1.野生時代の名残
猫のルーツとされるリビアヤマネコは、現代の縞模様のある猫、特にキジトラにそっくりです。縞模様があるのが猫本来の姿といえるでしょう。イエネコがリビアヤマネコの模様を受け継いでいるのですね。
リビアヤマネコには、額に4本の縦線があります。これが、次第にМの形になっていったそうです。
Мの模様は、縞模様の猫で多く見られます。猫の縞模様は、森林で周囲の環境に溶け込みやすく、身を隠すための迷彩効果のある柄なのだとか。
縞模様は顔にもあるので獲物を狙っている時も気づかれないために役立っていました。額に模様があるのも、獲物から目を見つけられにくい効果があったそうです。確かに、何も模様のない顔に獲物を狙う時の猫のギラギラした目があったら、気づかれて逃げられてしまいそうですね。
2.ムハンマドのしるし
猫のМ模様は、言い伝えによると、イスラム教の創始者ムハンマドが猫につけたしるしなのだそうです。愛猫のムエザにつけたという話もあれば、友人の猫につけたという話もあります。
どちらにしても、ムハンマドは、猫をとても愛していたのだそうです。そのため、イスラム教徒には猫好きが多いと言われています。特に額にМのある猫はムエザの子孫と考えられ、大切にされているのだそうです。猫はモスクにも入ることが許されているのだそうですよ。
3.聖母マリアのしるし
こちらも言い伝えですが、聖母マリアがつけたしるしという説もあります。イエス・キリストが誕生した際、猫たちがお祝いに来ました。この時、マリアは猫が赤ん坊のイエス・キリストにいたずらをしないよう、猫に触れます。これがしるしとなって表れたのだとか。
また、別の説では、赤ん坊のイエス・キリストが眠れずにぐずっていた時に猫が喉をゴロゴロさせると眠ることができたそうです。その時、マリアが猫の額に触れた、あるいはキスをするとそこにМのマークがついたと言われています。
「Мマーク」が見えやすい猫種
猫の額のМが見えやすいのは、縞模様がある猫です。縞模様といえば、キジトラ、茶トラ、サバトラなどですね。これらの猫の縞模様は「タビー」と呼ばれています。タビーは動物全般に使われる縞模様の呼び方ですが、特に猫を対象に使います。一見すると縞模様ではなく、斑点のような柄でもタビーと呼ぶことがあります。
リビアヤマネコに最も近いキジトラは「ブラウンタビー」、茶トラは「レッドタビー」、サバのような細い縞模様を「マッカレルタビー」と言います。
猫種で言うと、特に額にМが表れやすいのは、アメリカンショートヘアやシンガプーラ、ベンガルなどです。アメリカンショートヘアは、「クラシックタビー」もしくは「ブロッチドタビー」と言い、不規則な縞模様をしています。
シンガプーラは足や首、尻尾に薄い縞模様が見える「ティックドタビー」で、体の模様はわかりにくいですが額のМは割とはっきりしています。
ベンガルの模様は斑点に見えますが、「スポテッドタビー」や「マーブルタビー」と呼ばれるものです。スポテッドタビーはヒョウ柄に近い形ですが、実際は縞模様が途切れた模様になっています。また、マーブルタビーは大理石のような模様です。
まとめ
猫の額の「М」には伝説があります。どこか神秘的な魅力のある猫の額に「Мマーク」があったら、何か意味があるのではないかと思えるのも頷けますね。額にМのある猫は幸運を運ぶとも言われています。
縞模様の猫でもはっきりとМが見えたり、途切れていたりとそのパターンは様々です。もちろん、途切れているからよくないとかМがないから幸運がないなどということはありません。
たとえどんな模様の猫だったとしても、一緒にいるだけで幸せな気持ちにさせてくれるという意味では、猫として十分幸運を運んでくれているのではないでしょうか。