方もいるでしょう。
とても素晴らしい心意気ではありますが、先ほどもお話したように猫の介護にはとても大きな負担がかかりますから1人で行うのには限界があります。
それに、動物介護のプロの力を借りることは、飼い主だけではなく愛猫のためにもなるのです。1人で世話をすることも素晴らしいことではありますが、「介護サービスを使う」ということだって決して悪いことではありません。
適度に動物介護サービスを利用しながら、飼い主さんの負担を最小限にした介護を心がけましょう。猫ちゃんにとっても、飼い主さんが1人で抱え込んで疲れてしまうよりもずっといいかと思いますよ。
ペット保険の加入や見直しを
「愛猫の介護を1人で抱え込まない」ということの他に重要となってくるのが、ペット保険の加入や見直しです。
周りの人の手助けによって精神的負担を軽減できたとしても、それではお金の問題までは解決できません。
しかし、ペット保険の適切なプランに加入しておくことで、幾分かは飼い主の金銭的な負担を減らすことができます。
最近ではペット保険を扱う会社も増えてきて、会社によってさまざまなプランがあります。シニア期や病気を抱えた状態でも入れる保険もあるので、ご自分の愛猫に合うプランを選ぶようにしましょう。
せっかく保険に入っても必要な時に補償が受け取れなくては意味がないので、細かい注意点までしっかりチェックして「愛猫の最期まで補償を受け取れるもの」を選ぶようにしてくださいね。
すでにペット保険に加入している場合でも「何年も前の情報のまま登録されていて、必要な補償が受け取れなかった」というケースもあります。
加入済みの人でも「今の愛猫の状態に合っているか」という見直しを忘れずにしておきましょう。
愛猫が愛猫らしく生き切るために
愛猫の介護が必要となった時の飼い主の心構えについてお話してきました。
大切な愛猫のために「すべてのことをしてあげたい」と思う飼い主さんはきっと多いでしょう。
しかし、すべてのことをしてあげようとすると飼い主は知らず知らずのうちに追い詰められてしまいますし、後になって「愛猫のできることまで奪ってしまった」と悔いることにもなりかねません。
愛猫の介護では「すべてをしよう」とするのではなく「愛猫のできないことを優しく見守ってサポートする」というスタンスを忘れないようにしてくださいね。
そして、そのサポートだって飼い主さんが1人で行う必要はありません。頼れる人には頼りながら、“愛猫が最期まで愛猫らしく生き切るための手伝い”をしていきましょう。
愛猫にとっての幸せはいつだって「大好きな飼い主さんの心身の健康が前提」なのだということを忘れないでくださいね。