猫を危険にさらす『フィラリア症』の症状2つ 感染の仕方と対処法

猫を危険にさらす『フィラリア症』の症状2つ 感染の仕方と対処法

「フィラリア症」とは、フィラリア(犬糸条虫)という寄生虫が心臓や肺動脈に寄生して起こる病気です。犬ではよく知られている病気なのですが、猫のフィラリア症はまだまだ解明されていないことも多くあります。それでは見ていきましょう。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

1.他の病気とは見分けがつきにくい

膝に乗る鼻をかむ猫

猫のフィラリアの症状や症状の発症機序は犬とは違います。猫の場合はフィラリアの幼虫が肺の血管に辿り着いた時に起こす反応が原因でおこります。

肺の血管や組織に炎症が起きるため、喘息のような咳が出たり呼吸が速くなり悪化すると呼吸困難になります。嘔吐、元気や食欲がなくなる、体重が減ってくるなどの症状も見られます。

胸のレントゲンを撮影しても肺炎や喘息に似ているため、フィラリア症という診断は難しいようです。

2.突然死の危険性がある

猫の遺影と百合の花

フィラリアの死骸が血液に入り詰まると、うまく循環ができなくなり突然死を引き起こすことがあります。

元々犬に感染する病気のため、多くのフィラリアの幼虫は大きくなる前に猫の体内で死亡します。しかし生き残った幼虫2〜3匹が大きくなり、やがて死滅すると肺や心臓の血管を詰まらせてしまいます。何の症状も出ないことがあるため、『猫の突然死』の原因の一つとなっているとも考えられています。

フィラリア症の感染の仕方と予防・対処法

蚊のシルエット

フィラリア幼虫の入っている血液を吸った蚊が、猫を吸血すると体内に侵入します。

フィラリアの幼虫は、別の動物の体内へ入ろうと蚊の針先で待機しています。猫の体内に侵入した幼虫は皮下組織や筋肉で数ヶ月かけて成長します。そして血管から肺や心臓に入り5cmくらいの成虫となります。成虫になるまでは、およそ100日間かかり血管内で2〜3年生きます。

フィラリア症の予防

忌避薬を塗布する猫

フィラリア症を予防する方法は、猫が蚊と遭わないようにすること、又は蚊に刺されないように予防することです。

忌避薬を猫に用いること、そして家の中で蚊を防ぐようにすることも大切です。室内で暮らしていても、しばしば人間が蚊を連れて帰ってくる事があります。室内でも蚊への対策をしておきましょう。

フィラリア症に感染した時の対処法

病院で診察を受ける猫

犬の場合は、成虫を体内から排出するために外科手術や駆除薬を用います。

しかし、犬とは異なり、猫は「対処療法」が中心です。

症状を和らげたり炎症を少なくするためにステロイド剤や気管支拡張剤を投与し、フィラリア予防薬を定期的に投与します。成虫の駆虫薬は猫にとって有害で命に関わるため成虫駆虫薬を使用することは推奨されていないようです。

猫への治療法は確立してはおらず、猫の状況から獣医師と相談の上治療を行うことになります。

まとめ

痒がっている猫

猫を危険にさらす『フィラリア症』の症状2つ 感染の仕方と対処法についてお伝えいたしました。

フィラリア症のように、他の生物が媒介する病気は多くあります。

愛猫の健康のためにも、予防などできる限りのことをしていきたいですね!

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