1.ブラシ
猫の舌のザラザラの正体は「糸状乳頭」というたくさんある突起です。猫は頻繁に毛づくろいをするのですが、舌のザラザラがブラシの役割をしています。
猫は待ち伏せて獲物を狙う狩りのスタイルなので、獲物に気づかれないように体のにおいや汚れは取り除いておかなければなりません。舌のザラザラがブラシになり、においや汚れをなめ取ることができます。
舌のザラザラが抜け毛を取ったり、毛のもつれをほぐしたりして毛並み整えることで皮膚病の予防にもなります。さらに、ザラザラした舌で体をなめることでマッサージになり血行促進にもなるのです。
ただ、ザラザラした舌で毛づくろいをしすぎて脱毛や炎症を起こしてしまう場合があります。猫は気持ちを落ち着かせようとする目的でも毛づくろいをします。ストレスがあると毛づくろいが過剰になってしまうのです。
2.獲物を食べる
猫はネズミや鳥などを捕まえて食べる生き物です。獲物を食べる際、舌のザラザラによって骨についた肉をなめ取ることができるのです。飼われている猫は狩りをする必要はありませんが、ウェットフードを食べるときなどに舌のザラザラを使っています。また、舌のザラザラは食べ物を口の奥へ運ぶ役割もあります。
ちなみに、生まれたばかりの子猫には舌のザラザラはありません。ミルク以外の物を食べ始める生後3~4週間頃になると、舌のザラザラが生えてきます。
3.体温調節
猫は人と違って全身に汗をかいて体温を下げることができません。舌のザラザラの隙間には唾液が貯まるようになっていて、毛づくろいによって毛を唾液で濡らすことができます。猫は唾液で濡れた毛が乾くときの気化熱によって体温を下げているのです。
冬は舌のザラザラを利用して毛づくろいで毛並みを整えることで、毛と毛の間に空気が入った層を作り、体温が逃げないようにしています。
4.コミュニケーション
仲の良い猫同士ではお互いに毛づくろいをします。自分でなめてお手入れができない頭、耳、首などの場所を仲間が毛づくろいをして清潔を保っています。愛情表現の方法のひとつでもあり、猫が飼い主さんをなめるのも猫からの愛情のあらわれです。
ザラザラの舌でなめられると痛いと感じるかもしれませんが、少しだけ我慢して猫の気持ちを受け入れ、その後は猫をなでてお返しをしてあげましょう。
まとめ
猫の舌のザラザラには、生活するために必要な役割があります。猫の舌にあるたくさんの突起が便利な道具の代わりになっているのです。
猫があくびをしたときやなめてくれたときなど、ザラザラの舌を観察してみてはいかがでしょうか。