『虹の橋』とは
愛猫家の皆さんなら、『虹の橋』というお話をどこかで一度は目や耳にしたことがあるのではないでしょうか。
このお話は作者不詳の英語の詩が由来となっており、書籍やブログ、動画など様々な媒体と表現形式を通して世界中の動物愛好家の間に広まり、いまやペットロスで苦しむ人々の心を慰める大切な役割を果たす存在になっています。
今回は、この『虹の橋』にまつわるいくつかの説や由来と言われている詩の内容をご紹介します。
『虹の橋』にまつわるいくつかの説
1.現代の神話
『虹の橋』は死後のペットと飼い主がテーマで、世界中の動物愛好家の間に広まった、ある意味神話のような存在になっているともいえる話です。『Just this side of heaven is a place called Rainbow Bridge.(天国のすぐ手前は虹の橋と呼ばれているところです)』という一文で始まる、作者不詳の散文詩です。
人間よりも寿命の短いペットたちは、死後、天国のすぐ手前にある虹の橋という場所に行き、若くて健康な体に戻り、快適に楽しく暮らしながら飼い主さんが迎えに来るのを待っていて、やがて亡くなった飼い主さんも虹の橋にやってきて再会を果たし、お互いに抱き合って喜びをかみしめながら、一緒に橋を渡って天国へ行く、という内容です。
2.タイトル
原文には特にタイトルが明確に記されていないため、便宜的に『虹の橋』と呼ばれるようになったようです。
なお、世界各地に「虹の橋」と呼ばれる場所が存在するようですが、このお話とは関係がないといわれています。
3.作成時期
由来となった詩は、1980年代に作られたといわれていますが、正確な時期は明らかになっていません。
インターネット上へのこの詩を引用した投稿が、世界中に広まったきっかけだといわれており、1993年には、既にかなり広く流布されていたのではないかと考えられています。
4.宗教観
死後のペットが特定の場所で死後の飼い主さんと再会して一緒に天国へ行くという世界観は、現存する宗教には存在していないといわれています。
逆に、特定の宗教観にとらわれていない内容だからこそ、これだけ広く世界中に普及したのかもしれません。
5.作者
この詩の作者は明らかになっていませんが、3名の人物が、原作者であると名乗りを上げているとされています。
1名はアメリカオレゴン州のグリーフ・カウンセラーで1998年に『虹の橋』という名の書籍を出版した人物、もう1名は『虹の橋の伝説』の著者、最後の1名は「ペットロスとペットとの死別協会」の会長だといわれています。
ただしこの詩は、元々はインディアンに伝わっていたものであるという説もあります。
6.三部作
前出の散文詩が『虹の橋』の由来となる詩ですが、その後、それぞれ別の人物により第2部、第3部の詩が作成され、全部で三部作になったといわれています。
第2部も、第1部と同様に作者不詳の海外作品です。しかし第3部は、日本の故芝山弓子氏の作品で、生前はご本人のホームページに転載可として掲載されていたようです。現在そのホームページは閉鎖されてしまいました。なお、「芝山弓子」という名前はWeb上のハンドルネームであり、本名ではないようです。
『虹の橋』の詩の概要
第1部
世界中に広まっている『虹の橋』は第1部の詩で、内容は上記でご紹介した通りです。
各国語に翻訳され、書籍やSNSなどの媒体で、絵や文字、歌などの表現形式に変換されて、広く普及しています。
第2部
虹の橋の中には、疲れ果て、飢え、いじめられ、愛されなかった動物たちも混ざっていました。彼らには、誰も迎えに来てくれる人がいないのです。飼い主さんと一緒に橋を渡っていく幸せな動物達を切なげに眺めていました。
そこに、生前動物と一緒に暮らしたことがなく、自分自身も疲れ果て、飢え、いじめられ、愛されなかった人物がやってきて、幸せそうに橋を渡っていく様子をじっと見つめていました。やがて両者はお互いの存在に気付き、惹かれ合います。生きている間には巡り会えなかった者同士が虹の橋で巡り会い、一緒に橋を渡って天国に行く、という内容です。
第3部
虹の橋の中には、一箇所だけいつも雨が降っていて、寒くて悲しい雨降り地区という場所がありました。そこに降る雨は、亡くなった子たちが残してきた飼い主さんたちの流す涙でした。飼い主さんが悲しみから立ち直った時、その動物は雨降り地区から出て暖かい場所に行くことができるのです。
だから残された飼い主さんは、いつまでも悲しまないでください。地上にいる飼い主さんと逝ってしまったペット達の幸せと愛に満ちた思い出こそが、虹の橋を創りあげているのだから、という内容です。
まとめ
私が実際に『虹の橋』の話を耳にしたのは、初めて亡くした愛猫の葬儀でのお坊さんの説法でした。そのお坊さんも愛猫を亡くしたことがあるそうで、説法の中で『虹の橋』の話をされたのです。
そのお話では、犬や猫には煩悩がないため、亡くなったら必ず天国に召されるのだということでした。ですから、私の愛猫達は皆虹の橋で元気に過ごしていることでしょう。
ただ煩悩の塊である私は、死後天国には行けないかもしれません。今からでも努力をして、愛猫達と虹の橋で再会し、一緒に天国に行けるよう一所懸命に生きていかなければと思っています。